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飲食・食品の業務

喫茶店でコーヒーチケットを始めるなら、何を決める?

コーヒーチケットは、券と判子と記録のノートがあれば始められます。先に決めておきたいのは、何杯分をいくらで売るか、いつまで使えるか、値上げしたときにどう扱うかの3つです。期限を発行日から6か月以内にすると、資金決済法の規定はかかりません。

この記事でわかること

  • コーヒーチケットは、決まった飲み物の何杯分かの代金を先に受け取り、来店のたびに1枚ずつ使ってもらう券です。特別な機械がなくても始められます。
  • 「10杯分の値段で11枚」のように同じコーヒーを付け足すのは、消費者庁の運用基準では原則として値引きの扱いです。ケーキやジュースなど別の品を付けると景品の扱いになることがあり、上限が関わります。
  • 発行日から6か月以内に限って使える券には、資金決済法の前払式支払手段の規定が適用されません。期限なしや6か月を超える券は、3月31日と9月30日に使われていない分が1,000万円を超えると財務局への届出が要ります。
  • 値上げしたとき、人に譲れるか、なくしたときの扱いは、店が決めて券に書いておくと、その場で迷わずに済みます。

コーヒーチケットは、先に代金を受け取る回数券

コーヒーチケットは、ブレンドなど決まった飲み物の何杯分かの代金を先にいただき、来店のたびに1枚ずつ渡してもらう券です。お客さんは毎回の支払いが省け、店は代金を先に受け取れます。

始めるのに特別な機械は要りません。ここからは当社の提案ですが、用意するのは券、店の判子、発行を書き留めるノートの3つで足ります。券に通し番号を振り、ノートに「発行日・番号・枚数・期限」を書いておくと、後で期限や残りを確かめられます。後の章で説明する期限の決め方にも、この記録が役に立ちます。

売り始める前に決めておきたいことは、次の4つです。

何杯分を、いくらで売るか

10杯分の値段で11枚など、まとめて買う人が少し得をする形にするか。付け足すのが同じコーヒーかどうかで扱いが変わります。

いつまで使えるか

発行日から6か月以内にするか、それより長く(または期限なしに)するか。資金決済法の扱いが変わります。

何に使えるか

ブレンドだけか、ほかの飲み物にも差額を払って使えるか。

値上げ・譲渡・紛失のとき

値上げ後も1杯として受けるか、家族や同僚と分けてよいか、なくしたときに再発行するか。

「10杯分で11枚」は値引き。別の品を付けると景品になることがある

景品表示法の「景品類」は、お客さんを引きつける手段として取引に付けて渡す物品や金銭などを指します。ただし、景品類を指定する告示は、正常な商慣習に照らして値引きと認められるものを景品類に含めないとしています。

消費者庁の「景品類等の指定の告示の運用基準」は、取引通念上妥当な基準に従って、同じ対価で同じ商品を付け足して提供することを、原則として値引きに当たるとしています。何回かの取引を条件にする場合も含まれ、例として「コーヒー五回飲んだらコーヒー一杯無料券をサービス」が挙げられています。10杯分の値段でコーヒーチケットを11枚にするのは、この考え方に近い形です。

同じ基準は、「コーヒー○回飲んだらジュース一杯無料券をサービス」を、実質的に同じ商品の付け足しに当たらないとしています。チケットを買った人にケーキや豆を付けるなら、値引きではなく景品として扱われることがあり、もれなく渡すおまけ(総付景品)の上限が関わります。上限の数え方は常連さんに喜んでもらう仕組みの記事で説明しています。

同じコーヒーの付け足しでも、抽選で当たった人だけに1枚足す形にすると、値引きとは認められないとされています。付け足すなら、買った人全員に同じ条件で付けるほうが説明しやすくなります。

期限を発行日から6か月以内にするか、長くするか

資金決済法は、券に書かれた品物やサービスの数量に応じた代金を受け取って発行し、店に見せて品物の提供を求められる券を「前払式支払手段」の一つとしています(第3条第1項第2号)。何杯分かを先に売るコーヒーチケットは、これに当たることがあります。スマホの画面で使う電子のチケットも、同じ条文の対象に含まれます。

ただし、発行の日から6か月以内に限って使える券には、この法律の前払式支払手段の規定が適用されません(第4条第2号、施行令第4条第2項)。券に発行日と有効期限を書いておけば、店もお客さんも期限を確かめやすくなります。たとえば週に2回来る人なら、11枚は6週間ほどで使い切る計算です。

期限なし、または6か月を超えて使える券を自分の店だけで使ってもらう場合は、毎年3月31日と9月30日の基準日に、まだ使われていない分の合計(基準日未使用残高)を数えます。杯数を金額に直す方法は内閣府令で決まっています。この額が発行を始めてから初めて1,000万円を超えた基準日があれば、届出書を出す必要があり、窓口は店の所在地を管轄する財務局です(第3条第2項、第5条第1項、施行令第6条・第29条)。

届出をした発行者には、店の名前や券の期限、問い合わせ先を利用者に知らせること(第13条)や、発行をやめるときの払い戻しの手続き(第20条)などの決まりが加わります。6か月を超える券を出すなら、発行日と枚数をノートで数えられるようにしておき、届出が要るかどうかは財務局に確かめてください。

6か月以内の券でも、休業などで期限を延ばすと、発行の日から6か月を超えて使えることになります。延長することがありそうなら、その扱いも売り始める前に財務局に確かめておくと安心です。

値上げ・譲渡・紛失の扱いは、売る前に決めて券に書く

ここからは、店ごとに決めるルールの部分です。決めておかないと、お客さんに聞かれたときに店員によって答えが変わります。決めた内容は券の裏やレジ横の案内に書き、売るときにひと言添えると伝わりやすくなります。

値上げしたときの扱いは、券に何と書いて売ったかで考えると整理できます。「ブレンド1杯分」と書いた券なら、値上げ後もその1杯として受けるのが分かりやすい扱いです。当社の考えでは、値上げを予定している時期には一度に売る枚数を控える、新しい券は値上げ後の価格で売る、といった調整が現実的です。

次は券の裏に書く内容の例です。決め方は店によって違ってよく、どれかを選ぶ必要もありません。

使える飲み物

「ブレンドコーヒー1杯分。ほかの飲み物は差額をいただいてご利用いただけます」

有効期限

「有効期限:発行日から6か月(発行日 年 月 日)」

人に譲れるか

「ご家族やお連れの方もお使いいただけます」

なくしたとき

「紛失された場合の再発行はいたしかねます」または「番号が分かれば残りの枚数を確認します」

紙で始めて、数が増えたら記録を画面に移す

常連さんが数人のうちは、紙の券とノートで十分に回ります。ノートの発行日を見れば、期限が近い人に「そろそろ期限です」と声をかけることもできます。

券を買う人が増えて、複数の店員が受け付けるようになると、誰がいつ何枚使ったか、期限が近い券がどれだけあるかを紙からたどるのに時間がかかります。6か月を超える券を出していれば、基準日ごとの数え直しも必要です。そうなったら、残り枚数と期限を画面で確かめる形に移すことも考えられます。

当社では、スタジオの回数券を例に、受付で「来た」を押すと残り回数が減り、期限の近い会員が一覧に出るアプリの開発プランを公開しています。業種は違いますが、残り枚数・期限・基準日の未使用残高を数える考え方は喫茶店のチケットにもそのまま使えます。

よくある質問

スマホで使う電子のコーヒーチケットでも、決まりは同じですか?

資金決済法の前払式支払手段には、紙の券だけでなく電子的に記録されるものも含まれます(第3条第1項)。発行日から6か月以内に限って使える場合に規定が適用されない点も同じです。外部のサービスを使って電子チケットを出す場合は、そのサービスの利用規約で期限の設定や払い戻しの扱いがどうなっているかも確かめてください。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

チケットの残りと期限を、受付で確かめられる形にできます。

紙のチケットとノートで回しているが、残りや期限を聞かれるとすぐに答えられない。電子のチケットにするか迷っている。そんな段階でも相談できます。いまの売り方と記録のしかたを聞きながら、紙のままでよい部分と画面にする部分を一緒に整理します。

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