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飲食の需要予測・AI

発注や仕込みが外れた日に、何を記録しておくか。廃棄と品切れを翌週の数量に返す手順

外れた日に残すのは、仕込んだ数、売れた数、捨てた数と理由、売り切れにした時刻の4つです。捨てた分だけを数えると、翌週の数量は絞る方向にしか動きません。飲食店や食品を扱う小売の経営者に向けた記事です。

この記事でわかること

  • 記録する項目は4つに絞ります。仕込んだ数、売れた数、捨てた数とその理由、売り切れにした時刻です。このうち売り切れの時刻だけが、どの帳簿にも残っていないことが多い項目です。
  • 品切れにした日は、その日に売れた数が需要の下限になります。実際に何食ぶんの注文があったかは分かりません。廃棄の数量だけが記録に残ると、翌週の仕込み数を下げる根拠ばかりがそろいます。
  • 廃棄の記録には法律で決まった様式がありません。食品リサイクル法で毎年度の報告が必要になるのは、前年度の食品廃棄物等の発生量が100トン以上の事業者です。個人店の規模では、項目も単位も自分で決めることになります。
  • 見返すのは週に一度で足ります。曜日ごとに、捨てた数と売り切れの時刻を並べ、翌週の仕込み数を曜日単位で配り直します。週の合計を削る作業とは違います。

外れた日に残すのは、仕込んだ数・売れた数・捨てた数と理由・売り切れの時刻

発注量や仕込み量が外れた日にやることは、原因を探すことではありません。翌週に同じ判断をするための材料を、その日のうちに残すことです。材料は4つあれば足ります。仕込んだ数、売れた数、捨てた数とその理由、そして売り切れにした時刻です。

この4つのうち、レジや仕入の伝票に残っているのは売れた数だけです。仕込んだ数は厨房の頭の中にあり、捨てた数はゴミ袋に入って消えます。売り切れにした時刻にいたっては、口頭で「本日は終了しました」と言った回数が数字として残ることはまずありません。

記録は増やすほど続きません。項目が5つを超えると、忙しい日から順に埋まらなくなります。この記事では、4つの項目の残し方、週に一度の見返し方、紙で始められる範囲と仕組みにする目安を説明します。

仕込んだ数

その日に売れる状態にした数量です。前日から持ち越した分がある場合は、持ち越し分を別の欄に分けて書きます。

売れた数

レジの記録から取ります。セット商品や持ち帰りで行が分かれる場合の直し方は、売上データの直し方の記事で説明しています。

捨てた数と理由

数量と、捨てた理由を1つ選びます。作りすぎ、傷み、作り直し、食べ残しの4区分から始めるのが扱いやすい形です。

売り切れにした時刻

その品目の提供を止めた時刻です。何分前に止めたかで、逃した注文の見当が変わります。

捨てた分だけを数えると、翌週の数量は下げる方向にしか動かない

廃棄は目に見えます。捨てるときに手を動かしているので、記録を付けようという話にもなりやすい項目です。いっぽう品切れは、何も起きなかったように見えます。売り切れた時点で提供が止まり、その後に来た客は別の料理を頼むか、店を出ます。

この非対称が、翌週の仕込み数に効いてきます。手元に廃棄の数量だけがそろっている状態で振り返りをすると、出てくる結論は「今週は10食捨てたので、来週は減らそう」です。減らした結果として早い時刻に売り切れても、その日の記録には何も残りません。翌々週、さらに減らす判断が出ます。

品切れの側を数字にする方法は1つしかありません。売り切れにした時刻を残すことです。11時から14時30分まで出す予定の日替わりが13時で終わったなら、提供できた時間は3時間30分のうち2時間で、残りの4割は売る物がない状態だったことになります。何食ぶんの注文を逃したかは正確には分かりませんが、その日の売れた数が需要の下限だったことは分かります。

当社が関わる飲食店の相談でも、この2つがそろっている店は多くありません。原価率が上がった理由を月末の棚卸まで説明できない一方で、早く売り切れた日は「よく売れた日」として記憶に残ります。どちらも記録が無いために起きています。

様式は自分で決めてよい。法律が報告を求めるのは年間100トンから

廃棄の記録を始めるとき、決まった書式があるのかと聞かれることがあります。個人店から数店舗の規模では、決まった書式はありません。項目も単位も自分の店に合わせて決めることになります。

食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)の第9条は、食品廃棄物等の発生量が政令で定める要件に当たる事業者に、毎年度の報告を義務づけています。同法施行令の第4条が定める要件は、前年度に生じた食品廃棄物等の発生量が100トン以上であることです。農林水産省の案内では、この多量発生事業者が毎年度6月末までに、発生量と再生利用等の状況を報告することになっています。

つまり、報告の対象になる規模でも、求められるのは量と処理の状況です。捨てた理由の区分や、売り切れにした時刻は入っていません。発注や仕込みを直すための項目は、どの規模の店でも自分で足す必要があります。

自分で決められるぶん、単位をそろえておくと後が楽になります。日替わりランチのように1食単位で数える品目と、スープや仕込み品のようにリットルやキロで数える品目を混ぜないでください。同じ表の中で単位が変わると、週の合計が足せなくなります。

記録した数量を、比べられる形に直す

数量のまま眺めていても、多いのか少ないのかは判断できません。比べる先を2つ用意します。1つは金額、もう1つは売上に対する比率です。

金額は、捨てた数量に食材の原価単価を掛けて出します。1食あたりの原価が280円の日替わりを週に30食捨てていれば、週で8,400円、4週で33,600円です(試算例)。原価単価は仕込みのレシピから1品ずつ出しておくと、捨てる人が電卓を持たずに済みます。

売上に対する比率で見る場合は、重さを量る必要があります。農林水産省は食品リサイクル法に基づく発生抑制の目標値を業種別に定めていて、2024年度から2028年度の期間では、食堂・レストラン(麺類を除く)と居酒屋等が売上高100万円あたり114kg、麺類中心の食堂・レストランが170kg、喫茶店・ファーストフード店等が83.3kg、給食事業が278kgとされています。旅館業は宿泊者1人あたり0.570kgです。

この目標値は、調理くずを含む食品廃棄物等の量に対するもので、売れ残って捨てた分に限りません。自店の数字と並べるなら、生ゴミの袋の重さを量る運用を別に作ることになります。食数の記録だけでは比較できないので、まず金額で見て、重さは余力ができてから足す順番をおすすめします。

全国の規模感も添えておきます。農林水産省の令和6年度推計値では、食品ロスは年間461万トン、うち事業系が237万トンで、外食産業からは70万トンとされています。これは全国の合計で、1店あたりの数量を示す数字とは別です。自店の数量は自店の記録からしか出ません。

週に一度、曜日ごとに並べて翌週の仕込み数を配り直す

見返す間隔は週に一度で足ります。月末の棚卸まで待つと、直せるのが翌月からになります。毎日見直すと、1日の増減に引っ張られます。

並べるのは、曜日、仕込んだ数、売れた数、捨てた数、売り切れの時刻の5列です。ここから、その曜日の需要をどう扱うかを決めます。売り切れにしなかった日は、売れた数がそのまま需要です。売り切れにした日は、売れた数は需要の下限でしかありません。

下限しか分からない日を、そのまま翌週の仕込み数にすると、品切れが固定されます。かといって、逃した注文の数を正確に出す方法はありません。そこで、提供時間のうち何割の時点で売り切れたかを見て、同じペースで売れ続けた場合の数量を目安として置きます。11時から14時30分まで出す品目が13時30分に40食で終わったなら、提供時間210分のうち150分で40食なので、目安は56食です(試算例)。

この目安は上にも下にも外れます。昼の12時台に注文が集まる店では、後半のペースは落ちるので高めに出ます。それでも、売れた数の40食をそのまま翌週に持ち越すよりは、判断の材料になります。下の画面で、自店の時刻と数量に置き換えて確かめてください。

週の合計だけを見て「捨てているから全体を減らす」と決めないでください。捨てた日と売り切れた日が同じ週に混ざっている場合、必要なのは曜日ごとの配り直しです。合計はほとんど変わらないまま、廃棄と品切れの両方が減ることがあります。

DEMO

1週間の記録から、翌週の仕込み数の目安を出す

1品目の1週間ぶんの記録を入力する画面です。仕込んだ数、売れた数、翌日に回した数、売り切れにした時刻を変えると、捨てた数、廃棄額、その曜日の需要の扱い、翌週の仕込み数の目安が変わります。提供時間と原価単価も変更できます。

廃棄と品切れを1枚に並べる|曜日ごとの需要と、翌週の仕込み数の目安を試算

7日ぶんの仕込み数・売れた数・持ち越し数・売り切れ時刻を変えて、週の廃棄数と廃棄額、品切れにした日の需要の目安、翌週の仕込み数の合計を比べられます。

触って動かせます
計算の中身
捨てた数は「仕込んだ数 − 売れた数 − 翌日に回した数」で出しています。売り切れにしなかった日の需要は売れた数、売り切れにした日の需要は「売れた数 ÷ 売り切れまでの提供時間の割合」で置いた目安です。翌週の仕込み数は、その曜日の需要を仕込みの単位で切り上げた数です。
使っている前提
売り切れにした日の目安は、提供時間の最後まで同じペースで注文が入ったと仮定した試算です。昼の時間帯に注文が集まる店では高めに出ます。逃した利益の参考値も同じ仮定で出しているため、帳簿に載せる金額ではありません。初期値はすべて架空の入力例です。
確かめてほしいところ
水曜の売り切れ時刻を13時30分から14時15分に変えると、その曜日の需要の目安が56食から44食に下がります。早く売り切れた日ほど、逃した注文が多いと見なされるためです。次に、捨てた数が多い土曜の仕込み数を50から40へ下げてください。廃棄額は下がりますが、翌週の目安の合計は変わりません。需要は売れた数で決まるからです。

※ 数値は入力例です。この画面は1品目・1週間ぶんの記録を扱います。実際の仕込み数は、同じ曜日を数週ぶん並べ、催しや予約の入った日を分けたうえで決めてください。

この記録だけでは分からない3つのこと

記録を始めると、数字で説明できる範囲が広がります。ただし、広がらない部分もはっきりさせておいてください。

1つめは、逃した注文の金額です。売り切れの時刻から出す数量は仮定を置いた目安なので、そのまま失った利益として帳簿に載せることはできません。品切れを知って別の料理を注文した客もいます。

2つめは、食べ残しの扱いです。客の皿に残ったものは売上が立っているので、作りすぎで捨てた分と同じ欄に入れると、原価の話と量目の話が混ざります。区分を分けて数え、原価率の説明には作りすぎと傷みの分だけを使ってください。

3つめは、特別な日です。近隣の催し、団体の予約、大雨の日は、通常の曜日の傾向とは別に扱います。印を付けて記録し、翌週の目安を出す計算からは外します。除外した日も消さずに残してください。同じ催しが来年もあります。

紙で始める範囲と、仕組みにするかを考える目安

最初から仕組みを作る必要はありません。厨房の壁に1枚、A4の表を貼るところから始められます。縦に7日、横に仕込んだ数、売れた数、持ち越した数、捨てた数、理由、売り切れの時刻。1品目だけで4週続けてみてください。

紙で回らなくなる分かれ目は、入力する人の数です。捨てるのが店主1人で、1日に1回か2回なら紙で足ります。昼の仕込み担当、夜のホール、閉店前の洗い場と、3人以上が別々の時刻に書く運用になると、1枚の紙を回す形では後回しになり、金額の小さいものから落ちていきます。もう1つの分かれ目は品目数です。20品目を超えたあたりから、手で合計する作業が週30分を超えてきます。

当社が引き受けるのは、この記録を入力しやすい形にして、週次の集計までを自動にする部分です。飲食店向けには廃棄・品切れ記録の開発プランとして、想定する画面と設計の考え方を公開しています。記録が4週ぶんたまってからの話として、日付と数量の並びから翌週の数量を見込む手軽に使える需要予測AIにつなぐこともできます。こちらは開発中のサービスで、リリース前のデータ確認と試験予測の相談は無料です。

費用を見積もるために確認するのは4つです。記録する単位(食数だけか、重さも量るか)、登録する品目と原価単価の数、入力する端末の数と置き場所、そして月次の締めを現在の棚卸や損益の集計とどこまでつなぐか。この4つが決まると概算が出ます。決まっていない段階でも、いま付けている記録を見せていただければ、足りない項目から整理できます。

まとめ

外れた日に残すのは、仕込んだ数、売れた数、捨てた数と理由、売り切れにした時刻の4つです。売り切れの時刻を残さないと、翌週の数量を下げる根拠だけがそろいます。

見返すのは週に一度、曜日ごとに並べます。売り切れにした日の売れた数は需要の下限なので、提供時間のうち何割で終わったかから目安を置き、曜日単位で配り直します。

廃棄の記録に決まった様式はありません。まず1品目、A4の紙1枚で4週続けてください。それが続いたら、入力する人の数と品目数を目安に、仕組みにするかを考えます。

よくある質問

捨てた理由は、どこまで細かく分ければいいですか?

4区分から始めてください。作りすぎ、傷み、作り直し、食べ残しの4つです。区分を増やすほど、忙しい日に選ぶ手が止まります。4週続けて、同じ区分に偏るようなら、その区分だけを2つに割ってください。作りすぎが大半を占めるなら、仕込み時点の作りすぎと、提供直前の作りすぎに分けると、直す先が見えます。

売り切れの時刻を残すのを、ホールが忘れてしまいます。

書く場所を、品切れを知らせる場所と同じにしてください。券売機の札を裏返す、黒板から消す、注文用のタブレットで売り切れにする。その動作をするときに時刻が残る形にすると、別の紙を探しに行く手間がなくなります。どうしても続かない場合は、時刻ではなく「昼の前半か後半か」の2択から始めても、翌週の判断には使えます。

レジに廃棄を入力する機能があります。それでは足りませんか?

足りることがあります。確かめてほしいのは3点です。捨てた理由を自店の区分で残せるか、仕込んだ料理の単位(スープを何リットルなど)で入れられるか、月ごとに理由別の金額で書き出せるか。この3つが満たせるなら、新しく作る必要はありません。満たせない場合でも、売れた数はレジから取り、捨てた数と売り切れの時刻だけを別に残す形で運用できます。

記録を4週続けたら、予測はすぐ使えますか?

4週あれば曜日ごとの傾向は見え始めますが、季節の増減までは入りません。当社の需要予測AIでは、3か月ほどから試せて、1年分あると季節による増減を反映しやすくなるとご案内しています。必要な期間は品目の売れ方によって変わるので、まず手元の記録を見て、使える部分と足りない部分を分けるところから始めます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

捨てた分と売り切れた時刻が、どこにも残っていないなら。

原価率が上がった理由を月末まで説明できない、早く売り切れた日が記録に残らない。この2つが重なっている状態からご相談いただけます。いま付けている手書きの表やレジの画面を見せていただければ、足りない項目と、紙のままで足りる範囲を整理します。CSVや完成した仕様は必要ありません。

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