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飲食・食品の業務

店で作った惣菜やお菓子の消費期限は、誰がどう決める?

店で作った惣菜やお菓子を容器や袋に入れて売るなら、期限は店が自分で決めて表示します。品目ごとの日数を国が決めているわけではありません。試験の結果や似た商品の記録などの根拠をもとに決め、その根拠を残しておくのが基本です。

この記事でわかること

  • 容器や袋に入れた惣菜やお菓子を売るときは、作った店で売る場合でも消費期限か賞味期限の表示が要ります。食品表示基準で省略できる項目に、期限は入っていません。
  • 弁当や惣菜、生菓子のように品質が急速に悪くなるものは消費期限、それ以外は賞味期限です。「5日」で分ける考え方は、いまは推奨されていません。
  • 期限を決めるのは、その食品をいちばんよく知る製造者や販売者です。全品目に共通の検査ルールはなく、試験や似た商品の結果、業界団体のマニュアルなどを使って店が決めます。
  • 決めた期限より短く貼って並べたあと、売れ残りの期限を貼り替えて延ばすのは不適切とされています。期限を決めた根拠の資料は残しておきます。

容器や袋に入れて売るなら、作った店で売っても期限の表示が要る

食品表示基準の第3条は、容器包装に入れられた加工食品を売るときに、名称・保存の方法・消費期限または賞味期限などを表示するよう定めています。店のショーケースに並べる袋入りの焼き菓子や、パック詰めした惣菜もこれに当たります。

同じ基準の第5条には、食品を作った場所でそのまま売る場合に表示を省略できる項目が並んでいます。原材料名・内容量・事業者の氏名と住所などは省略できますが、消費期限と賞味期限、保存の方法は入っていません。店の厨房で作って店頭で売るパックにも、期限と保存方法は書く必要があります。

注文を受けてからその場で容器に詰めて渡す売り方は、扱いが変わります。どの売り方が表示の対象になるかは、飲食店のアレルギー表示の記事で売り方ごとに整理しています。

消費期限か賞味期限か。分かれ目は、品質が悪くなる速さ

食品表示基準の定義では、消費期限は、決められた方法で保存したときに、腐ったり品質が落ちたりして安全でなくなるおそれがないと認められる期限です。賞味期限は、期待されるすべての品質が十分に保たれると認められる期限で、過ぎても品質が保たれていることがあるとされています。

消費者庁の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(令和7年3月)のQ&Aは、品質が急速に悪くなる食品には消費期限、比較的悪くなりにくい食品には賞味期限を表示するとし、消費期限の例として弁当・調理パン・そうざい・生菓子類・生めん類を、賞味期限の例としてスナック菓子・即席めん類・缶詰を挙げています。

以前は「5日」を境に消費期限と賞味期限を分ける考え方がありましたが、同じガイドラインは、言葉の定義にもとづく決め方とはいえないとして、いまは推奨していないと書いています。日数で機械的に分けず、その品物がどれくらいの速さで悪くなるかで判断します。

期限を決めるのは店。国は品目ごとの日数を決めていない

ガイドラインのQ&Aは、期限を決めるのは原則としてその食品を最もよく理解している者、つまり輸入品以外なら製造業者・加工業者・販売業者であり、責任を持って設定し表示するとしています。店で作って売る惣菜なら、その店が決める立場です。

期限を決めるために必ず行う検査は、品目をまたいだルールとしては決められていません。店が品物の特性や保存の状態をふまえて、何を測り、どこまでなら大丈夫とするかを自分で決めます。方法として挙げられているのは、菌の増え方を見る微生物試験、色や固さなどを測る理化学試験、人が見て食べて確かめる官能検査、そしてこれまでの商品づくりで積み上げた経験や知見です。

すべての商品ですべての試験をする必要はないともされています。業界団体が作った期限設定のマニュアルを参考に調べる項目を絞ったり、性質のよく似た食品の試験結果を参考にしたりして決めることもできます。ただし、似た食品を参考に期限を延ばす場合は、科学的・合理的な根拠が要ります。

調べる項目は、HACCPに沿った衛生管理で洗い出した危害要因をふまえて決めるよう、ガイドラインは求めています。店の衛生管理計画と期限の決め方はつながっているので、小さな飲食店のHACCPの記事もあわせて読むと整理しやすくなります。

試験で分かった日数から、どれだけ短くするか

試験などで分かった日数をそのまま期限にせず、1未満の係数(安全係数)を掛けたり、決まった日数を差し引いたりして期限を決めるのが一般的とされています。品物ごとのばらつきや季節、運ぶ途中や店での温度の変化を見込むためです。

ガイドラインは、品物の特性にもよるとしたうえで、安全係数はなるべく1に近づけ、差し引く日数はなるべく0に近づけることが望ましいとしています。このガイドラインは、食品の安全を守る観点と、食品ロスを減らす観点の両方から作られています。一方で、菌が増える可能性や品質のばらつきが大きい食品には、特性に応じて安全係数を設定する必要があるとも書かれています。

常温で売る品物については、期限を決めたときに想定した温度や湿度の条件を、保存の方法に書き添えることが望ましいとされています。想定した温度まで書いておくと、買った人も保存の仕方を判断しやすくなります。

決めたあとに守ること

期限の表示の仕方と、売り場での扱いについて、ガイドラインのQ&Aが示している主な点です。

年月日で書く

「製造日から3日間」のような書き方は認められていません。「消費期限 令和○年○月○日」のように年月日で書きます。製造日や「製造日から3日」を付け加えるのは、期限を正しく書いたうえでなら差し支えないとされています。

弁当は時間まで書くことも

法令が義務付けているのは日付までです。品質が特に早く悪くなる弁当の類は、必要に応じて時間まで書くことが望ましいとされています。

陳列後に期限を延ばさない

根拠のある期限より短い期限を貼って並べたあと、貼り替えて延ばすのは、当初の期限の範囲内でも不適切とされています。Q&Aは、当日を期限にした量り売りの惣菜を翌日の日付に貼り替えた例を、不適切な事例として挙げています。

消費期限を過ぎたものは売らない

消費期限を過ぎた食品を売ることは「厳に慎むべき」とされています。賞味期限は過ぎてもすぐに衛生上の問題が出るわけではありませんが、期限内に売ることが望ましいとされています。

言葉の意味を書き添えてよい

「消費期限(期限を過ぎたら食べないようにしてください。)」「賞味期限(おいしく食べることのできる期限です。)」のような説明を付けるのは、適切な情報提供とされています。

期限を決めた根拠を、品目ごとに書き残す

ガイドラインは、期限を決めた根拠の資料を整備・保管し、消費者などから求められたら情報を提供するよう努めることを求めています。決めた本人が覚えているだけでは、人が替わったときや、お客さんに聞かれたときに説明できません。

ここからは当社の提案です。品目ごとに次のような項目を1枚の表にしておくと、根拠をたどりやすくなります。項目は店に合わせて増やしたり減らしたりしてかまいません。

品目と保存の方法

品目名、容器や袋の種類、要冷蔵か常温か、常温なら想定した温度

期限の種類と日数

消費期限か賞味期限か、製造日から何日(弁当なら何時間)としたか

根拠

試験の結果、参考にした似た商品とその結果、参考にした業界団体のマニュアル、安全係数や差し引いた日数

決めた日と決めた人

いつ、誰が決めたか。レシピや容器、保存の方法を変えたときに見直した記録

品目が増えたら、期限とラベルをまとめて管理する

品目が数種類のうちは、紙の表とラベルの手書きでも回ります。日替わりの惣菜や季節の菓子で品目が入れ替わるようになると、品目ごとの期限の日数と根拠、その日のラベルを照らし合わせる手間が増えます。

当社では、惣菜・弁当店を想定して、品目ごとの表示の原稿からその日のラベルを発行する食品表示ラベルの作成・管理システムの開発プランを公開しています。仕込み担当者がその日に作る品目の消費期限と枚数を入力してラベルを発行する想定です。期限の日数そのものは店が決めるもので、システムが決めるものではありません。品目ごとに決めた日数と根拠を同じ画面で見られるようにするかどうかは、相談の中で一緒に決められます。

よくある質問

製造日だけを書いて売ってもいいですか?

認められていません。ガイドラインのQ&Aは、製造年月日だけを表示することは認められないとしています。消費期限か賞味期限を年月日で書いたうえで、任意で製造日を書き添えることは差し支えないとされています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

品目ごとの期限と根拠、ラベルの発行をひとつにまとめられます。

期限の日数を品目ごとに紙で管理していて、ラベルを書くたびに表を見返している。品目が増えて、根拠をたどれなくなってきた。そうした状況のご相談も受けています。期限の日数は店が決めるものなので、当社が手伝うのは、決めた日数と根拠を残し、ラベルに間違いなく載せるための仕組みづくりです。

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