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飲食・食品の業務

店の空いている時間を、別の人に貸せる?

貸せるかどうかは、借りる人がその店で自分の営業許可を取れるかで決まります。食品衛生法の営業許可は「営業する人」が受けるもので、同じ厨房に2人目の許可を出すかと条件は、店の所在地の保健所が判断します。始める前に2人で保健所へ相談します。

この記事でわかること

  • 間借り営業は、営業していない時間帯や定休日の店を、別の人が自分の店として使う形です。昼の定食屋を夜だけ別の店にする、といった使い方があります。
  • 食品衛生法第55条は、営業を営もうとする者が都道府県知事等の許可を受けると定めています。貸す側の許可証で、借りる人がそのまま営業できるとは考えないでください。同じ厨房で別の人の許可を受け付けるか、どんな条件を付けるかは地域によって違うことがあるため、保健所への事前相談が最初の一歩です。
  • 借りる人は、自分を申請者にした営業許可、食品衛生責任者、自分の営業の衛生管理を用意します。持ち帰り用のお菓子を作るなど、売るものによって許可の種類が変わることがあります。
  • 貸す側も店舗を借りているなら、建物の持ち主の承諾が要ります(民法第612条)。
  • 法律とは別に、使う時間、冷蔵庫の区画、器具、光熱費、鍵、体調不良が出たときの連絡を、始める前に2人で書き出しておくと、もめごとを減らせます。

間借り営業は、空いている時間に別の人が自分の店を開く形

間借り営業は、すでにある飲食店の厨房と客席を、その店が使っていない時間帯や曜日に、別の人が借りて自分の店として営業する形です。この記事では、借りる人が自分の屋号で、自分の売上として営業する場合を前提に説明します。

貸す側から見ると、家賃のかかっている店の空き時間が使われます。借りる側から見ると、物件を契約して内装を整える前に、自分の料理がお客さんに受け入れられるかを試せます。

想定例:昼だけ営業する定食屋の夜

夕方で営業を終える定食屋が、平日の夜だけ別の人にカレー店として貸す、といった使い方です。

想定例:夜のバーの昼間

夕方から開くバーの昼間に、別の人がランチを出す使い方です。客席の雰囲気が夜向きでも、ランチの営業時間には関係ない、という店で考えやすい形です。

想定例:定休日に、自分の料理を試す

将来自分の店を持ちたい人が、定休日の厨房を月に数回借りて、メニューと値段を試す使い方です。

営業許可は、借りる人が自分の名前で取る

食品衛生法第55条第1項は「営業を営もうとする者は、(中略)都道府県知事の許可を受けなければならない」と定めています。許可を受けるのは建物ではなく、営業する人です。施行規則第67条でも、申請書には申請者の氏名、施設の所在地、営業の種類、食品衛生責任者の氏名、施設の図面を書くことになっています。

間借りで借りる人が自分の店として営業するなら、貸す側の許可証で借りる人が営業する形は前提にしません。借りる人が申請者になって、その店の住所で許可を取るのが、条文に沿った進め方です。

施設の基準は都道府県等が条例で定め(第54条)、許可はその基準に合うかを見て出されます(第55条第2項)。同じ厨房にもう1人の許可を出すときに、冷蔵庫や器具をどこまで分けるか、図面に何を書くかは、地域によって扱いが違うことがあります。貸す人と借りる人がそろって、店の所在地の保健所に事前に相談するのが確実です。

売るものによって許可の種類が変わることもあります。その場で食べてもらう料理なのか、持ち帰り用のお菓子やパンを作って並べるのかで、申請する営業の種類が違う場合があります。何を作ってどう売るかを、相談の前に書き出しておきます。

借りる人と貸す人が、それぞれ用意するもの

借りる人の準備と、貸す人の確認は別々にあります。どちらかが済んでいれば足りる、というものではありません。

借りる人:自分を申請者にした営業許可

店の所在地を受け持つ保健所に申請します。手数料や申請書の様式は自治体ごとに決まっているので、保健所の案内で確かめます。

借りる人:食品衛生責任者

施行規則の別表第17は、営業者が食品衛生責任者を定めることとしています。調理師や栄養士などの資格がない場合は、都道府県知事等が行う講習会などを受けた人が担当します。貸す側の店の責任者を、借りる人の営業の責任者として当てにしないでください。

借りる人:自分の営業の衛生管理

食品衛生法第51条は、営業者ごとに衛生管理の取り決めを定めて守ることを求めています。小さな店でやることの中身は、小さな飲食店のHACCPの記事で説明しています。

貸す人:建物の持ち主の承諾

店舗を借りている場合、民法第612条は、賃貸人の承諾なしに借りている物を第三者に使わせること(転貸)を禁じ、違反したときは賃貸人が契約を解除できると定めています。賃貸借契約書に転貸や使用目的の定めがあるかを確かめ、持ち主の承諾を書面でもらってから進めます。

貸す人:加入している保険の範囲

店の火災保険や賠償責任保険が、別の人が営業している時間の事故まで対象にしているかは、契約の内容によります。貸す前に保険会社や代理店に確かめます。借りる人にも自分の保険に入ってもらうかを話し合っておきます。

法律とは別に、始める前に2人で決めておくこと

ここからは法律の定めではなく、当社の整理です。間借りでもめやすいのは、許可よりも、厨房を交代で使う細かい部分です。次の項目を紙1枚に書き出し、2人で確認してから始めることをおすすめします。

使う時間と、片付けの終わる時刻

「18時から」だけでなく、仕込みに入ってよい時刻と、翌朝の営業に備えて片付けを終える時刻まで決めます。

冷蔵庫・冷凍庫・棚の区画

段ごとに使う人を決め、容器に店名と日付を書きます。どちらの食材か分からない物が残ると、使ってよいか迷い、廃棄の判断もできません。

共用する器具と、持ち込む器具

鍋や包丁、食器を共用するか、借りる人が持ち込むかを決めます。共用するなら、使った後の洗い方と置き場所までそろえます。調味料は原則として分けておくと、アレルギーの原因になる食材の混入を説明しやすくなります。

光熱費・ガス・ごみの分け方

時間で割るのか、定額にするのかを決めます。ごみの回収日と、事業ごみの契約がどちらの名義かも確かめます。

鍵の受け渡しと、閉店時の確認

誰が鍵を持つか、帰るときにガスの元栓や冷蔵庫の扉を確かめて記録するかを決めます。

体調不良や、お客さんからの苦情があったとき

食中毒の疑いや苦情が出たときに、どちらがどこへ連絡するかを決め、お互いの連絡先を厨房に貼っておきます。原因の調べ方は保健所の判断になるので、仕入れ先や作った日を、それぞれが記録しておくことが役に立ちます。

最初は紙の予定表で十分。借りる人が増えたら共有の予約表に

借りる人が1人なら、厨房の壁に貼った予定表と、冷蔵庫の区画図で回ります。曜日ごとに違う人が使うようになると、空いている日時の確認、片付けのチェック、冷蔵庫の中身の引き継ぎを、毎回口頭で伝えるのが難しくなります。

そうなったら、スマホから空き日時を見て申し込める予約表と、閉店時のチェック項目を写真付きで残せる記録を、共有の画面にまとめる方法があります。インストールの要らないブラウザで開く形なら、借りる人にも使ってもらいやすくなります。考え方はPWAの記事で説明しています。

店の外で売る形も考えているなら、キッチンカーの記事も参考になります。持ち帰り用に袋詰めして売る場合の表示は、店で作った惣菜やお菓子の消費期限の記事で説明しています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

厨房の貸し借りを回す予定表や記録を、店に合わせて用意できます。

空いている曜日を貸してみたい、借りる人が増えて予定の調整が追いつかない。そんな段階でも相談できます。営業許可の手続きは保健所で確かめていただく前提で、空き日時の予約、冷蔵庫の区画、片付けの記録をどうまとめるかを一緒に整理します。

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