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飲食・食品の業務

店の料理を、ふるさと納税の返礼品にできる?

店の料理や加工品、食事券は、ふるさと納税の返礼品になり得ます。返礼品を選ぶのは自治体で、店は市町村の募集に応募する立場です。店のある地域で作っていること、送る食品なら許可と表示が整っていること。この2つを確かめてから募集要領を読むのが最初の一歩です。

この記事でわかること

  • 返礼品は寄附を受けた自治体が事業者から調達するものです。法律では、調達費用を寄附額の3割以下にすることと、区域内で生産された物品や提供される役務であることが、自治体が制度の指定を受ける条件になっています。
  • 飲食店が出せる形には、店で作った加工品、店で食事ができる食事券、料理教室などの体験があります。どれも総務省告示の地場産品基準のどの類型に当たるかを、自治体が確認します。
  • 冷凍やレトルトにして送る食品は、飲食店営業の許可の範囲を超えることがあり、容器包装の食品表示も必要です。応募の前に保健所に確かめておきます。
  • 返礼品を強調して寄附を誘う宣伝は、自治体が守る基準で認められておらず、返礼品を扱う事業者が独自に行う宣伝も対象です。「お得」「ドカ盛り」のような表現も避けるよう求められています。

返礼品は自治体が選ぶ。店は募集に応募して商品を納める

ふるさと納税で寄附をした人に届くお礼の品(返礼品)は、寄附を受けた自治体が用意するものです。地方税法第37条の2では、返礼品の調達にかかる費用を寄附額の3割以下にすること、返礼品を区域内で生産された物品や区域内で提供される役務にすることが、自治体がふるさと納税の対象として総務大臣の指定を受ける条件になっています。制度の概要は総務省の説明ページにあります。

店から見ると、返礼品は自治体に商品やサービスを納める取引です。納める価格、送料をどちらが負担するか、発送の依頼がどこから届くか、代金がいつ支払われるかは、自治体ごとの募集要領や契約で決まります。他の町で聞いた条件が、自分の町でもそのまま通じるとは限りません。

出せるかどうかは、店のある市町村の募集を確認するところから始まります。ホームページで「返礼品提供事業者の募集」を案内している自治体があり、たとえば北海道の真狩村は、申込書と商品の説明書を出す形で随時受け付けています。

飲食店が出せる形は、加工品・食事券・体験

返礼品にできる「地場産品」の中身は、総務省告示(平成31年総務省告示第179号)の第5条に類型として並んでいます。飲食店に関わりやすいのは次の3つです。どの類型に当たるかは自治体が確認し、指定を受けるときに基準への適合を書いた申出書を総務大臣に出します(地方税法第37条の2第3項)。

加工品の決まりには細かい例外があります。熟成肉と精米は、原材料が同じ都道府県で生産されたものに限られます。地場産品に別の品を組み合わせるときは、地場産品の価値が全体の7割以上であることが条件です。宿泊(食事付きを含む)は、2024年6月の改正告示で食事券や体験とは別の類型に分けられたので、旅館や民宿は自治体に確認が必要です。

想定の例を挙げると、地元産のじゃがいもを使ったスープを店の厨房で作って瓶に詰める、店で食事ができる券を出す、閉店後の厨房で郷土料理の作り方を教える、といった形が考えられます。実際に採用されるかは自治体の判断です。

店で作った加工品

店のある市町村の中で、製造や加工の主要な工程を行い、相応の付加価値が生じているもの(第3号)。原材料の主要な部分が区域内で生産されたもの(第2号)も対象になります。

店で食事ができる食事券

区域内で提供される役務で、その主要な部分が地域と相当程度関連しているもの(第7号)に当たるかを確認します。

料理教室や仕込みの体験

食事券と同じく、区域内で提供される役務(第7号)として考えます。

応募の前に確かめておくこと

いちばん大事なのは、送る食品の許可です。厚生労働省のQ&Aでは、飲食店営業の「調理」は、その場で食べてもらうか、短期間のうちに食べられることを前提にしたものとされています。冷凍やレトルトにして日持ちさせ、遠くへ送る商品は、そうざい製造業や冷凍食品製造業など別の許可が必要になることがあります。店の設備でどこまで作れるかは、厚生労働省のQ&A(問5・問13・問14)を参考に、管轄の保健所に相談してください。

容器に入れて送る食品には、原材料やアレルゲンなどの表示が必要になります。店内で出す料理とは決まりが変わります。表示の考え方はメニューのアレルギー表示の記事で説明しています。

自治体ごとの条件も読んでおきます。真狩村の募集では、食品衛生法・食品表示法などの法令を守っていること、飲食物は出荷日から4日以上の賞味期限があること、品質と数量の面で安定して出せること、苦情に対応でき個人情報を厳重に扱えることなどが挙げられています。2022年10月に掲載された一つの村の例なので、自分の町の条件は必ず確認してください。

宣伝にも決まりがあります。総務省告示の第2条は、自治体が守る募集の基準として、返礼品を強調して寄附を誘う宣伝広告を挙げています。2024年の改正で、返礼品を扱う事業者が行う宣伝も含まれることが明記されました。総務省のQ&Aは、返礼品を扱う事業者が独自に強調した広告を出す場合も該当するとし、自治体に契約でそうした宣伝をしない旨を定めるよう求めています。

同じQ&Aは、寄附先選びをゆがめる表現の例として「お得」「コスパ最強」「ドカ盛り」「圧倒的なボリューム」「おまけ付き」「購入」などを挙げています。料理の紹介でつい使いたくなる言葉も含まれているので、店のSNSで返礼品になったことを知らせるときは、書き方を自治体に確認しておくと安心です。

返礼品を、店を知ってもらう入口として考える

ここからは当社の考えです。返礼品で届いた品をきっかけに、店そのものを知ってもらえる形にしておくと、寄附の後にもつながりが残ります。真狩村の募集では、発送する返礼品に事業者のチラシやカタログを一緒に入れられると案内されています。そうした自治体なら、店の場所や営業日、予約の方法を書いた紙を入れておけます。

食事券は、遠方の人が旅行のついでに店を訪れるきっかけになります。使える曜日や時間帯、予約が要るか、有効期限を先に決めておくと、通常の予約と重なって困ることが減ります。来店した人に次も来てもらう工夫は、常連さんに喜んでもらう仕組みの記事で紹介しています。

申込が増えてくると、発送する日と送り先の一覧、在庫、食事券が使われたかどうかの確認を、手作業で照らし合わせることになります。最初は紙や表計算で十分です。扱う件数が増えて照合に時間がかかるようになったら、店の業務に合わせた管理の仕組みを考える段階です。

よくある質問

店で使う食材が、店のある市町村以外の産地でも出せますか?

原材料が地元産でなくても、店のある市町村の中で製造や加工の主要な工程を行い、相応の付加価値が生じていれば、告示第5条第3号の類型で認められる場合があります。ただし熟成肉と精米は、原材料が同じ都道府県で生産されたものに限られます。どの類型に当たるかは自治体が確認するので、原材料の産地と店で行う工程を説明できるようにしておきます。

返礼品を納めると、店にはいくら入りますか?

法律で決まっているのは、自治体が返礼品の調達にかけられる費用の上限が寄附額の3割以下ということです。実際の納品価格や送料の負担、支払いの時期は自治体の募集要領や契約で決まります。総務省は2025年6月の資料で、自治体が合理的な理由なく一般の販売価格より高く調達しないよう求める方針を示しています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

返礼品の発送や食事券の確認を、店の業務に合わせて整理できます。

返礼品に応募するか迷っている、発送の一覧や在庫を紙で照らし合わせていて手間がかかっている。そんな段階でも相談できます。いまの注文や予約の受け方を聞きながら、紙のままでよい部分と画面で管理する部分を一緒に整理します。

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