飲食・食品の業務
ペット連れのお客さん、店に入ってもらっていい?
国の衛生基準が動物について定めているのは、厨房など食品を扱う場所です。客席にペットを入れるかは店の方針で決め、地域の条例や指導は保健所に確かめます。盲導犬・介助犬・聴導犬はペットとは別の扱いで、ペット不可の店でも原則として断れません。
この記事でわかること
- 食品衛生法施行規則は、食品を扱う区域や保存する区域で動物を飼わないことを求めています。厨房への立ち入りは、自治体の条例でも制限されています。
- 客席にお客さんのペットを入れることを直接禁じる条文は、この規則にはありません。地域ごとの条例や指導があるため、ペット可にする前に管轄の保健所に確かめます。
- 盲導犬・介助犬・聴導犬(身体障害者補助犬)は、身体障害者補助犬法で同伴を拒んではならないとされています。体の表示と、認定証などの書類で確かめられます。
- ペット可にするなら、入れる席、リードやキャリー、水を入れる器、ほかのお客さんへの案内を先に決めます。店の犬や猫とふれあえる店にするには、動物取扱業の登録も要ります。
決まりがあるのは、食品を扱う場所
食品衛生法施行規則の別表第十七は、営業する人が守る衛生管理の基準です。施設の衛生管理の項目に「食品又は添加物を取り扱い、又は保存する区域において動物を飼育しないこと」とあります。厨房や食材を置く倉庫で、店の犬や猫を飼うことはできません。
厚生労働省の補助犬ユーザー受け入れガイドブック:飲食店編は、自治体の条例に作業場内(厨房)に動物を入れないことが書かれていると説明しています。客席は別で、同じガイドブックは、条例が客席への補助犬の同伴を禁止するものではないとしています。
お客さんのペットについても、施行規則には客席への同伴を直接禁じる条文は見当たりません。ただ、条例の書き方や保健所の指導は地域で違います。ペット可の席を作る前に、店の図面を持って管轄の保健所に相談しておくと、後から席の作りを変えずに済みます。
盲導犬・介助犬・聴導犬は、ペット不可の店でも受け入れる
身体障害者補助犬法は、盲導犬・介助犬・聴導犬をまとめて「身体障害者補助犬」と呼びます。第9条は、不特定多数の人が使う施設を管理する人に、身体障害のある人が補助犬を連れて利用するのを拒んではならないと定めています。飲食店もこの施設にあたります。
断ってよいのは、補助犬が一緒にいることで店に著しい損害が出るおそれがあるなど、やむを得ない理由がある場合だけです。ガイドブックは、補助犬を理由にした入店の拒否は、障害者差別解消法の「不当な差別的取扱い」にもあたると説明しています。補助犬のお客さんだけテラス席に案内することも、適切ではないとされています。
ガイドブックによると、拒否の理由として「保健所の指導で犬は店内に入れない」と答える例が目立つそうです。先に説明したとおり、厨房と客席は扱いが違います。店のスタッフが同じ誤解で断ってしまわないよう、受け入れの考え方を共有しておくことが大切です。
補助犬かどうかの確かめ方
補助犬を連れた人は、法律で、犬の胴体など見やすいところに補助犬であることの表示をつけることになっています。盲導犬は白か黄色のハーネスをつけています。疑問があるときは、認定証(盲導犬は使用者証)や健康管理手帳を見せてもらってかまいません。ガイドブックは、書類の提示を求めることは失礼にあたらず、表示も書類もない場合は受け入れの義務はないとしています。
セラピー犬などは、法律上はペットと同じ扱い
病院などで活動するセラピー犬や、海外で精神的な支えとして認められている犬は、この法律の補助犬に含まれません。ガイドブックは、施設の利用ではペットと同様に扱われると説明しています。海外から来た補助犬のお客さんは、日本の認定団体が出す「期間限定証明書」の有無で確かめられます。
犬が苦手なお客さんがいるとき
ガイドブックは、犬のアレルギーがある人や犬が怖い人がいる場合、両方のお客さんが離れて座れるよう席を調整する対応例を示しています。どちらかを断らずに、席の配置で両立させる考え方です。
断れるのは、犬の様子に問題があるとき
ほえ続ける、強いにおいがする、人に飛びつくなど、連れている人が犬の行動を管理できていない場合は、理由をはっきり伝えて同伴を断れます。ただし聴導犬は、音を知らせるために人の太ももに前足をかけることがあり、これは補助の動作です。
ペット可にするなら、先に決めておくこと
ペット連れのお客さんに来てほしい店は、受け入れ方を店のルールとして決めておくと、スタッフによって対応がばらつきません。ここからは、決めておく項目の例です。法律で決められた項目とは違うので、店の作りやお客さんに合わせて選んでください。
どの席に入ってもらうか
テラス席だけにするか、店内の一部の席にするかを決めます。厨房や食材の置き場の近くを通らずに座れる席を選ぶと、保健所に相談するときも説明しやすくなります。
リード・キャリーと、椅子やテーブルの扱い
店内ではリードを短く持つ、小型犬はキャリーに入れる、椅子やテーブルの上に乗せない、といった約束を決め、入口と予約のときに伝えます。
水を入れる器と片付け
ペット用の水の器を貸すなら、お客さんに出す食器とは分けて、洗う場所と置く場所も分けます。ペット可の席の掃除を、店の衛生管理計画の清掃の手順に加えておくと、記録もそろいます。
ほかのお客さんへの案内
店の入口、ホームページ、予約の案内に「テラス席はペット同伴可」のように書いておくと、犬が苦手なお客さんも店を選べます。
「ペット不可」の店は、貼り紙の書き方に気をつける
入口に「ペットお断り」とだけ貼っていると、補助犬を連れた人が入ってよいか迷ってしまいます。厚生労働省は、補助犬の受け入れを示す「ほじょ犬マーク」を身体障害者補助犬のページで配布しています。ペット不可の店でも、このマークを並べて貼るか、「補助犬は同伴いただけます」と書き添えておくと、入口で迷わせずに済みます。
受け入れで分からないことやお客さんとの行き違いがあったときは、都道府県などの補助犬の担当窓口に相談できます。担当窓口の一覧は同じページにあります。
店の犬や猫とふれあえる店には、別の登録が要る
店で飼っている犬や猫とお客さんがふれあえる店にする場合は、決まりが変わります。動物の愛護及び管理に関する法律の第10条は、動物の展示(ふれあいの機会の提供を含む)を仕事として行う人に、第一種動物取扱業として都道府県知事の登録を受けることを求めています。札幌市のような指定都市では、市長の登録になります。
飲食を出すなら営業許可も要り、厨房など食品を扱う場所で動物を飼わない決まりはそのまま当てはまります。動物のいる場所と厨房をどう分けるかを、動物の登録の窓口と保健所の両方に確かめてから、店の作りを決めることになります。
ペット可の席や店のルールを、予約のときに伝わる形にします。
ペット同伴の可否を予約の画面で選べるようにしたい、店のホームページとグルメサイトで案内がそろっていない。そうした相談を受け付けています。法令の判断は保健所などの窓口で確かめていただき、当社は案内の出し方や予約の受け方を一緒に考えます。
