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需要予測・AI

レジの売上データは、発注の目安にそのまま使えるか。休業日・返品・セット商品の直し方

売上データを日付順に並べただけでは、発注の目安に使えないことがあります。直すのは、数量の列、休業日の行、返品が引かれる日、セット商品の数え方の4か所です。レジやExcelの記録から発注量を決めている店の経営者向けの記事です。

この記事でわかること

  • 帳簿に必ず残るのは金額で、商品ごとの数量は残っていないことがあります。発注に使うのは数量なので、レジの商品別売上、納品書、棚卸表のどれから拾うかを先に決めます。
  • 休業日は、行そのものが無いときと、0として並ぶときがあります。休業日を0のまま平均すると、1日あたりの数量が実際より低く出ます。
  • 返品や取消は、消費税の扱いでは返品があった課税期間で調整します。日別に並べると、売った日ではなく返品した日にマイナスが立ちます。
  • 同じ商品でも、単品とセット、店内飲食と持ち帰りで行が分かれます。数量をそろえるには、セット1つに何個入るかの対応表が要ります。
  • 試算例では、同じ14日分の記録を4通りに直すと、1日あたりの数量が21.4個から26.8個まで動きました。どの直し方をするかで、発注の目安が変わります。

そのままでは使えないことが多い。直すのは数量・休業日・返品・セットの4か所

レジや販売管理ソフトから書き出したファイルには、会計のために作られた行が並んでいます。発注量を決めるために要るのは、商品ごとに「その日に何個出たか」が1行ずつ並んだ表です。この2つは形が違うので、書き出したファイルをそのまま平均すると、発注の目安がずれます。

直す場所は4つです。数量の列があるか。休業日の行をどう置くか。返品や取消がどの日に立っているか。同じ商品が複数の行に分かれていないか。この4つを決めてから日付順に並べます。

この記事では、4か所それぞれの確認方法と、直した表が使える状態かを確かめる手順を説明します。記録が何日分あれば足りるかは発注の見込みに必要なデータ期間の記事にまとめています。

帳簿に必ず残るのは金額。数量はレジの商品別売上から拾う

国税庁のタックスアンサーNo.2080は、記帳する事項として「取引の年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額等」を挙げ、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額のみをまとめて記載する簡易な方法でもよいとしています。帳簿の側に必ず残っているのは日付と金額で、商品ごとの数量は記帳の必須項目に入っていません。

中小機構のJ-Net21が配っている小売店のABC分析表も、商品名・売上高・シェア・累計シェアの4列で、売上高の大きい商品から並べる形です。店の集計は金額で作られていることが多く、発注に使う数量は別の記録から拾うことになります。

数量が残っている記録は次の3つです。同じNo.2080によれば、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年、決算に関して作成した棚卸表その他の書類は5年の保存が必要とされているので、去年の分までさかのぼれることもあります。

レジの商品別売上

商品ごとの点数が日別に出ます。日付・商品名・数量の3列を書き出せれば、直す作業はいちばん軽くなります。

仕入先の納品書

仕入れた数量が残ります。売れた数量とは違うので、棚卸表と組み合わせてその期間に使った量を出します。

棚卸表

月末などの時点の数量です。前月末の在庫に仕入れを足して当月末の在庫を引くと、その月の使用量が出ます。

休業日の行は、落とすか0で埋めるかを先に決める

売上データには、定休日や臨時休業の日が2通りの形で現れます。その日の行が1行も無いか、数量0として並ぶかです。期間の日数と表の行数を数え比べると、どちらの形式かが分かります。

当社では、店が開いていなかった日は行ごと外し、開いていたのに1個も売れなかった日は0として残す整理をおすすめしています。休業日を0のまま平均に入れると、1日あたりの数量が実際より低く出て、発注量が足りなくなるためです。

逆に、開いていて売れなかった日まで落とすと、平均が高く出ます。この2つは表の上では同じ0なので、営業日のカレンダーと突き合わせて分けてください。臨時休業や短縮営業をした日は、日付を控えておくと後から分けられます。

返品と取消は、売った日ではなく返品した日に引かれる

国税庁のタックスアンサーNo.6359は、返品・値引き・割戻しなどによる売上げに係る対価の返還等について「当初の課税資産の譲渡等を行った課税期間でなく、売上げに係る対価の返還等を行った課税期間において調整を行います」としています。経理処理としては、課税資産の譲渡等の金額から返還等の金額を控除する方法を継続して行うことも認められています。

日別に並べると、この扱いがそのまま表に出ます。日曜に売った2個が月曜に返品されたなら、月曜の行にマイナス2が立ち、日曜の数量は売れたままです。月曜の発注の目安を月曜の行から作ると、2個少ない数字を使うことになります。

どちらに寄せるかは、何を決めたいかで変わります。曜日ごとの売れ方を見て発注するなら、返品を元の販売日に戻したほうが実態に近くなります。月の合計だけを見るなら、同じ月の中の返品は戻しても戻さなくても合計は変わりません。月をまたいだ返品だけ、どちらの月に付けるかを決めてください。

同じ商品が、セットと持ち帰りで別の行になる

レジには、売った商品の名前で行が立ちます。弁当を単品で売った行と、弁当と味噌汁をセットで売った行は、別の商品として記録されます。弁当の数量を出すには、セットの行に弁当が何個入っているかの対応表が要ります。

消費税の軽減税率でも、似た分かれ方があります。国税庁のタックスアンサーNo.6102は、飲食料品の譲渡を軽減税率8パーセントの対象とする一方、飲食店業等を営む者が飲食設備のある場所で行う食事の提供、つまり外食は対象に含まれないとしています。事業者は税率の異なるごとに区分して記帳する必要があるため、同じ弁当でも店内で食べる分と持ち帰る分が分かれて記録されます。

対応表は、セット名・含まれる商品・1セットあたりの個数の3列で足ります。単品の行とセットの行はレジの上で別の商品なので、両方を足しても二重に数えることにはなりません。

セット商品

セット名の行に、含まれる商品の個数を掛けて足します。同じ商品が複数のセットに入っているときは、セットごとに行を作ります。

店内と持ち帰り

税率で分かれた2行を足します。どちらが何個かを残しておくと、時間帯ごとの出方を見るときに使えます。

一体資産

食品と食品以外があらかじめ一体となり、一体の価格だけが提示されているものは、全体で1つの資産として扱われます。おもちゃ付きの菓子のように、中身を分けずに1行のまま数えるものもあります。

試算例。同じ14日分を4通りに直すと、1日あたりが21.4個から26.8個まで動く

ここからは説明のための試算例です。弁当1品目について、6月1日から14日までの14日間、水曜が定休日の店を想定します。レジには単品の行とセットの行があり、8日の月曜に前日ぶんの取消が2個あります。単品は14日間の合計で257個、セットに含まれる弁当は67個です。

単品の行だけを、返品を直さず、休業日を除いた12日で平均すると1日あたり21.4個です。セットの67個を足すと27.0個、取消の2個を引くと26.8個になります。休業日の2日を0として14日で割ると、23.0個まで下がります。同じ記録から、5個以上の開きが出ます。

発注の目安に使うなら、曜日ごとに分けたほうが差が出ます。取消を元の販売日に戻した場合、この例では土曜が2回で36個と39個、日曜が30個と33個でした。全日の平均26.8個で日曜の発注をすると、3個から6個足りません。曜日ごとに分ける考え方は曜日と季節の波の記事で扱っています。

単品だけ・休業日を除く

257個 ÷ 12日 = 1日あたり21.4個。セットで出た分が落ちているため、いちばん低く出ます。

セットを足す

(257+67)個 ÷ 12日 = 1日あたり27.0個。単品とセットは別の行なので、足しても二重計上になりません。

取消を引く

(324-2)個 ÷ 12日 = 1日あたり26.8個。取消を元の販売日に戻しても、合計と平均はこの数字です。

休業日を0で埋める

322個 ÷ 14日 = 1日あたり23.0個。営業していない2日が平均に入るぶん、低く出ます。

DEMO

同じ14日分の記録を、4つの直し方で並べてみる

本文の試算例と同じ14日分のレジの記録を使います。セットを足すか、取消をどこで引くか、休業日を0で埋めるかを切り替えると、日別の数量、1日あたりの平均、曜日ごとの平均が変わります。

売上データの直し方くらべ|1日あたりの数量と、曜日ごとの発注の目安

弁当1品目の14日分(6月1日から14日、水曜定休、8日に前日ぶんの取消が2個)を初期値にしています。3つの切り替えを動かすと、同じ記録からいくつの目安が出るかを確認できます。

触って動かせます
計算の中身
日別の数量は、単品の行にセットの行(セット1つに弁当1個)を足し、取消を選んだ日に引いたものです。1日あたりの平均は、合計数量を対象の日数で割っています。休業日を除くと12日、0で埋めると14日が分母になります。
使っている前提
14日分の数量はすべて説明用の想定値です。値引き、予約、在庫切れで売れなかった日は扱っていません。実際の記録では、セット1つに含まれる個数が商品ごとに違います。
確かめてほしいところ
初期状態(セットを足さない・取消を引かない・休業日を除く)は21.4個です。セットを足すと27.0個、取消を引くと26.8個、休業日を0で埋めると23.0個になります。曜日ごとの表では、日曜が31.5個で全日の平均より4個以上多くなります。

※ この画面は数量の集計だけを計算しています。金額、原価、日持ち、当日の追加仕入れは扱っていません。自店のレジから書き出した記録に置きかえて確認してください。

直した表を確かめてから、どこまで自分でやるかを決める

直したあとは、次の3つを見てください。どれも表計算ソフトの関数を使わずに、目で数えて確認できます。3つとも合っていれば、その表は発注の目安を出す材料として使えます。合わないときは、抜けた日か、処理していない返品か、セットの扱いのどれかが残っています。

ここまで整えた表は、同じ曜日の平均を出す手順にそのまま使えます。1品目なら、レジの商品別売上を書き出してExcelに貼り、日付と数量の2列にするまで1時間ほどで終わります。品目が3つか4つまでなら、この形で毎週続けられます。最初から全品目をそろえる必要はありません。

手が止まるのは、品目が増えたときと、返品やセットの直しを毎週くり返すときです。書き出しと直しに毎週1時間以上かかるようになったら、仕組みにすることを考える目安です。当社では、書き出したCSVを1つお預かりして、この4か所を確認し、発注の見込みを出せる状態かをお返事するところまでを無料で行っています。

開発中の手軽に使える需要予測AIは、日付と数量の2列から28日先までの見込みを幅つきで出すものです。リリース時期は未定ですが、データ確認と試験予測は今でも受け付けています。仕組みにするときの費用は、直す作業をどこまで自動にするかと、画面をどこまで作るかで変わります。見積もりのために確認するのは、お使いのレジや販売管理ソフトの名前、書き出せるファイルの形、扱う品目の数、記録がある期間の4つです。

行数と日数

期間の日数から休業日を引いた数と、表の行数が同じか。ずれていれば、抜けた日か重複した日があります。

マイナスの行

返品を元の販売日に戻したなら、マイナスの行は残りません。残っていれば、処理できていない返品があります。

合計の突き合わせ

数量に単価を掛けた金額が、同じ期間の売上と大きく離れていないか。離れていれば、セットや値引きの扱いが漏れています。

まとめ

発注に使う数量は、レジの商品別売上から拾うのがいちばん早く、出せない場合は納品書と棚卸表で代えられます。帳簿に必ず残るのは日付と金額までです。

残りの3か所は、休業日の行、返品が立つ日、セットと持ち帰りで分かれた行です。同じ14日分の記録でも、直し方によって1日あたりが21.4個から26.8個まで動きました。

直したあとは、行数と日数が合っているか、マイナスの行が残っていないか、合計金額が売上と近いかを確認します。

まず、売上の大きい1品目について、直近4週間のレジの商品別売上を書き出してみてください。数量の列があるかどうかが、その場で分かります。

よくある質問

レジが古く、商品別の数量が出せません。どうすればいいですか?

納品書と棚卸表から使用量を出す方法があります。前月末の在庫に、その月に仕入れた数量を足し、当月末の在庫を引くと、その月に使った量が出ます。月単位の数字になるため日別の発注には足りませんが、品目ごとの使用ペースは分かります。日別の数量が要る品目だけ、数量を手で数える紙を1枚置いて、2週間ほどためてから判断しても間に合います。

返品を元の販売日に戻す作業は、毎回やるべきですか?

返品の件数を数えてから決めてください。1日あたりの数量に対して1個あるかないかなら、戻さなくても発注の目安はほとんど動きません。まとめ買いの返品や、催事のあとの返送のように1回で何十個も動くものがあるなら、その分だけ元の日に戻してください。全部を戻す作業を毎週続けると、記録をつけること自体が続かなくなります。

金額のデータしかありません。発注の見込みには使えませんか?

金額でも日付順に並べて傾向を見ることはできます。ただし途中で値上げや値引きをしていると、金額の動きと売れた数の動きがずれます。発注で決めるのは数量なので、当面は金額を単価で割った概算を使い、並行して数量の残る記録に切り替えるのが現実的です。レジの設定を変えるだけで商品別の点数を出せる機種もあるので、まず設定を確認してみてください。

セットの対応表は、どこまで細かく作ればいいですか?

発注する材料に結びつく商品だけで十分です。弁当やコースのように、売れた数がそのまま仕入れ数量に響くものから作ってください。ドリンクのように在庫に余裕があり、切らしても当日に買い足せるものは、後回しでも構いません。品目を増やすのは、上位の品目で1ヶ月続けてからにしてください。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

書き出したファイルが発注に使える形か、一緒に確認できます

レジから書き出してはみたが、返品のマイナスやセットの行をどう扱えばいいか決まらない。商品別の数量が出せる機種かどうか分からない。品目が増えて、毎週の直しが続かなくなってきた。そんな段階でご相談いただけます。ファイルが手元になくても、お使いのレジや販売管理ソフトの名前と、いま困っている作業をうかがうところから始めます。

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