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飲食の需要予測・AI

決めた発注量・仕込み量は、誰にどの形で渡すか。仕込み表・食数表・共有アプリの使い分け

渡す先は、作る人、売る人、仕入先の3つです。同じ数量でも必要な項目が違うので、1枚にまとめようとすると、どれかが使いにくくなります。飲食店・給食施設・小売の経営者に向けた記事です。

この記事でわかること

  • 渡す先は3つです。作る人には品目・数量・仕上げる時刻、売る人には出せる数と売り切れの扱い、仕入先には品目・数量・納品日。決めた数量は1か所に置き、そこから3つの形で出します。
  • 渡す形は、数量が決まる時刻と、それを見る人が立っている場所で選びます。厨房の入口に貼る紙、売場のホワイトボード、スマホの共有アプリは、向いている場面が違います。
  • 当日に数量が動いたら、正しい数量がどこにあるかを1か所に決めておきます。変更は「あと5食」ではなく、確定した数量で渡します。
  • 社内で使う仕込み表に決まった様式はありません。ただし仕入先とやりとりした注文書は保存の対象で、メールやアプリで送った場合はデータのまま保存することになります。
  • 特定給食施設では、献立表その他必要な帳簿等を作成して施設に備え付けることが、栄養管理の基準に入っています。食数の渡し方を変えるときは、この備え付けも一緒に考えます。

渡す先は3つ。同じ数量でも、要る項目が違う

発注量や仕込み量を決めたあと、その数量は必ず誰かの手に渡ります。厨房で仕込む人、売場や客席で出す人、品物を届ける仕入先の3か所です。決めるところまでは時間をかけているのに、渡すところが口頭とメモと電話の混在になっていると、翌朝に「その数は聞いていない」が出ます。

3か所は、同じ数量を見ていても必要な項目が違います。作る人が知りたいのは、何をいくつ、いつまでに仕上げるかです。売る人が知りたいのは、いくつ出せて、無くなったらどう案内するかです。仕入先が要るのは、品目と数量と単位、納品日、届け先です。1枚の紙に全部を書いて回すと、どの立場から見ても余計な情報が混ざった表になります。

そこで、決めた数量を置く場所を1か所にして、そこから3つの形で出す組み立てにします。以下では、いま何回書き写しているかの数え方、社内で渡す形の選び分け、当日に数量が動いたときの伝え方、保存が決まっている記録の順に説明します。

作る人へ渡すもの

品目、数量、仕上げる時刻。前日から持ち越した分がある品目は、その数量も同じ行に書きます。

売る人へ渡すもの

出せる数と、売り切れたときの案内。品切れにした時刻を書く欄を作ると、翌週の数量を考える材料になります。

仕入先へ渡すもの

品目、数量、単位、納品日、届け先。仕入先ごとの締切時刻に間に合う形で送ります。

数量が決まってから手が動くまでに、何回書き写しているか

渡し方を変える前に、いま何回書き写しているかを数えてください。レジの数字を電卓で足して発注ノートに書き、そこから業者ごとのメッセージに打ち直し、翌朝ホワイトボードに書き出す。この流れだと、同じ数量が3回書き写されています。

回数は品目の数だけ増えます。品目が20で渡す先が3か所なら、1日に60行を書き写す計算です。1行30秒でも30分かかります(試算例)。書き写しの1回ごとに、数字を取り違える機会も増えます。

中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21のビジネスQ&Aに、商品の発注業務で事務のミスが絶えないという文房具店からの相談への回答があります。ミスが起きる原因に挙がっているのは、担当者ごとに作業方法が違う、必要なチェック機能が働いていない、例外的な処理が頻繁に発生する、担当者が作業に慣れていない、の4つです。作業量が増えて余裕がなくなったときに表面化する、と説明されています。

同じ回答は、まず業務フロー図を作って作業を見える化し、排除・結合・交換・簡素化という4つの原則で見直すことをすすめています。チェックは、影響の大きいミスが起きる作業の直後に置く。商品の発注のようにミスが許されない作業にはダブルチェックを入れる。どの作業でミスが起きているかのデータを集めておくことも、チェックを置く場所を決めるのに有効だとしています。

業務の標準化についての別のビジネスQ&Aでは、普段その業務をしている従業員が紙とペンで業務の流れを描き、どのステップを誰が担当しているかを図に書き込む進め方が挙げられています。数量を決める人、渡す人、受け取って手を動かす人を先に書き出すと、書き写しの何回目が要らないかが見えます。

社内に渡す形は、決まる時刻と、見る人が立っている場所で選ぶ

社内で使う表に決まった形はありません。選ぶときに見るのは2つです。数量が決まる時刻と、それを見る人がどこに立っているかです。

前夜や早朝に確定して、その日は動かない数量なら、紙に印刷して厨房の入口に貼る形が続きやすいです。手がふさがっていても立ったまま見られ、書き込みがそのまま記録になります。営業中に数量が動く品目は、売場や厨房のホワイトボードのほうが速いです。ただし消すと何も残りません。あとで数量を集計に使うなら、閉店前に書き写すか写真を撮る手順まで決めてください。

共有アプリやチャットは、離れた場所にいる人へ同時に届きます。配送に出ている人や別の店舗にいる人が受け取る場合は向いています。いっぽう、数量が会話の流れに埋もれます。確定した数量だけを固定して表示できるかを、導入前に確認してください。

給食施設の食数のように、決まった時刻に確定して複数の部署が同じ数字を使う場合は、厨房の食数表と各フロアのホワイトボードが並ぶことがあります。両方あること自体は問題ありません。決めておくのは、どちらが正しいかです。

紙に印刷して貼る

前夜や朝に確定して、その日は動かない数量に向きます。書き込みがそのまま記録になり、電源も端末も要りません。

ホワイトボード

営業中に動く数量に向きます。消えると残らないので、閉店前に書き写すか写真に残す手順を決めてから使います。

共有アプリ・チャット

離れた人へ同時に届きます。会話に流されないよう、確定した数量を固定して表示できるかを確認します。

当日に数量が動いたら、どこが正しいかを1か所に決めておく

数量は当日に動きます。団体の予約が増えた、欠食の連絡が入った、雨で客足が止まった。このとき現場が困るのは、変わったこと自体ではなく、どの紙が正しいのか分からなくなることです。

決めておくことは3つあります。正しい数量が載っている場所を1か所にすること。変更を差分ではなく確定した数量で渡すこと。品目ごとに、変更を渡し直す相手を決めておくことです。

「あと5食追加」と伝えると、受け取った側が元の数量をどう覚えているかで結果が変わります。「昼の日替わりは45食で確定」と、そのときの確定値で渡してください。受け取った側が足し算をせずに済みます。

渡し直す相手は品目ごとに違います。仕込みが終わった品目は、厨房に伝えても数量は戻りません。伝える先は売場で、売り切れの案内をいつ出すかという話になります。まだ締切前の品目なら、厨房と仕入先の両方です。品目ごとの締切をどう決めるかは仕込み量の締切の記事で説明しています。

渡した数字のうち、保存が決まっているものがある

社内の仕込み表や食数表に、法律で決まった様式はありません。項目も単位も自分で決められます。いっぽう、仕入先とやりとりする注文の書類は保存の対象です。

国税庁のタックスアンサーNo.5930は、法人は帳簿を備え付けて取引を記録し、その帳簿と取引に関して作成または受領した書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければならないとしています。書類の例として、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書が挙げられています。

送り方によって、保存の形が変わります。電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)の第2条第5号は、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などに通常記載される事項のやりとりを電磁的方式で行う取引を「電子取引」と定めています。同法第7条は、電子取引を行った場合、その取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないと定めています。仕入先へメールやアプリで注文を送っているなら、その送信内容がここに当たります。

どの形で保存することになるかは、送り方と受け取り方の組み合わせで変わるので、迷うときは顧問の税理士か国税局の電話相談で確認してください。押さえておきたいのは、渡し方を変えると保存の形も変わる点です。電話とFAXでの注文をアプリに切り替えるなら、その記録をあとから取り出せるかを先に決めます。

給食施設には、もう1つ決まりがあります。健康増進法施行規則の第9条は、特定給食施設の栄養管理の基準として、献立表その他必要な帳簿等を適正に作成し、当該施設に備え付けることを挙げています。特定給食施設は、同規則の第5条で、継続的に1回100食以上または1日250食以上の食事を供給する施設とされています。食数の渡し方を変えるときは、この備え付けも一緒に考えます。

紙1枚で足りる範囲と、仕組みにするかを考える目安

最初から仕組みは要りません。A4の紙1枚に、品目、数量、仕上げる時刻、渡す先の4列を書いて、2週間続けてみてください。どの品目が何度も書き直されているかが、それだけで見えます。

紙で回らなくなる分かれ目は2つです。1つは、同じ数量を見る人がいる場所の数で、厨房と売場と事務所と仕入先のように4か所へ広がると、1枚の紙を回す形では追いつきません。もう1つは、1日に数量が動く回数です。何度も動く品目があると、紙の上書きではどれが最新か分からなくなります。

当社が引き受けるのは、決めた数量を1か所に置き、渡す先ごとの形で出すところです。飲食店向けには、品目ごとの出数を前夜に確定して仕込み数の指示書にする品目別の出数予測の開発プランと、業者ごとに方法が違う発注を店側だけまとめる発注管理アプリの開発プランとして、想定する画面と進め方を公開しています。

数量を決めるところから相談したい場合は、開発中の手軽に使える需要予測AIがあります。日付と数量の2列のCSVから28日先までの予測を幅つきで出し、その結果をCSVで書き出して発注表や仕込み表に使えます。リリース前のデータ確認と試験予測の相談は無料です。

費用を見積もるために確認するのは4つです。渡す先の数と、それぞれがいま使っている道具。扱う品目の数。1日に数量が動く回数。仕入先へ送った内容をどこまで残すか。この4つが決まると概算が出ます。決まっていない段階でも、いま使っている表と業者へ送っている文面を見せていただければ、そこから整理できます。

まとめ

渡す先は3つで、要る項目が違います。決めた数量は1か所に置き、作る人、売る人、仕入先それぞれの形で出します。

まず、いま何回書き写しているかを数えてください。消せる書き写しを消してから、残った箇所にチェックを置きます。当日に数量が動く場合は、正しい数量の置き場所を1か所に決め、確定した数量で渡し直します。

社内の表に決まった様式はありません。仕入先とやりとりした注文は保存の対象で、メールやアプリで送ればデータのまま残すことになります。今日できるのは、紙1枚に品目・数量・仕上げる時刻・渡す先の4列を書いて、2週間続けることです。

よくある質問

仕込み表とホワイトボードの両方があります。どちらかに寄せるべきですか?

両方あってかまいません。決めるのは、どちらが正しいかです。当社がすすめているのは、確定した数量は紙の表を正とし、営業中に動いた分だけをホワイトボードで扱って、閉店前に表へ書き戻す形です。書き戻す作業が続かないようなら、逆にホワイトボードを正にして、閉店前に写真を1枚撮ってください。どちらでも構いませんが、2つを毎日書き換える運用は続きません。

厨房への指示をスマホのメッセージアプリで送っています。このままで問題ありますか?

社内のやりとりに決まった形はないので、続いているなら変える必要はありません。確認してほしいのは2点です。1つは、確定した数量が会話に流されず、あとから探せるかどうか。メモやノートとして固定できる機能があるなら、そこへ数量だけを置いてください。もう1つは、同じアプリで仕入先へも注文を送っている場合です。そちらは電子取引に当たり、取引情報のデータを保存することになります。社内の連絡と社外への注文は分けて考えてください。

予測で出た数量を、そのまま現場に渡してよいですか?

そのままは渡しません。予測の数字は、いま棚にある在庫、まだ届いていない注文、入っている予約を反映する前の数量です。人が在庫と予定を差し引き、ケースや箱といった仕入単位に合わせてから、確定した数量として渡します。どこまでを計算に任せられるかは、発注を自動にしたときに人へ残る作業の記事で整理しています。

小さな店で、数量を決めるのも作るのも自分1人です。それでも表は要りますか?

1人でも渡す先は残ります。仕入先へ送る注文と、翌日の自分です。頭の中だけで決めていると、先週の同じ曜日に何食仕込んだかを思い出せず、毎週ゼロから考えることになります。品目と数量と仕上げる時刻の3列で構いません。1品目から始めて、2週間分が並んだら曜日ごとに比べてみてください。人を雇うときに渡す表も、これがそのまま元になります。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

決めた数量が、現場に届くまでに何度も書き写されているなら。

数量は決まっているのに伝わらない、同じ数字を何か所にも書いている、変更が入ると誰が最新を持っているか分からなくなる。この段階からご相談いただけます。いま使っている仕込み表や食数表の写真と、仕入先へ送っている注文の文面を見せていただければ、消せる書き写しと残す記録を分けるところから始めます。CSVや完成した仕様は必要ありません。

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