飲食・食品の業務
レバ刺しやユッケ、店で出してもいい?
牛のレバーと、豚の肉・内臓は、生や半生で出すことが食品衛生法の基準で禁止されています。ユッケや牛刺しは、生食用牛肉の基準に沿って加工した肉なら出せます。鶏刺しに国の禁止規定はありませんが、加熱用の鶏肉を生で出すことはできません。
この記事でわかること
- 牛のレバーは2012年7月から、豚の肉と内臓(レバーを含む)は2015年6月から、生食用として売ること・出すことが禁止されています。どれだけ新鮮でも、SPF豚でも同じです。
- 焼肉店でお客さんが自分で焼く場合は、コンロなどの加熱設備を出し、「加熱用です」「中心部まで加熱してください」などをメニューや掲示で伝えます。生で食べている人には声をかけます。
- ユッケ・牛刺し・牛タタキは、専用の設備で肉の表面から深さ1cm以上を60℃で2分以上加熱殺菌するなどの基準に沿った肉に限られます。店内には、食中毒のリスクと、子どもや高齢者は控えるべきことを掲示します。
- 鶏肉には生食の規格基準がありません。ただ、鶏刺しや生焼けの焼き鳥による食中毒が多く、「加熱用」と表示された鶏肉は生や半生で出せません。
牛のレバーと豚肉は、生や半生では出せない
食品衛生法にもとづく規格基準は、牛の肝臓(レバー)を生食用として売ってはならないと定めています。2012年7月からの決まりです。厚生労働省のお肉はよく焼いて食べようのページによると、牛レバーの内部からも腸管出血性大腸菌が見つかっていて、わずかな菌でも重い症状につながることがあるためです。
豚の肉と内臓は、2015年6月12日から同じように生食用での提供が禁止されました。豚はE型肝炎ウイルスに感染していることがあり、厚生労働省の豚の食肉の基準に関するQ&Aは、ウイルスや寄生虫は肉の内部にいるため、中まで加熱する以外に防ぐ方法がないと説明しています。特定の病気にかかっていないことが証明された「SPF豚」も対象です。
店の厨房で調理して出すときは、中心部を63℃で30分以上、またはこれと同じ以上の効果がある方法で加熱します。Q&Aは、75℃で1分以上の加熱でもよく、中心部の色が白っぽく変わるのが目安だとしています。
焼肉店でお客さんが焼くときは、伝え方まで決まっている
お客さんが自分で焼く店では、生のレバーや豚肉を「加熱用」として出せます。その代わり、店は次のことをするよう求められています。厚生労働省の飲食店向けリーフレット牛・豚のレバーや豚肉は中までしっかり加熱してくださいにチェックリストがあり、店内の掲示用のページも付いています。
火力が続く加熱設備を出す
コンロや七輪など、一定の火力を保てる設備を席に出します。豚のQ&Aは、焼き石のような方法なら、出した肉が中心部まで十分に焼けるものにするよう求めています。
メニューや掲示で3つのことを伝える
「加熱用であること」「調理の際に中心部まで加熱する必要があること」「食中毒の危険性があるため生では食べられないこと」を、メニューや店内の掲示で伝えます。
生で食べている人には声をかける
案内していても、生や焼きの足りない状態で食べているお客さんがいたら、しっかり焼くよう重ねて伝えます。スタッフ全員が同じように声をかけられるよう、決めておくと迷いません。
生肉用のトングや箸を分ける
焼く前の肉に触れたトングや箸で、焼けた肉やサラダを取ると菌が移ります。生肉用の取り箸やトングを別に出します。
ユッケや牛刺しは、生食用牛肉の基準を満たした肉だけ
牛の肉(内臓を除く)を生で出すには、2011年10月から始まった生食用食肉の規格基準を満たす必要があります。厚生労働省の生食用食肉(牛肉)の規格基準設定に関するQ&Aによると、対象はユッケ、タルタルステーキ、牛刺し、牛タタキです。ステーキはレアでも対象外で、中心部まで加熱して作るローストビーフも対象外です。
基準のおもな中身は、専用の設備と器具を使うこと、肉の塊を包装して表面から深さ1cm以上の部分を60℃で2分以上加熱殺菌し、すぐに4℃以下へ冷やすこと、検査で腸内細菌科菌群が陰性であること、加熱の温度と時間の記録を1年間残すことです。加工や調理は、都道府県知事などが生食用食肉を扱う人として認めた人などが行うか、その人の監督の下で行います。
加熱殺菌まで済んだ肉を仕入れて、店で切って味付けするだけの場合も、専用の設備や器具を使う決まりは同じように当てはまります。味付けした肉はすぐに出す必要があり、味付けして冷やしておく作り置きは認められていません。設備と人の条件があるため、始める前に管轄の保健所に相談するのが確実です。
店内に掲示する2つのこと
食品表示基準の第40条は、生食用の牛肉を容器包装に入れずに売るとき、「一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨」と「子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者は食肉の生食を控えるべき旨」を、店の見やすい場所に表示するよう定めています。店内で食べてもらう料理は、ふだん食品表示基準の対象外ですが、この条文だけは当てはまります。
「タタキ」を「レアステーキ」と言い換えない
Q&Aは、もともと牛タタキとして出していた料理を、名前だけレアステーキに変えて出すことは不適切だとしています。
鶏刺しや馬刺しは、国の禁止規定はないが別の決まりがある
鶏肉には、牛のような生食の規格基準がありません。ただ、厚生労働省のリーフレット鶏肉は十分に加熱して提供しましょうは、カンピロバクターによる食中毒が細菌性の食中毒で最も多く、鶏刺し、鶏たたき、鶏わさ、生焼けの焼き鳥が原因として多く報告されていると示しています。新鮮な鶏肉でも菌がいる可能性があります。
仕入れた鶏肉に「加熱用」「生食には使用しないでください」などの表示や規格書の記載があれば、その肉を生や半生で出すことはできません。厚生労働省は、加熱用と知りながら生で出して食中毒を繰り返した店などを、警察との連携や告発など厳しく対応するよう自治体に通知しています。用途が分からない鶏肉も、生食用には使いません。
生食用の鶏肉について独自の衛生基準を設けている自治体もあります。鶏刺しを出したい場合は、仕入れ先が生食用として出している肉かどうかと、店のある地域の基準を保健所に確かめてください。
馬肉には、1998年に国が定めた生食用食肉の衛生基準(通知)があります。ただ、牛肉の基準を満たした肉でも馬肉でも、食中毒の菌を完全に取り除くことは難しく、厚生労働省は子どもや高齢者など抵抗力の弱い人は生肉を控えるよう呼びかけています。シカやイノシシなどのジビエは、厚生労働省の指針で生食用には出さないよう求められています。
メニューと掲示を見直すときの確認項目
決まりを知ったうえで、いまのメニューや店内の案内を見直すときの項目です。法令の条文そのものではなく、ここまでの内容を店の作業に置き換えた当社の整理です。
メニューの名前と説明の言葉
牛レバーや豚肉の料理に「レバ刺し」「刺し」と付けていないか、「生でも食べられるほど新鮮」のように生で食べられると思わせる言葉がないかを確かめます。豚のQ&Aは、そうした表示はできないとしています。
仕入れた肉の表示
鶏肉や牛肉の包装・規格書に「加熱用」とあるかを確かめ、生や半生の料理に使う肉と取り違えないよう、置き場所やラベルを分けます。
スタッフへの共有
焼肉の声かけ、生肉用トングの出し方、子どもや高齢者のお客さんから生の肉料理を頼まれたときの伝え方を、新しく入ったスタッフにも同じように伝えます。衛生管理計画に書き足しておくと、教えるときの手元資料になります。
メニューの注意書きを、紙のメニューにも注文の画面にもそろえます。
加熱用の案内を、スマホで注文する画面やタブレットのメニューにも出したい。スタッフへの伝え方を手順書にまとめたい。そうした相談を受け付けています。法令の判断は保健所で確かめていただき、当社は案内の出し方や店の仕組みづくりを一緒に考えます。
