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飲食の需要予測・AI

旅館の朝食は名簿どおりに何人分作るか。来ない人数の引き方と、炊き上がりの時刻から炊飯量を逆算する手順

宿泊者名簿の朝食付き人数から、来ない人の分を区分ごとに引いた数で用意します。炊飯だけは少なめの数で炊き、炊き上がりの時刻から米を研ぐ時刻を逆算します。客室10〜30室で朝食を自館で出している旅館・小規模ホテル向けの記事です。

この記事でわかること

  • 名簿の人数と食堂に来る人数がずれる理由は4つあります。朝食なしのプラン、早立ち、連泊中の休み、添い寝の子どもと当日の申込です。旅館業法が名簿に求める記載は氏名・住所・連絡先で、朝食の有無は予約台帳にしかありません。
  • 引く数は「来た・来ない」の記録から区分ごとに出します。記録が無い宿は、食堂の入口で名簿に印を付けるところから始めます。1ヶ月で区分ごとの来場率が出ます。
  • 炊飯は炊き上がりの時刻から逆算します。農林水産省の資料では、米1合150gは炊くと約340g、浸水は最低30分できれば60分、加熱と蒸らしで35〜40分です。7時に炊き上げるなら、米を研ぐのは5時20分ごろです。
  • 来た時刻を15分刻みで残すと、区分ごとに山の時刻が出ます。炊き上がりの時刻、先に焼く枚数、ホールの人数を前夜に決められます。

名簿の人数から来ない分を引き、炊飯だけ少なめの数で炊く

旅館の朝食は、宿泊者名簿の人数をそのまま使わず、名簿の朝食付き人数から「食べに来ない人」の分を引いた数で用意します。引く数は、団体・連泊・個人といった区分ごとに、過去の「来た・来ない」の記録から出します。記録が無い宿は、食堂の入口で名簿に印を付けるところから始めれば足ります。

引いた数は1つに決めず、少なめと多めの2つで持ちます。朝に一度で仕上げる炊飯とだしは少なめの数で用意し、焼き物や小鉢のように短時間で足せる品は多めの数まで材料を出しておきます。アレルギー対応食や子ども用のように切らせない品は、名簿どおりの数で固定します。

炊飯は炊き上がりの時刻から逆算します。農林水産省の資料では、米は炊くと重さが2.2〜2.3倍になり、浸水に最低30分できれば60分、加熱と蒸らしに35〜40分かかります。7時に炊き上げるなら、米を研ぐのは5時20分ごろです。客室10〜30室で朝食を自館で出す旅館・小規模ホテル向けに整理しました。

宿泊者名簿に「朝食を食べるか」は書いていない。ずれる4つの理由

宿泊者名簿は旅館業法第6条で備え付けが義務になっていて、記載するのは宿泊者の氏名・住所・連絡先です(施行規則第4条の2。日本に住所の無い外国人は国籍と旅券番号も)。2023年12月13日施行の改正で「連絡先」が加わり「職業」が外れました。作成の日から3年間の保存も定められています。つまり「あす何人泊まるか」は、どの宿にも必ず紙かデータで残っています。

ただ、名簿の項目に「朝食を食べるか」「何時に来るか」はありません。それは予約台帳のプランと、当日の本人の都合で決まります。名簿の人数と食堂に来る人数がずれる理由は、おもに次の4つです。

毎朝決め直すのは、人数が日によって大きく動くからです。観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年の年間値)では、旅館の客室稼働率は全国で38.2%、北海道で43.9%です。ビジネスホテルの75.3%と比べると、旅館は半分以上の客室が空いている日のほうが多く、平日の3室と土曜の満室が同じ週に並びます。北海道の旅館は月でも動き、4月の29.6%から7月の56.3%まで開きます。「いつもの合数」が成り立たない理由はここにあります。

同じ調査で、全国の宿泊施設72,480のうち従業者9人以下が58,550施設です(2025年6月)。北海道は5,045施設のうち4,205施設です。8割の宿では、前夜に名簿を数えるのも朝に炊くのも同じ人か2人です。仕組みは、その人の手を増やさない形で組みます。

朝食なしのプラン・素泊まり

名簿には載りますが、食堂には来ません。台帳のプランで前夜に分かるので、確定して引ける分です。

早立ち

工事や出張の連泊客が、朝食の開始前に出ます。前夜に「あすは早い」と聞けた分は確定で引き、聞けなかった分は区分の来場率で見込みます。

連泊中の休み

4泊目・5泊目に朝食を休む人が出ます。何泊目から欠けやすいかは宿ごとに違い、自館の記録でしか分かりません。

添い寝の子どもと当日の申込

名簿の人数に入らない子どもの食事と、当日「やっぱり朝食を」の追加です。上に外れる側の項目なので、多めの数の中で受けます。

炊飯量は炊き上がり時刻から逆算する。1合340g、浸水と加熱で約1時間半

炊飯は営業中に足すのに時間がかかるので、朝に一度で決めます。農林水産省の資料では、米1合(150g)は炊くと約340gになり、ご飯茶わんに軽く1杯が約150gです。1合で茶わん2杯と少しです。ただし旅館の朝食はおかわりの有無と茶わんの大きさで1人あたりの量が変わるので、1人何グラムかは自館の余りから測ります。炊いた合数×340gから残ったご飯の重さを引き、来た人数で割れば、翌朝から使える数字になります。

時刻の逆算はこうなります。米の調理特性の資料では、浸水は最低30分、できれば60分、加熱は温度上昇に約10分、沸騰に約5分、蒸し煮に10〜15分、蒸らしに約10分です。7時に炊き上げるなら、6時20分には火を入れ、5時20分には米を研いで浸しておく計算です。この時刻より前に決めた合数が、その朝の炊飯量です。

見込みが上に外れたときの受けは、2回目の炊飯です。2回目の分をあらかじめ研いで浸しておけば、加熱と蒸らしの40分だけで炊き上がります。朝食が9時までなら、2回目を炊くかどうかの締切は8時20分です。締切を過ぎたら追加はできないので、その時刻までに来場の消し込みを見て決めます。余った分は、捨てた重さではなく余った合数を毎朝1行残します。

DEMO

区分ごとの人数と来場率を動かして、炊く合数と研ぐ時刻を確かめる

名簿の朝食付き人数を団体・連泊・個人の3区分で入れ、区分ごとの来場率と幅を動かすと、来る人数の見込みが少なめ・多めで出ます。炊き上がりの時刻と浸水・加熱の時間から、米を研ぐ時刻と2回目の炊飯の締切が決まり、区分ごとの来場の中心時刻から15分ごとの山とホールの人数が変わります。

朝食の見込み表|名簿から来ない分を引き、炊飯の合数と時刻、来場の山を前夜に出す

区分ごとの「名簿の人数×来場率」を足して見込みの中央を出し、幅で少なめと多めに分ける画面です。少なめの人数×1人あたりのご飯÷340gで炊く合数が決まり、炊き上がりの時刻から浸水と加熱の時間をさかのぼって研ぐ時刻が出ます。来場の中心時刻を区分ごとに動かすと、15分ごとの人数の山と、その枠に必要なホールの人数が変わります。

触って動かせます
計算の中身
見込みの中央=区分ごとの「名簿人数×来場率」の合計。中央−幅が少なめ、中央+幅が多め。炊く合数=少なめの人数×1人あたりのご飯(g)÷340g(切り上げ)。研ぐ時刻=炊き上がり−(浸水+加熱と蒸らし)。2回目の締切=朝食終了−加熱と蒸らし。
使っている前提
1合が炊くと約340gになること、浸水30〜60分・加熱と蒸らし35〜40分は農林水産省の資料の数字です。区分ごとの人数・来場率・1人あたりのご飯の量・米代・来場の中心時刻はすべて入力例で、自館の記録に置き換えてください。
確かめてほしいところ
連泊・工事の来場率を75%から50%に下げると、少なめの人数が減って炊く合数が1合減ります。次に団体の中心時刻を7:15から8:00に動かしてみてください。個人・家族の山と重なって、その枠のホールの人数が1人増えます。

※ 来場の山は、区分ごとの中心時刻に4割、前後の枠に各2割5分、その外側に各5分を置いた入力例です。実際の分布は自館の記録から出ます。余った米代は「多めの数で炊いて実際が少なめだった場合」の上限で、まかないに回した分は損になりません。

何時に来るかを区分ごとに記録する。15分ごとの山でホールの人数を決める

人数と同じくらい、何時に来るかで朝の段取りが決まります。バスが8時20分に出る団体は7時台前半に固まり、工事の連泊客は開始と同時に来て、家族連れは朝湯のあとの8時台に来る。この並びは宿ごとに違うので、区分ごとに来場時刻を残します。

残し方は、食堂の入口に置いた名簿の部屋番号の横に、来た時刻を15分刻みで書くだけです。1ヶ月たまると、団体・連泊・個人の3区分ごとに、どの枠に何割が来るかが出ます。前夜に名簿の区分ごとの人数へその割合を掛けると、15分ごとの来場人数の山になります。

山が見えると、前夜に決められることが3つ増えます。炊き上がりの時刻を最初の山の30分前に置く。先に焼いておく魚の枚数を最初の枠の人数にそろえる。ホールを1人で回すか2人にするかを決める。応援の電話を当日の朝にかけずに済むのは、この3つが前夜に決まっているからです。

余ったご飯と切らした朝、どちらの損が重いか。品目ごとに向きを変える

余ったご飯の損は米代で、切らした朝の損は宿の評判です。同じ「1人分」でも重さが違うので、全部の品を少なめに寄せる決め方はしません。炊飯とだしは余りの損が小さく追加の締切が早いので、少なめで構えて2回目で受けます。焼き魚は1枚ずつ足せるので、多めの数まで冷蔵庫から出しておき、焼く枚数は来た人数に合わせます。

アレルギー対応食と子ども用は、切らしたときの損が大きく、余っても数が小さいので名簿どおりです。ビュッフェ台のある宿では、終了30分前に出す大鉢を小鉢に替えるだけで、手つかずで下げる量が減ります。農林水産省の推計では、2024年度の食品ロスは全国で461万トン、うち外食産業が70万トンです。宿の朝食の余りは、宿の中で合数を数えないかぎり金額になりません。

余った朝

余った合数×米代。炊飯器に残ったご飯を合数で記録するだけで、グラムの計量までは求めません。

切らした朝

ご飯が無いと言った時刻と、そのあとに来た人数。2回目の炊飯が間に合ったかどうかも1行で残します。

月に1回見るもの

余った合数の合計と、切らした朝の回数。両方を並べて、少なめの数をどこまで下げてよいかを見直します。

紙のチェックから始める。仕組みにする費用は3つで変わる

最初の1ヶ月は、道具を買わずに紙で始めます。食堂の入口の名簿に「来た時刻」を書き、片付けのあとに炊いた合数と余った合数を1行残す。これだけで、区分ごとの来場率と1人あたりのご飯の量が出ます。

2ヶ月目からはExcelに移します。日付・区分・名簿の人数・来た人数の4列があれば、区分ごとの来場率と曜日の差が出ます。日付と来た人数の2列がそろえば、過去の並びから先の人数を見込むのが需要予測です。当社が開発中の手軽に使える需要予測AIは、この2列のCSVを入れて列を選ぶと、28日先までの見込みを幅つきで出します。リリース前のデータ確認は無料で、名簿の書き出しが予測に使える形かを先に見られます。

前夜の見込み表と当日の消し込みを画面にする場合、金額と期間は次の3つで変わります。予約台帳がExcelか予約管理システムか手書きか(取り込み方が変わる)、見込みだけか仕込み量への換算まで含めるか、食堂のタブレットで消し込むか紙のままか。この形は当社の旅館の朝食 食数予測AI(開発プラン)に、設計から納品まで約3ヶ月の想定で書いています。

紙で記録する(1ヶ月目)

名簿に来た時刻、片付けのあとに炊いた合数と余った合数。費用はかかりません。

Excelで来場率を出す(2ヶ月目から)

日付・区分・名簿の人数・来た人数の4列。区分ごとの来場率と曜日の差までは、平均と並べ替えで出ます。

予測や画面を相談する

CSVファイル1つの確認は無料。画面は、台帳の形・換算の範囲・消し込みの端末の3つで金額と期間が決まります。

まとめ

旅館の朝食は、名簿の朝食付き人数から来ない分を区分ごとに引いて用意します。名簿に朝食の有無と来る時刻は載っていないので、引く数は自館の「来た・来ない」の記録からしか出ません。旅館の客室稼働率は全国38.2%、北海道43.9%で、人数は日ごとに動きます。

炊飯だけは少なめの数で炊き、炊き上がりの時刻から研ぐ時刻を逆算します。1合150gが約340g、浸水と加熱で約1時間半です。上に外れた分は、研いで浸しておいた2回目の炊飯で受け、その締切は朝食終了の40分前です。

次にやることは1つです。あすの朝、食堂の入口の名簿に部屋番号ごとの来た時刻を書き、片付けのあとに余った合数を1行残すこと。それを1ヶ月続けたところから、区分ごとの来場率が出ます。

よくある質問

朝食付きのお客さんはほぼ全員食べに来ます。それでも記録は要りますか?

人数がほぼ合っている宿ほど、時刻の記録のほうが効きます。名簿の部屋番号の横に来た時刻を15分刻みで書くだけで、団体・連泊・個人の区分ごとに山の時刻が出ます。炊き上がりの時刻と先に焼く枚数、ホールの人数を前夜に決める材料になるので、人数の記録より先に時刻の記録から始めても構いません。

宿泊者名簿には何を書いて、何年残しますか?

旅館業法第6条と施行規則第4条の2で、記載するのは宿泊者の氏名・住所・連絡先、日本に住所の無い外国人は国籍と旅券番号です。2023年12月13日施行の改正で「連絡先」が加わり「職業」が外れました。保存は作成の日から3年間です。朝食の有無や来る時刻は法令上の記載事項に入っていないので、予約台帳か自館の記録で持ちます。

ご飯を何合炊けばよいか、目安の数字はありますか?

農林水産省の資料では、米1合150gは炊くと約340gになり、ご飯茶わんに軽く1杯が約150gです。この2つの数字は公的な目安ですが、旅館の朝食で1人が食べる量は、茶わんの大きさとおかわりの有無で宿ごとに違います。炊いた合数×340gから余ったご飯の重さを引き、来た人数で割った数字を自館の目安にしてください。

素泊まりのお客さんに当日の朝に朝食を頼まれたら、どう受けますか?

当日の申込は、見込みの多めの数の中で受けます。焼き物や小鉢は多めの数まで材料を出してあるので足せます。ご飯は少なめの数で炊いているので、2回目の炊飯の締切(朝食終了の40分前)より前なら、研いで浸しておいた分を炊いて受けます。締切を過ぎた申込は、残りの合数を見てからお返事します。

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この記事を書いた人

水上貴洋取締役 / 飲食DXコンサルタント

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

名簿の書き出し1つで、朝食の見込みが出るかを一緒に見ます。

前夜に名簿を目で数えて「多めに炊く」を続けていて、余ったご飯が毎朝出る。予約台帳にはプランも連泊も書いてあるのに、合計人数しか使えていない。来た時刻の記録を始めたいが、どう残せば見込みに使えるか分からない。そんな段階で相談していただいて大丈夫です。予約台帳の書き出しかCSVファイルを1つお預かりして、朝食の見込みに使える列と足りない列を分けるところから始めます。

予約台帳の書き出しで朝食の見込みを確認する (新しいタブで開きます)

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