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小さな飲食店にも、消火器は要る?

火を使うこんろなどがある飲食店は、店の広さに関係なく消火器を置く決まりです。対象から外れるのは、Siセンサー付きのこんろやカセットコンロ、IHなど火を使わない調理器だけを使う店です。置いたら半年ごとに点検し、年1回消防署へ報告します。

この記事でわかること

  • 2019年10月1日から、火を使う設備や器具がある飲食店は、延べ面積150平方メートル未満でも消火器具(消火器など)を置く義務があります。それまでは150平方メートル以上の店だけが対象でした。
  • 使うこんろがすべて調理油過熱防止装置(Siセンサー)付きか、カセットコンロ、IHなど火を使わない調理器なら、この決まりの対象外です。1台でも装置のないこんろがあれば対象になります。
  • 置き場所は、火を使う設備がある階ごとに、店のどこからでも歩いて20メートル以内。通路をふさがず、すぐ持ち出せる所に置きます。
  • 置いた消火器は半年ごとに点検し、結果を1年に1回消防署へ報告します。小さな店なら店主が自分で点検でき、消防庁のアプリで報告書をPDFにできます。
  • スタッフとお客さんの数(収容人員)が30人以上になる店は、講習を受けた防火管理者を決めて消防署に届け出ます。

火を使う設備がある店は、広さに関係なく置く

消火器を置く決まりは、消防法施行令の第10条にあります。以前は、飲食店で消火器が必要なのは延べ面積150平方メートル以上の店だけでした。2016年12月の新潟県糸魚川市の大規模火災が、延べ面積135.8平方メートルの飲食店のこんろから広がったことを受けて政令が改正され、2019年10月1日から小さな店も対象になりました。

消防庁の改正の発表資料によると、対象は「火を使用する設備又は器具」を設けた飲食店です。小さな飲食店の火災はこんろが原因のものが大半を占めることから、火を使う設備のある店に絞って義務にした、と説明されています。店の業態が居酒屋でも、カフェでも、ラーメン店でも、扱いは同じです。

改正前から、地下の階、窓の少ない階(無窓階)、3階以上の階で床面積が50平方メートル以上あると、火の有無に関係なく消火器が必要でした。延べ面積150平方メートル以上の店も同じです。ここからの説明は、それにあたらない小さな店の話です。

対象から外れるのは、安全装置付きのこんろや火を使わない調理器だけの店

火を使う設備でも、消防法施行規則が定める安全装置が付いていれば、義務の対象から外れます。消防庁の広報誌「消防の動き」2018年5月号は、対象外になる設備・器具として、下にまとめた例を挙げています。

注意したいのは、外れるのは「装置付きの設備・器具だけを使う店」だという点です。家庭用のガスこんろは2008年度から原則として調理油過熱防止装置の装着が義務になっていますが、業務用のこんろやフライヤーに同じ装置が付いているかは機種で違います。装置のないこんろが1台でもあれば、消火器が必要です。手元のこんろの説明書を見るか、ガス会社や販売店に確かめてください。

調理油過熱防止装置(Siセンサー)付きのこんろ

鍋の温度が上がりすぎたのを感知して、自動でガスを止めて火を消す装置です。吹きこぼれで火が消えたときにガスを止める「立ち消え安全装置」は、温度の上がりすぎを感知しないため、この装置には含まれません。

自動消火装置を付けたもの

火を使う設備の火災を自動で感知し、消火薬剤を出して消す装置です。

カセットコンロ

ボンベの圧力が上がりすぎると自動でガスを止める圧力感知安全装置が付いているため、カセットコンロだけを使う店は対象外とされています。

IH調理器・電気こんろ

火を使わない調理器は、そもそも「火を使用する設備又は器具」にあたりません。改正の発表資料に添えられた意見募集の回答でも、IHこんろなどは対象から除かれています。厨房がIHと電子レンジだけの店は、この決まりでは消火器の義務がかかりません。

置き場所は、歩いて20メートル以内の、すぐ持ち出せる所

消防法施行規則の第6条で、新たに義務になった小さな店は、火を使う設備がある階ごとに、その階のどこからでも歩いて20メートル以内に1つ届くように置くと決められています。2階建ての店で、こんろを使うのが1階の厨房だけなら、置くのは1階です。

置く場所は、施行令で「通行又は避難に支障がなく、かつ、使用に際して容易に持ち出すことができる箇所」とされています。こんろのすぐ横は、火が出たときに近づけない場合があるので、厨房の出入口付近など、火元から少し離れて手が届く所を選ぶと持ち出しやすくなります。物を積んで隠さないことも大切です。

必要な消火器の能力(能力単位)は、店の面積から計算します。買うときは店の延べ面積と、厨房で使う火の設備を伝えて、販売店や消防設備の業者に合う消火器を選んでもらうと確実です。

半年ごとに点検し、1年に1回消防署へ報告する

置いた消火器は、消防法第17条の3の3で定期的な点検と報告が義務になっています。飲食店の場合、報告は1年に1回です(消防法施行規則第31条の6)。消防庁の資料では、点検は半年ごと、報告は1年ごとと案内されています。

店が入る建物全体の延べ面積が1,000平方メートル未満なら、資格がなくても店主やスタッフが自分で点検できます。ただし、店が地下の階か3階以上の階(地上へ直接出られる階を除く)にあり、その階から地上へまっすぐ下りる階段が1つしかない建物(屋外階段などの場合を除く)では、消防設備士などの資格者に点検してもらう決まりです。1階と2階はこの扱いから除かれています。雑居ビルの地下や3階以上に入る店は、建物の階段の数を確かめてください。

消防庁の点検アプリで報告書を作れる

消防庁は、小さな飲食店の関係者が自分で点検と報告書づくりをできるよう、消防用設備等点検アプリをApp StoreとGoogle Playで出しています。写真を見ながら消火器の状態を選ぶと、法令で決められた様式の報告書がPDFで出力されます。点検時期のお知らせ機能もあります。

古くなった消火器は業者に頼むか買い替え

製造から5年(加圧式は3年)を過ぎた消火器は、中身まで確かめる点検が必要になるため、アプリでの点検の対象外です。消防庁は、専門の業者に頼むか買い替えることを勧めています。消火器の本体に書いてある製造年を、点検記録と一緒に控えておくと迷いません。

収容人員が30人以上なら、防火管理者を決める

消火器とは別に、収容人員が30人以上の飲食店は、防火管理者を決めて消防署に届け出る決まりがあります(消防法第8条、施行令第1条の2)。防火管理者は、消防計画を作り、避難訓練や火の元の確認を進める役割で、店長など店を管理する立場の人がなります。

収容人員は、席数だけでは決まりません。消防法施行規則第1条の3で、飲食店は「スタッフの数」に「固定したいす席の数」を足し、ベンチのような長いすは正面の幅を0.5メートルで割った数、座敷や動かせるいすの席など、それ以外の部分は床面積を3平方メートルで割った数を足して計算します。試算例として、スタッフ4人、固定したいす席26席の店なら、収容人員は30人で、防火管理者が必要です。

防火管理者になるには、都道府県や消防本部などが行う防火管理講習を受けます。延べ面積が300平方メートル未満の飲食店なら、乙種の講習で足ります(施行令第3条)。ビルに入っている店は、建物全体の使われ方で必要かどうかや手続きが変わることがあるので、ビルの管理会社と所在地の消防署に確かめてください。

開店前に、所在地の消防署へ確かめておく

建物や建物の一部を店として使い始めるときは、多くの自治体で、火災予防条例にもとづく「防火対象物使用開始届出」を消防署に出す決まりがあります。たとえば東京消防庁は、使い始める7日前までの届出を求めています。期限や様式は自治体ごとに条例で決まるので、店のある市町村の消防署に確かめてください。消火器の決まりも、条例で上乗せされている地域があります。

ここからは当社の提案です。消火器の点検日と製造年、報告した日は、毎日の衛生記録と同じノートやアプリにまとめておくと、半年ごとの点検を忘れにくくなります。開店準備の段階で、保健所の営業許可と消防署への確認を同じ一覧に並べておくと、どちらかを抜かすことも防げます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

点検や記録の日付を、店に合う形でまとめます。

衛生記録と点検の予定を一か所で見たい、開店準備の手続きを一覧にしたい、スタッフが替わっても点検を忘れない仕組みにしたい。何から決めればいいか分からない段階でもかまいません。いまの記録のつけ方をうかがい、まとめ方から一緒に考えます。

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