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飲食・食品の業務

飲食店がお酒を持ち帰り用に売るには、免許が要る?

店の中で注いで出すお酒に免許は要りませんが、瓶や缶のまま持ち帰り用に売るなら酒類の販売業免許が要ります。飲食店も免許を取れますが、店で出すお酒と売るお酒を、場所と帳簿の両方で分けることが条件です。

この記事でわかること

  • 酒場や料理店のように店の中で飲んでもらう営業には、販売業免許は要りません。テイクアウト用など店の外で飲むためにお酒を売るなら、販売場ごとに税務署長の免許が要ります。
  • 店頭で消費者に売る場合の免許は「一般酒類小売業免許」です。登録免許税は1件3万円、審査の標準処理期間は申請の翌日から2か月です。
  • 飲食店が取る場合は、飲食店の部分と売り場を場所で分け、店で出すお酒と売るお酒の仕入れ・売上・在庫を帳簿で分けて確認できるようにする必要があります。
  • 店で漬けた梅酒は、店の中で出すための特例があるだけで、持ち帰り用やお土産として売ることはできません。

店の中で飲むか、店の外で飲むかで線が引かれる

酒税法第9条は、お酒の販売業をする人に、販売場ごとに所在地の税務署長から免許を受けるよう定めています。同じ条文の中で「酒場、料理店その他酒類をもつぱら自己の営業場において飲用に供する業」は対象外とされているので、居酒屋やレストランが店内でお酒を出すのに販売業免許は要りません。

国税庁のお酒に関するQ&Aは、この線を次のように説明しています。店内で飲んでもらうなら免許は不要、テイクアウト用など店の外で飲むためのお酒を売るなら、販売場ごとに免許が必要です。イベント会場についてのQ&Aでも、コップに注いでその場で出すなら不要、未開封の缶や瓶を、その場以外で飲むと分かっていて売るなら必要、とされています。

免許を受けずにお酒を売ると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(酒税法第56条)。容器や渡し方で判断に迷う売り方を考えているときは、始める前に所轄の税務署に聞いておくと安心です。

免許が要らない

店内でグラスに注いで出す。祭りの会場でコップに注いで、その場で飲んでもらう。

免許が要る

店で仕入れた瓶ビールや日本酒、缶のお酒を、未開封のまま持ち帰り用に売る。料理のテイクアウトに缶のお酒を付けて売る。

店頭で売るなら「一般酒類小売業免許」

酒類の販売業免許は、売る相手で大きく2つに分かれます。酒屋や酒類製造者に売る「酒類卸売業免許」と、消費者や飲食店などに売る「酒類小売業免許」です。飲食店がお客さんに持ち帰り用のお酒を売るのは小売にあたります。

小売の免許のうち、販売場で原則すべての品目のお酒を売れるのが一般酒類小売業免許です。インターネットやカタログで、2つ以上の都道府県にまたがる広い地域の消費者から注文を受けて送る場合は「通信販売酒類小売業免許」という別の免許になり、売れるお酒の範囲も、年間の出荷量が一定より少ない国内の製造者のお酒や輸入酒などに限られます。店頭での持ち帰り販売と、ネットで全国に送る販売は分けて考えてください。

国税庁の一般酒類小売業免許申請の手引(令和8年9月改訂)によると、申請は販売場の所在地を所轄する税務署に出し、e-Taxでも提出できます。標準処理期間は申請書を出した日の翌日から2か月で、書類の不足や補正があればその分は期間に含まれません。免許を受けるときに登録免許税が1件3万円かかります(登録免許税法別表第一)。

飲食店が取るときは、店で出すお酒と売るお酒を分ける

酒税法第10条は、取締り上ふさわしくない場所に販売場を設ける場合などに、免許を与えないことができると定めています。国税庁の通達と手引は、販売場が酒場や料理店などと同じ場所であることを、これに当たる例として挙げています。また、酒場や料理店などお酒を扱う接客業者には、国税局長が支障がないと認めた場合を除いて一般酒類小売業免許を与えない、という取り扱いもあります。

手引には、同じ事業者が飲食店と酒販店を兼ねる場合の説明があります。飲食店で出すお酒に免許は要らず、酒販店で売るお酒に免許が要る。そのうえで、仕入先を含めて両方のお酒が混ざらないよう、飲食店の部分と酒販店の部分を場所で分け、飲用のお酒と販売用のお酒の仕入れ・売上・在庫を帳簿で分けて確認できるようにする必要があるとされています。

2021年に終わった新型コロナ対応の期限付免許の終了時にも、国税庁は飲食店向けの案内で、飲食用に出すお酒と小売するお酒を場所と帳簿の両方で明確に分けることを要件として挙げていました。

売り場をどこに置けば分けたと認められるかは、店の間取りで変わります。手引では、販売場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金の支払いが独立しているかなどで、ほかの営業と明確に分かれているかを判断するとしています。図面を持って税務署に相談するのが近道です。

申請の前後で、店が決めておくこと

手引をもとに、飲食店が持ち帰り販売を始めるまでに決めることを並べました。どれも免許が下りてから慌てると販売開始が遅れるので、申請の準備と一緒に進めます。

申請には経営の状況や、お酒の販売に必要な知識と経験があるかの確認も含まれます。酒類の販売に3年以上たずさわったことがない場合は、ほかの業種での経営経験に加え、酒類販売管理研修を受けたかどうかなども判断材料になると手引に書かれています。自分の店が当てはまるかは、税務署の酒類指導官に相談して確かめてください。

売り場の場所と、販売用の在庫の置き場所

客席や厨房と分けた売り場を図面に書きます。店で出すお酒と同じ棚に販売用を並べると、どちらの在庫か分からなくなります。

酒類販売管理者を誰にするか

販売場ごとに、販売を始めるまでに選任します。過去3年以内に酒類販売管理研修を受けた人から選び、店主自身が売り場に立つなら店主がなれます。選任しないと50万円以下の罰金の対象になります。

売り場に出す表示

陳列場所の見やすいところに、酒類の売場であることと「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を、100ポイント以上の大きさの文字で表示します。

仕入れと販売の記録

仕入れと販売のたびに、お酒の品目別に数量・価格・日付・相手を帳簿に記録します(売った相手の住所・氏名は省略できます)。様式は決まっていないので、販売用の分を飲食用と分けて記録できる形を、販売を始める前に決めておきます。

店で漬けた梅酒は、持ち帰り用には売れない

焼酎に梅などを漬けると、新しくお酒を造ったとみなされ、本来は酒類の製造免許が要ります。国税庁のQ&Aによると、酒場や料理店などには2008年4月から特例があり、店の中で飲んでもらうために、アルコール分20度以上で酒税を払い済みの蒸留酒に梅などを漬ける場合は、製造免許が要りません。

特例を使うには、漬け始める日の前日までに税務署へ開始申告書を出し、使った蒸留酒の量を月ごとに帳簿に記録します。使える量は、営業場ごとに4月から翌年3月までの1年間で1キロリットル以内です。米・麦・ぶどうなど、漬けてはいけない材料も決められています。

この特例は店内で出すための例外なので、お土産として売るなど人に譲ることはできないとされています。一般酒類小売業免許を取っても、特例で漬けた梅酒を売れるようにはなりません。自家製の梅酒を瓶詰めにして売りたい場合は、製造免許が関わるので税務署に相談してください。

イベントに出店するときは、注いで出すか瓶で売るかを分けて考える

祭りや物産展で臨時にお酒を売る場合には「期限付酒類小売業免許」があります。ただし国税庁のQ&Aでは、申請できるのは原則として酒類製造者か酒類販売業者で、会場での場所や開催期間が決まっていることなどが条件です。販売業免許を持たない飲食店が、イベントのために期限付の免許だけを取ることは原則としてできません。

一方で、会場でビールなどをコップに注いでその場で出すだけなら、販売業免許は要りません。飲食店がイベントに出るときは、注いで出す形にするのか、瓶や缶で売るのかを先に決めると、必要な手続きが分かります。キッチンカーでの出店を考えている場合は、キッチンカーの始め方の記事で営業許可の決まりをまとめています。

ここからは当社の考えです。免許を取ると、販売用のお酒の仕入れ・売上・在庫を飲食用と分けて記録し続けることになります。棚卸の数え方を決めておくと、帳簿と実際の在庫を照らし合わせやすくなります。棚卸の単位と順番の決め方は棚卸の記事で説明しています。

よくある質問

コロナのときに取った持ち帰り用の期限付免許は、今も使えますか?

新型コロナ対応の「料飲店等期限付酒類小売業免許」は、国税庁の案内によると令和3年3月末で期限を迎えています。その後も持ち帰り用にお酒を売るには、一般酒類小売業免許を取る必要があると案内されています。

持ち帰りでお酒を買うお客さんの年齢は、どう確かめればいいですか?

20歳未満の人にお酒を売ることは法律で禁じられています。免許を取ったお店は、売り場に年齢を確認できない場合は販売しない旨を表示することが求められます。会計のときに誰がどう確かめるかを決め、若く見えるお客さんには身分証をお願いする手順にしておくと、スタッフが同じように対応できます。お酒を出す店の年齢確認についてはスマホ注文の記事でも触れています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

飲食用と販売用のお酒を分けて記録する仕組みも、相談できます。

持ち帰り販売を始めたいが、仕入れや在庫をどう分けて記録するか決まっていない。そんな段階でも相談できます。免許の申請や判断は税務署にご確認いただく必要があり、当社では申請の代行は行っていません。いまの仕入れと在庫の記録を聞きながら、分けて残す形を一緒に考えます。

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