EvoQuest
EvoQuest Food業務システム / 食品表示ラベルの作成 執筆:水上貴洋(取締役) 2026.09

SCENARIO ── SOZAI LABEL CASE

献立が変わるたびに打ち直していたラベルを、
配合表から組み立てる。

札幌市内で惣菜と弁当を作り、自店の店頭で売りながら、近くの直売所2か所へも納めている従業者8人ほどの店を想定します。品目は日替わりを含めて42。献立が変わるたびに、店主が配合表のExcelを見ながら原材料名を並べ替え、アレルゲンを拾い、ラベルの文面を打ち直しています。同じ惣菜でも、店頭で売る分と直売所へ納める分では表示に要る項目が変わります。この作り直しを、仕入れ品の登録と配合表の入力から組み立て直す開発プランです。

想定領域
業務システム / 食品表示ラベルの作成
担当範囲
業務整理・画面設計・開発・定着支援
想定対象
従業者8人ほどの惣菜・弁当店(店頭販売 + 直売所2か所へ納品)
想定期間
設計〜運用開始 約 2 ヶ月

OVERVIEW

プロジェクト概要

容器に入れて売る惣菜や弁当には、食品表示法に基づく表示が要ります。食品表示法第5条は「食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をしてはならない」と定め、基準の中身は食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)に書かれています。同基準第3条が挙げているのは、名称、保存の方法、消費期限または賞味期限、原材料名、添加物、内容量、栄養成分の量と熱量、事業者の氏名と住所、製造所の所在地、そしてアレルゲンです。このうち原材料名は、重量の多いものから順に並べると決まっています。だから献立が変わると、材料を量り直して並べ替えるところからやり直しになります。

もう一つ手間になるのが、売る場所で要る項目が変わることです。同基準第5条は、食品を製造した場所で販売する場合について、原材料名・内容量・栄養成分・事業者の氏名と住所・原料原産地名の表示は要しないとしています。自店で作って自店の店頭に並べる分と、直売所へ納めて売ってもらう分では、貼るラベルが別物になります。この開発プランでは、仕入れ品の表示を1回登録し、配合表に重さを入れると原材料名の並べ替えとアレルゲンの拾い上げまでが済み、店頭用と納品用の2枚が同時に出る形にします。最後に確定するのは店主です。

CHALLENGE

課題

  • 01 献立が変わるたびに、文面をゼロから打ち直している。配合表のExcelを見ながら重い順に並べ替え、アレルゲンを思い出しながら拾い、ラベルの定型に入力する。日替わり弁当のある日は、朝の仕込みと同時にこの作業が来る。
  • 02 仕入れ品が切り替わったことが、ラベルに伝わらない。同じ「マヨネーズ」でもメーカーが変わると原材料も添加物も変わる。切り替えに気づくのは箱を開けたときで、その原材料を使っている品目がいくつあるかは、配合表を1枚ずつ開かないと分からない。
  • 03 店頭に並べる分と直売所へ納める分で、貼るラベルが違う。納品用には原材料名も内容量も製造者の住所も要る。どちらがどちらだったかを覚えているのは店主1人で、忙しい日は貼り間違いが起きる。
  • 04 特定原材料が9品目に増え、42品目ぜんぶを見直す必要が出た。2026年4月1日にカシューナッツが加わった。経過措置は2028年3月31日までだが、毎日作って毎日売る店では、切り替えた日から新しい表示になる。どの仕入れ品を確かめ直せば済むのかが分からない。

APPROACH

課題への対応

入り口に置くのは仕入れ品です。ラベルの文面から作り直すのをやめて、納品された商品に貼ってある表示を、事務担当が1回だけ写して登録します。原材料、添加物、含まれる特定原材料、仕入れ先。ここが揃うと、配合表に品目ごとの重さを入れるだけで、原材料名は重量の多い順に並び、特定原材料は拾い上がります。店主の作業は、打ち直しから確認に変わります。複合原材料の扱いのように条文の当てはめが要る箇所は、画面が候補を出して、採るかどうかを人が選ぶ形にします。

次に、売る場所ごとの違いを設定として持ちます。店頭用と納品用のどちらを出すかは品目ごとに決まっているので、毎朝の発行画面では販売先が行として並び、それぞれの版のラベルが出ます。仕入れ品の登録を直すと、その原材料を使っている品目に印が立ち、店主が確認するまで新しい版になりません。確認が済んでいない品目は、発行の画面でも出せない状態にします。いつ・どの品目に・どの版のラベルを何枚出したかは記録に残します。後から問い合わせを受けたときに、その日の表示を出し直せるようにするためです。

CONSULTATION

配合表とラベルの作り直しを、いま貼っているラベルから相談する。

献立が変わるたびに原材料名を並べ替えて打ち直している。仕入れ品が切り替わったとき、どの品目に入っているかを配合表から数えている。店頭用と納品用でラベルが違うことを、覚えているのが1人しかいない。
そんな状態なら、一度お話を聞かせてください。いま貼っているラベルを何枚か見せていただければ、どこから仕組みにできるかをその場でお伝えできます。完成した仕様や、整理したデータをご用意いただく必要はありません。北海道内なら店へ伺います。

SCREENS

主要画面

想定する主要画面と、設計で大事にしている考え方です。朝の発行、配合表、仕入れ品の登録、表示原稿の確認、特定原材料の見直しという5つの場面に分けています。店の規模・品目・原材料・数量・日付はすべて想定例です。

01. 今日のラベル発行

朝7時、仕込み担当が最初に開く画面。その日に作る品目が販売先ごとに1行ずつ並び、消費期限、使う版、発行する枚数が出る。想定例では9件・204枚のうち、新しい献立の日替わり弁当1件28枚が確定待ちで、この行だけは発行できない状態になっている。下半分には直近の発行履歴が続く。

毎日開く画面
設計のポイント
行の単位は「品目 × 販売先」にする。同じポテトサラダでも店頭用と納品用は別の版なので、1行にまとめると貼り間違いがそのまま残る。
出せない状態
表示原稿を確定していない品目は枚数を入れられない。枚数の欄の代わりに、確認の画面へ進む導線を置く。
履歴の残し方
発行した日時、品目、販売先、版、枚数を残す。後から表示の問い合わせを受けたとき、その日に貼った文面をそのまま出し直せる。

02. 品目ごとの配合表

鶏のから揚げ弁当の配合表を開いた画面。入れるのは原材料と重さだけで、並べ替えは画面が行う。想定例では1食520gで、ごはん260g、鶏もも肉120g、ポテトサラダ45gと続く。右側に組み上がった原材料名の下書きが出て、拾い上げた特定原材料は小麦と卵の2つ。

配合表
重量の順
食品表示基準第3条は、原材料を重量の多いものから順に一般的な名称で表示すると定めている。重さを入れ直すと並びも下書きも変わる。
複合原材料
ポテトサラダのように2種類以上の原材料からなるものは、括弧の中を重い順に開く。全体の5%未満なら中を省略できる規定があるので、画面は該当する行に印を出し、省略するかどうかは人が選ぶ。
省略とアレルゲン
下味の調味液は3.5%で中の省略に当たるが、しょうゆの小麦は残す。原材料名を省略できることと、アレルゲンを省略できることは別だから、この2つは画面でも別の欄にしている。

03. 原材料マスタ

仕入れ品に貼ってある表示を写して登録する画面。想定例では186件が登録済みで、1行に仕入れ品名、仕入れ先、含まれる特定原材料、使っている品目の数、最後に写した日が並ぶ。9月30日にマヨネーズを別のメーカーへ差し替えたときは、使っている5品目に印が立ち、その日のうちに確認まで終わっている。

仕入れ品
設計のポイント
商品名ではなく仕入れ品の単位で持つ。同じマヨネーズでもメーカーが違えば別の行にして、どちらを使った日の表示なのかを後から追えるようにする。
変更の伝わり方
1件直すと、その原材料を使っている品目が要確認になる。店主が確認して確定するまで、前の版のラベルは発行できる状態のまま止める。
写した日
表示を写した日を持つ。基準の改正があったとき、いつより前に写した行を確かめ直すかを日付で絞れる。

04. 表示原稿の確認

ポテトサラダ150gの表示原稿を、店頭用と納品用で左右に並べた画面。納品用にだけ要る項目には印がつく。想定例では内容量、事業者の氏名と住所、製造所の所在地の3つが右側だけに出て、栄養成分は確認中の扱いになっている。確定すると版が1つ進む。

確認と確定
売る場所で変わる
食品表示基準第5条は、製造した場所で販売する場合に原材料名・内容量・栄養成分・事業者の氏名と住所・原料原産地名の表示は要しないとしている。省略できる項目でも、店の設定で出す側に寄せられる。
添加物の欄
仕入れ品から拾った添加物を候補として並べる。加工助剤やキャリーオーバーに当たるかどうかは条文の当てはめになるので、画面は候補を出すところまでにして、除く判断は人が残す。
版を進める
確定するたびに版が1つ進み、前の版も残る。いつからどの文面に変わったかが、発行履歴と突き合わせられる。

05. 特定原材料の見直し

表示が義務づけられた特定原材料9品目を並べ、2026年4月1日に加わったカシューナッツと、2028年3月31日までの経過措置を上に出した画面。想定例では186件の仕入れ品のうち見直しの対象が23件、確認済みが19件、未確認が4件。未確認の4件が使われている8品目が下に並ぶ。

見直し
設計のポイント
品目からではなく仕入れ品から数える。同じ中華ドレッシングが3品目に入っていれば、確かめるのは仕入れ先への1回で済む。
絞り込み
表示を写した日が改正より前の行と、ナッツ類・ドレッシング・中華調味料のように該当しやすい分類の行を、別々に出す。全件を一度に見直さなくても進められる。
決めるのは人
画面が出すのは確かめる先の一覧で、含むかどうかの判定はしない。仕入れ先に確認した結果を登録すると、その仕入れ品を使う品目が要確認になる。

OUTCOME

導入による変化

仕組みが運用に乗ったあと、この店の朝と、仕入れが切り替わった日が3つの点で変わる想定です。実測値はまだありません。導入後に何を数えるかを、作業ごとに決めてから始めます。

01

献立が変わった日の作業が、打ち直しから確認に変わる

Before配合表のExcelを見ながら重い順に並べ替え、アレルゲンを拾い、ラベルの定型に文面を入力していた。日替わりのある日は朝の仕込みと重なる。
After配合表に材料と重さを入れると、原材料名の並びと特定原材料の拾い上げまでが済む。店主は組み上がった原稿を見て、複合原材料の扱いを選んで確定する。

数えるのは、1品目あたりの表示作りにかかる時間と、月あたりの新規・変更品目の数です。仕組みを入れる前の1か月は、いまのやり方のまま時間だけを計ってもらい、比べる元にします。

02

仕入れ品の切り替えが、その日のうちに品目まで届く

Beforeメーカーが変わったことに気づくのは箱を開けたとき。どの品目に入っているかは配合表を1枚ずつ開いて数えるしかなく、後回しになっていた。
After仕入れ品を1件直すと、使っている品目に要確認の印が立つ。確認が済むまで、その品目は新しい版にならない。

数えるのは、切り替えから全品目の確認が終わるまでの日数と、古い表示のまま出してしまった件数です。どちらも発行履歴から拾えます。

03

その日に貼った文面を、後から出し直せる

Beforeラベルは印刷したら手元に残らない。表示について問い合わせを受けると、当時の配合表を探すところから始まっていた。
After発行履歴に日時・品目・販売先・版・枚数が残る。版ごとの文面も残るので、その日に貼った表示をそのまま画面に出せる。

数えるのは、問い合わせを受けてから当日の表示を出すまでにかかった時間です。想定していない回収が起きた場合に、どの日の分まで対象になるかを絞る材料にもなります。

PROCESS

2ヶ月の進め方

札幌市内・近郊なら店へ伺い、道外はオンラインで進めます。42品目の表示を1枚ずつ突き合わせるところから始めるので、設計から運用開始まで2ヶ月の想定です。

1
MONTH 01 / 表示の棚卸し + 仕入れ品の登録

いま貼っているラベル42品目と配合表を突き合わせ、仕入れ品186件を登録しきる

いま使っているラベルと配合表を並べ、品目ごとにずれている箇所を洗い出します。同じ品目で店頭用と納品用がある場合は、項目の違いも1つずつ確かめます。あわせて、仕入れ品の表示を写す作業を始めます。ここは店側の手が要る作業なので、分類の多い順に分けて、1週あたりの件数を決めて進めます。特定原材料の見直しも、この登録と同じ作業で片付きます。

  • 42品目の現行ラベルと配合表の突き合わせ、ずれの洗い出し
  • 販売先ごとに要る表示項目の整理(店頭で売る分・直売所へ納める分)
  • 仕入れ品186件の表示の登録と、仕入れ先への確認が要る行の切り分け
  • 栄養成分の表示が要る品目があるかどうかの確認
2
MONTH 02 / 開発 + 並行運用

いまのラベルを出したまま2週間並べ、文面が一致することを確かめてから切り替える

配合表、原材料マスタ、表示原稿、発行、特定原材料の見直しの5画面を作り、いまのラベル作りを残したまま2週間並べて使います。確かめるのは3つです。同じ品目で文面が一致すること、店頭用と納品用が入れ替わらないこと、仕入れ品を直したときに要確認の印が正しい品目に立つこと。差が出た品目はその場で直し、原因が条文の当てはめにある場合は、どちらを採るかを店主と決めて設定に残します。

  • 配合表・原材料マスタ・表示原稿・発行・見直しの5画面の開発
  • 使用中のラベルプリンタで印刷できる形式の確認と、印字の位置合わせ
  • 2週間の並行運用と、品目ごとの文面の突き合わせ
  • 複合原材料や添加物の扱いで判断が分かれた箇所の設定と、手順の引き継ぎ

FAQ

よくある質問

  • Q1 市販のラベル作成ソフトやラベルプリンタでは足りませんか。
    足りる場合があります。品目が10点ほどで献立が固定なら、品目ごとの文面を1回作って登録し、日付だけ変えて印刷する運用で回ります。専用に作る価値が出るのは、日替わりがあって文面が毎週変わるとき、同じ品目を店頭と納品先の両方へ出しているとき、仕入れ品の切り替えが多いときです。この想定の店は42品目・186件の仕入れ品で、配合表とラベルが別々に置かれていたところが手間の元になっていました。相談の場では、まず品目数と、月に何品目の文面が変わるかを伺います。
  • Q2 表示の内容が基準に合っているかどうかを、システムが判定してくれますか。
    判定はしません。画面がするのは、登録された仕入れ品の表示のとおりに並べ替えて、候補を出すところまでです。複合原材料の中を省略するか、添加物の中に加工助剤やキャリーオーバーに当たるものがあるかといった判断は、条文の当てはめになります。当社は表示の内容を保証できる立場にないので、確定は表示に責任を持つ事業者が行う形にします。判断に迷う箇所は、保健所や自治体の食品表示の窓口へ確認したうえで、決めた内容を設定として残す進め方をお勧めしています。
  • Q3 いま使っているラベルプリンタはそのまま使えますか。
    機種によります。多くのラベルプリンタは外部から印字データを受け取る方法を持っていますが、対応している形式も、必要な追加の部品や費用も機種ごとに違います。確認が済むまで、つなげられるとはお伝えしません。つながらない場合でも、画面で組み上げた文面をコピーしてプリンタ側の入力欄に貼る、または印刷用のファイルを書き出して使う形なら始められます。この場合も、並べ替えとアレルゲンの拾い上げ、店頭用と納品用の作り分けはそのまま使えます。
  • Q4 栄養成分の表示はどうなりますか。
    最初の開発範囲には入れません。食品表示基準は、極めて短い期間で原材料が変更されるものや、消費税を納める義務が免除される事業者が販売するものについて、栄養成分の表示を省略できるとしています。まず、自店のどの品目がこれに当たるかを確かめるのが先です。表示が要る品目があった場合は、分析に出すか、原材料から計算した値に根拠の資料を添える形になります。どちらを採るかで費用も進め方も変わるので、品目が絞れた段階で別に見積もります。
  • Q5 費用はどのくらいかかりますか。
    範囲を決めてから見積もります。この案件で金額が動くのは4か所です。1つめは品目数と仕入れ品の件数で、登録の作業量と画面の分岐に直結します。2つめは販売先の種類で、店頭と納品先の2通りか、納品先ごとに様式が違うかで作り分けの量が変わります。3つめは使っているラベルプリンタとの接続方法です。4つめは、いまの配合表をそのまま取り込むか、登録し直すかです。相談の場では、まず品目数と、月に何品目の文面が変わるかと、ラベルプリンタの機種を伺います。

配合表とラベルの作り直しを、いま貼っているラベルから相談する。

献立が変わるたびに原材料名を並べ替えて打ち直している。仕入れ品が切り替わったとき、どの品目に入っているかを配合表から数えている。店頭用と納品用でラベルが違うことを、覚えているのが1人しかいない。
そんな状態なら、一度お話を聞かせてください。いま貼っているラベルを何枚か見せていただければ、どこから仕組みにできるかをその場でお伝えできます。完成した仕様や、整理したデータをご用意いただく必要はありません。北海道内なら店へ伺います。

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