EvoQuest

飲食・食品の業務

飲食店のレシートや領収書に、宛名は要る?

インボイス登録をした飲食店は、記載を減らした「適格簡易請求書」を渡せます。宛名は不要で、消費税額か税率のどちらかを書けば足ります。レジのレシートでも手書きの領収書でも、決まった5つの項目がそろっていれば使えます。

この記事でわかること

  • 飲食店業は、インボイス(適格請求書)の代わりに、記載事項を減らした「適格簡易請求書」を渡せる事業の一つです。登録番号のある店に限られます。
  • 必要な項目は、店名と登録番号、日付、内容、税率ごとに分けた合計金額、税率ごとの消費税額か適用税率のどちらか、の5つです。お客さんの会社名(宛名)は書かなくてかまいません。
  • 手書きの領収書でも、5つの項目があれば適格簡易請求書になります。宛名は空欄か「上様」でよく、税込金額を書いていれば税抜金額は要りません。
  • 免税事業者の店も、これまでどおり領収書は出せます。ただし登録番号に似た番号を書くと罰則の対象になります。

飲食店は「簡易」なインボイスを渡せる

インボイス制度では、仕入れにかかった消費税を差し引く(仕入税額控除)ために、買う側が登録番号のある請求書や領収書を保存しておく必要があります。売る側でこの書類を出せるのは、税務署に登録した「適格請求書発行事業者」だけです。登録番号は「T」に続く13桁の数字です。

国税庁のインボイスQ&A 問24は、小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業などの事業は、通常のインボイスの代わりに、記載事項を簡易にした「適格簡易請求書」を渡せるとしています。飲食店業は「不特定かつ多数の者に対するもの」という限定もなく対象です。

登録した店は、課税事業者のお客さんから求められたら、インボイスを渡す義務があります(問23)。会社の会食や出張中の食事で「領収書をください」と言われる場面が、ちょうどこれに当たります。

レシートに必要な5つの項目

国税庁のインボイスQ&A 問58が示す適格簡易請求書の記載事項は、次の5つです。通常のインボイスと比べると、お客さんの会社名が要らないことと、消費税額と税率のどちらか一方を書けばよいことが違います。

店内飲食(10%)と持ち帰り(8%)を同じ会計で受けることがある店は、軽減税率の品目に「※」などの印を付け、税率ごとの合計を分けて書きます。国税庁のタックスアンサー No.6625は、記号を付ける方法のほか、税率ごとに品目を分けて並べる方法も挙げています。

1. 店の名前と登録番号

屋号や会社名と「T1234567890123」のような登録番号。レジのレシートなら、ヘッダーの店名の下に登録番号を入れる設定にしておきます。

2. 取引した日

会計した年月日です。

3. 何を売ったか

料理名や「飲食代」など。持ち帰りの料理など軽減税率の品目があれば、その品目に軽減税率の対象だと分かる印を付けます。

4. 税率ごとに分けた合計金額

「10%対象 3,300円」「8%対象 1,080円」のように、税率ごとに合計した金額。税込でも税抜でもかまいません。

5. 消費税額か、適用税率のどちらか

「(内消費税 300円)」のような税率ごとの消費税額か、「10%」という税率のどちらかを書きます。両方書いてもかまいません。

消費税額を書くなら、端数の扱いに気を付ける

レシートに消費税額を印字する場合、1円未満の端数は、1枚のレシートにつき税率ごとに1回だけ処理します。切り上げ・切り捨て・四捨五入のどれを選ぶかは店の自由です。料理1品ごとに消費税額を計算して端数を処理し、それを足し上げた額を書く方法は認められていません(問57)。

レジの設定で品目ごとに消費税を計算している場合は、レジの販売元にインボイスに合った計算になっているか確かめてください。消費税額を書かずに適用税率だけを書く方法を選べば、レシート上の端数の問題は生じません。

手書きの領収書も使える

宴会や会食で、レシートとは別に手書きの領収書を頼まれる店も多いと思います。国税庁のインボイスQ&A 問58-2は、手書きの領収書でも適格簡易請求書として渡せるとしています。

同じQ&Aの記載例では、宛名は省略でき、「上様」と書いてもよいとされています。税込金額を書いていれば税抜金額は不要で、消費税額か税率のどちらかを書けば足ります。たとえば「16,500円 但し飲食費として」と書き、内訳の欄に「10%」と書いて、店の名前と登録番号を入れる形です。

市販の領収書の用紙には税率や内訳の欄が無いものもあります。登録番号の入ったゴム印を作る、税率と税率ごとの金額の欄がある用紙に替える、のどちらかで書き漏れを防げます。登録した店には、渡したインボイスの写しを保存する義務もあるので、複写式の用紙を使うと控えが手元に残ります。

後日「なくしたので再発行を」と言われたら

レジのレシートで適格簡易請求書をすでに渡しているなら、その時点で交付の義務は果たしています。国税庁のインボイスQ&A 問24-5は、レジで再発行できる期間を過ぎた後に頼まれても、消費税法上の対応は求められないとしています。お客さんが受け取らずに置いていった場合も、渡したものとして扱ってよいとされています。

一方で、一度も渡していない取引は、レジで出せなくなっても義務は残ります。お客さんが取引の記録を示し、渡すべき事情があると認められる場合は、手書きなどで対応する必要があります。

インボイス登録をしていない店は

免税事業者の店など、登録をしていない店も、登録番号の無いレシートや領収書はこれまでどおり出せます(問26-2)。

気を付けたいのは、インボイスと間違えられる書き方です。同じQ&Aは、登録番号に似た英数字や他人の登録番号を自分の登録番号として書いた書類を渡すことは禁止されていて、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になると説明しています。「インボイス対応の領収書を」と頼まれたら、登録していないことをそのまま伝えてください。登録するかどうかは売上や取引先によって判断が変わるので、税理士か税務署に相談して決めます。

店で確かめておくこと

一度レジの設定を確認すれば、毎日の会計で手間が増えることはほとんどありません。次の点を、手元のレシートを1枚見ながら確かめてみてください。お客さんの側でも、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで登録番号が確認できます。

国税庁の消費税率引下げ特設サイトでは、2027年4月から2年間、持ち帰りなどの飲食料品の税率を引き下げる案が示されています(2026年10月19日時点、法案の成立前)。成立すればレシートに印字する税率も変わるので、レジの販売元の案内を見ておくと安心です。値段の表示への影響はメニューの税込表示の記事で説明しています。

レシート

登録番号が印字されているか。持ち帰りの品目に軽減税率の印があり、税率ごとの合計が分かれているか。

手書きの領収書

登録番号、税率、税率ごとの金額を書く欄があるか。控えが残る用紙か。

店のスタッフ

「インボイス対応の領収書を」と言われたときに、レシートで足りることや、手書きで何を書くかを説明できるか。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

会計や注文の仕組みを見直したいときは、相談できます。

店内と持ち帰りで会計を分ける手間がある、予約や注文の記録がばらばらになっている、といった段階でも相談できます。消費税の判断や申告については税理士・税務署にご確認いただく必要があります。いまの会計の流れを聞きながら、店に合う形を一緒に考えます。

飲食店の業務について相談する (新しいタブで開きます)

メールでのお問い合わせ:info@evoquest.jp 解説記事一覧へ戻る

EvoQuest

AI相談窓口

EvoQuestについて、
気になることを聞いてください。

サービスの内容や制作実績、
費用の目安などをご案内します。

AIが回答します。個人情報・機密情報は入力しないでください。入力内容は回答のためにAI提供元へ送信されます。利用について(新しいタブ)

直接お問い合わせ

会話はこのタブに一時保存されます。