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飲食・食品の業務

飲食店のメニューの値段は、税込で書かないといけない?

消費税の課税事業者がメニューや店頭に値段を出すなら、税込価格を書く決まりです。店内と持ち帰りで税率が違う店は、両方を書く、片方だけ書いて注意書きを添える、税込を同じ額にそろえる、の3つから選べます。

この記事でわかること

  • 消費税の課税事業者が、お客さんに向けてあらかじめ値段を表示するときは、税込価格を表示する必要があります(総額表示)。メニュー、店頭の看板、チラシ、ホームページのどれでも同じです。
  • 「1,000円(税抜)」「1,000円+税」のように税込価格が分からない書き方は認められません。「1,100円(税抜1,000円)」のように税込価格と並べて書くのは構いません。
  • 店内飲食は10%、持ち帰りと出前は8%。税率が違う店の表示は、両方の税込価格を書く、片方だけ書いて「持ち帰りは別価格」と分かるようにする、税抜価格を調整して税込を同じ額にする、の3つが国から例として示されています。
  • 2027年4月から2年間、持ち帰りなど飲食料品の税率を1%に下げる案が閣議決定されています。成立すれば店内飲食(10%)との差が広がるので、表示の方法を今のうちに見直しておくと慌てずに済みます。

値段を出すなら税込で書く、という決まり

消費税法第63条は、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税を含めた税込価格を表示するよう定めています。これを「総額表示」と呼びます。国税庁のタックスアンサー No.6902では、店頭表示、チラシ広告、新聞・テレビの広告など、表示する媒体を問わないとされています。飲食店ならメニュー、店頭の黒板、店のホームページやSNSに載せる値段が当てはまります。

対象は、あらかじめ表示する値段です。値段をまったく表示していない場合や、口頭で伝える値段までは義務になりません。国税庁の2026年9月のQ&Aでは、義務を負う事業者から免税事業者が除かれています。自分の店が課税事業者かどうか分からないときは、申告をお願いしている税理士か税務署に確かめてください。

認められる書き方

「1,100円」「1,100円(税込)」「1,100円(税抜1,000円)」「1,000円(税込1,100円)」。税込価格が一目で分かれば、税抜価格や消費税額を並べて書いてもよいとされています。

認められない書き方

「1,000円(税抜)」「1,000円+税」のように、税抜価格だけを書く表示。2021年3月末までは特例で認められていましたが、今は使えません。

店内は10%、持ち帰りと出前は8%

飲食料品の販売には軽減税率8%がかかりますが、店の中のテーブルや椅子で食べてもらう「外食」は対象外で10%です。同じ料理でも、持ち帰りや出前なら8%、店内で食べるなら10%になります。お酒は持ち帰りでも10%です。

どちらで食べるかは、注文のときにお客さんに確かめて決めます。国税庁の資料では、外食の店なら「テイクアウトの場合はお申し出ください」と掲示するなど、営業の実態に合った方法で確かめればよいとされています。

税率が違う店の、3つの表示方法

店内と持ち帰りでどんな値段を付けるかは、店が自由に決めてよいとされています。国税庁の軽減税率制度Q&A(個別事例編)の問121は、消費者庁・財務省などが示した価格表示の例として、次の3つを挙げています。本体価格1,000円の料理なら、店内飲食の税込は1,100円、持ち帰りの税込は1,080円です。

片方だけ書く方法は、もう片方の値段を表示していないので総額表示の決まりには反しません。ただ、持ち帰りの安い値段だけを書いて店内でも同じ値段に見えると、景品表示法で禁止される有利誤認にあたるおそれがあると同じQ&Aに書かれています。注意書きは小さくせず、メニューの同じ面に入れておくのが安全です。

両方の税込価格を書く

「天ぷらそば 店内1,100円/持ち帰り1,080円」。持ち帰りと店内の利用が同じくらいの店に向いています。メニューの行が増えるので、品数が多いと読みにくくなります。

片方だけ書いて、別価格だと伝える

店内用のメニューには店内の税込価格だけを書き、「持ち帰りの場合は税率が異なるため別価格です」と添えます。ほとんどが店内飲食の店に向いています。会計のときに持ち帰りの値段を出せるよう、レジ側にも登録しておきます。

税抜価格を調整して、税込を同じ額にする

持ち帰りの税抜価格を容器代などの分だけ高くする、または店内の税抜価格を下げて、どちらも税込1,100円にそろえます。表示も会計も1つで済みますが、適用される税率は違うままです。持ち帰りの値上げ分について聞かれたら理由を説明できるようにしておきます。

2027年4月からの、飲食料品の税率1%案

国税庁の消費税率引下げ特設サイトによると、2026年9月15日に閣議決定された大綱で、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を8%から1%に下げる案が示されています。特設サイトは、内容は今後法案が国会に提出され、可決・成立した場合のものだと説明しています(2026年10月11日時点の記載)。

1%の対象は、今8%がかかる飲食料品と同じ範囲です。持ち帰りと出前は1%になる一方、店内飲食とケータリング、お酒は10%のままです。本体価格1,000円の料理なら、持ち帰りの税込は1,080円から1,010円に下がり、店内飲食の1,100円との差は20円から90円に広がります。

差が広がると、表示方法の選び直しが必要になる店があります。税込を同じ額にそろえている店は、持ち帰りの税抜価格をさらに高くしないとそろわなくなります(店内1,100円にそろえるなら持ち帰りの税抜は約1,089円)。片方だけ書いている店は、持ち帰りの値段を聞かれる場面が増えるかもしれません。どれを選ぶかは店の自由で、決まりでどれかに決められるわけではありません。

値札の貼り替えが間に合わない事情がある場合のために、2027年2月から5月末までは、実際に払う額と誤認させない掲示をしていれば8%か1%のどちらで計算した税込価格を表示していてもよい、という特例も案に含まれています。2年後に8%へ戻るときにも同じ特例が設けられる予定です。

表示を見直すときに、店で確かめておくこと

税率の扱いが決まったら、変わるのはメニューの紙だけではありません。値段を書いている場所を先に洗い出しておくと、貼り替えの漏れを防げます。

値段を書いている場所

店内メニュー、持ち帰りメニュー、店頭の看板や黒板、店のホームページ、SNSの投稿、予約サイトや出前サイトの掲載。古い投稿に残った値段も表示にあたります。

レジ・注文の仕組み

店内と持ち帰りで税率を切り替えられるか、1%と10%の両方を設定できるか。レジや注文システムの会社が対応時期を案内しているかを確認します。国税庁の特設サイトにもレジ・システム開発事業者向けの案内があります。

持ち帰り容器代の扱い

容器代を別料金で受け取るか、料理の値段に含めるか。税込をそろえる方法を選ぶなら、何の費用を上乗せしているのかを説明できるようにしておきます。

申告への影響

免税事業者が課税事業者になるための届出や、簡易課税の計算方法にも特例が予定されています。持ち帰りや物販の売上が大きい店は、税理士に早めに相談しておくと安心です。

値段の一覧を1か所で持っておく

ここからは当社の考えです。店内と持ち帰りで値段を分けている店は、メニュー表、レジ、ホームページ、出前サイトに同じ料理の値段がばらばらに登録されていることがよくあります。税率が変わるたびにそれぞれを直すと、どこかに古い値段が残ります。

料理ごとに本体価格と、店内・持ち帰りの税込価格を1つの一覧で持ち、そこから各メニューやレジの登録を作るようにしておくと、税率が変わっても直す場所は1つで済みます。表計算ソフトの一覧から始めても十分です。原価の計算と合わせて管理したい場合は、原価管理アプリの記事でレシピ原価との結び付け方を説明しています。

よくある質問

「税込価格」と「税抜価格」、どちらを大きく書いてもいいですか?

国税庁のタックスアンサーでは「1,000円(税込価格1,100円)」のように税抜価格を先に書く例も認められています。ただし税込価格が一目で分かることが条件です。税込価格を小さく書いて読み取りにくくすると、この条件を満たさなくなるおそれがあるので注意してください。

出前サイトや予約サイトに載せている値段も、税込で書く必要がありますか?

総額表示は表示する媒体を問わないとされているので、お客さんに向けてあらかじめ値段を表示しているなら対象です。出前は持ち帰りと同じく軽減税率の対象なので、店内のメニューと値段が違う場合は、サイトごとに正しい税込価格になっているか確かめてください。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

メニューとレジの値段を、1か所で管理する仕組みも相談できます。

店内と持ち帰りで値段を分けていて、税率が変わるたびに直す場所が多い。そんな段階でも相談できます。税額の判断や申告については税理士・税務署にご確認いただく必要があります。いまの値段の登録先を聞きながら、まとめて管理する形を一緒に考えます。

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