EvoQuest

飲食・食品の業務

店の料理を通販で全国に送りたい。何から始める?

最初に決めるのは「何を、どの状態で送るか」です。冷凍したり日持ちさせたりして遠くへ送る商品は、飲食店営業の許可だけでは足りないことがあります。商品を決めたら保健所で許可を確かめ、容器の表示と注文ページの書き方を整えます。

この記事でわかること

  • 飲食店営業の「調理」は、その場で食べてもらうか、短期間のうちに食べられることが前提です。冷凍や日持ちさせて送る商品は、そうざい製造業・冷凍食品製造業・菓子製造業など別の許可が必要になることがあります。
  • 容器や袋に入れて売る食品には表示が要ります。店で作って店で売る場合に省略できる項目もありますが、消費期限・賞味期限と保存の方法は省略できません。
  • ネットの注文画面やSNSで注文を受けるときは、特定商取引法で、注文を確定する前の画面に分量・価格と送料・支払い・届ける時期・キャンセルや返品の扱いなどを表示する決まりがあります。
  • いきなり全国発送にせず、予約して店で受け取ってもらう形で人気の商品を確かめてから始める方法もあります。

最初に決めるのは「何を、どの状態で送るか」

通販を始めたいと思ったとき、最初に決めるのは商品です。同じ料理でも、作ったその日に届けるのか、冷凍して送るのか、日持ちするように加工して送るのかで、必要な許可も、容器に書く内容も、送る手段も変わります。

店で出している料理をそのまま送れるとは限りません。冷凍すると食感が変わる料理もあり、送る商品として作り直すことも出てきます。まずは送りたい商品の候補を挙げて、それぞれ「どの状態で届けるか」を決めておくと、保健所に相談するときの話が早くなります。

冷凍した料理(ハンバーグ、ぎょうざ、カレーなど)

厚生労働省のQ&Aでは、そうざいや農水産物の冷凍食品を作る場合は冷凍食品製造業の許可が関係します。店の厨房の設備で作れるかを含めて、保健所で確かめます。

焼き菓子やケーキ

同じQ&Aでは、菓子の冷凍食品を作る場合は、冷凍食品製造業ではなく菓子製造業の許可のみで作れるとしています。冷凍しない焼き菓子を送る場合も、菓子として送る前提で許可を確かめます。

自家製の麺

麺の冷凍食品も、Q&Aでは麺類製造業の許可のみで作れるとされています。菓子と同じく、その許可の施設基準に加えて、施行規則で定める要件も満たす必要があります。

飲食店営業の許可で送れる範囲

厚生労働省の営業許可制度の見直しに関するQ&A(問5)は、飲食店営業の対象となる「調理」を、その場で客に食べてもらうか、短期間のうちに食べられることを前提にしたものと説明しています。短期間かどうかの判断として、作った人から消費者に直接売る場合や、食品表示法で表示が免除される対面販売などが想定されています。

同じ問5は、喫茶店が店内で出しているケーキを、短期間のうちに食べられる前提で持ち帰り用に売る場合、ほかの許可を追加で取る必要はないとしています。一方で、冷凍やレトルトのように日持ちさせて遠くへ送る商品は、この前提から外れると考えられます。そうざい製造業や冷凍食品製造業など、別の許可が必要になることがあります。

2021年6月からの新しい制度では、1つの施設には営業の形に最も合う1つの許可を取る「一施設一許可」の考え方がとられています(Q&A問1)。今の厨房で通販の商品も作るのか、作る場所を分けるのかで、取る許可や必要な設備が変わります。

保健所には、送りたい商品、作る量の目安、作る場所と使う設備、保存する温度、送り方をまとめて持っていくと相談が進めやすくなります。どの許可に当たるかは商品と設備で決まるため、店側で決めつけずに確かめてください。

容器に入れて送る食品には、表示が要る

容器や袋に入れた加工食品を売るときは、食品表示基準にもとづいて名称・原材料名・アレルゲン・消費期限または賞味期限・保存の方法などを表示します。お皿で出す料理とは決まりが変わります。

消費者庁の食品表示基準Q&A(第2章 加工食品)の加工-191は、表示の一部を省略できる「食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合」を、作る人と売る人が同じで、同じ施設や敷地の中で作って売ることと説明しています。通販で遠くへ送る商品にこの省略が当てはまるかは、このQ&Aには直接書かれていません。原材料名やアレルゲンも含めて表示する前提で準備し、保健所で確かめておくと安心です。

どちらの場合も、消費期限か賞味期限、保存の方法は省略できません。期限の決め方は店で作った惣菜やお菓子の消費期限の記事で、アレルギーの表示は飲食店のアレルギー表示の記事で説明しています。

ネットやSNSで注文を受けるときに表示すること

通販には、特定商取引法の決まりがあります。消費者庁の通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインは、注文ボタンを押すと申込みが完了する画面(最終確認画面)に、次の事項を表示するよう求めています。店が用意した注文用紙で受ける場合も同じです。

同じガイドラインの注記は、チャットやSNSなどを使って申込みを受ける場合も含むとしています。SNSのメッセージで注文を受けるだけの小さな通販でも、確定する前に相手が確認できる形でこれらを伝えておく必要があります。

分量

何がいくつ入っているか。毎月届けるような定期便なら、届ける回数も含めて全体の量が分かるように書きます。

価格と送料

販売価格に送料が含まれないなら、送料も書きます。ネットの注文画面では、実際に支払う送料と、複数の商品を買うときの支払総額も表示します。

支払いの時期と方法

前払いか、届いてからの支払いか。振込やカードなど、使える方法も書きます。

届ける時期

注文から何日で発送するか、届け日を選べるかなど。

申込みの期間

期間限定で売る場合だけ、その期間を具体的な日付で書きます。「今だけ」のような書き方では表示したことになりません。

キャンセルと返品

申込みの撤回や解除の条件と方法。返品を受けない場合も、受けないことを書いておきます。

返品の扱いは、目立つところに書く

消費者庁の通信販売における返品特約の表示についてのガイドラインによると、特定商取引法は、店が返品についての特約を広告に表示した場合、その特約が優先されるとしています。広告するときは、返品の特約を含めた申込みの撤回などに関する事項を表示しなければなりません。

ガイドラインは、「返品不可」「到着後○日以内に限り返品可」「送料はお客様負担」のような返品の可否・条件・送料の負担を、価格や連絡先の近くに、ほかの事項にまぎれない形で表示する例を挙げています。「ご利用ガイド」のような共通のページにまとめる場合も、各商品の説明から分かるようにしておきます。

なお、このガイドラインが扱うのは、注文どおりの商品が届いた場合の返品です。届いた商品が傷んでいたなど、注文の内容と合わない場合の扱いは別の話として整理されています。

いきなり全国発送にしなくてもいい

ここからは当社の提案です。通販用の許可や設備を整える前に、送りたい商品を「予約して店で受け取る」形で売ってみる方法があります。短期間のうちに食べてもらう前提で店で直接渡すなら、Q&A問5の考え方では飲食店営業の範囲で扱える場合があります。どの商品がどれくらい予約されるかを見てから、通販にする商品を絞り込めます。

通販を始めると、注文の一覧、発送する日、送り先、入金の確認、在庫を照らし合わせる作業が毎日発生します。最初は紙や表計算で十分です。注文が増えて、店の営業と発送の準備が重なるようになったら、注文の受付から発送の一覧までをまとめる仕組みを考える段階です。

送りたい商品が決まっていなくても、常連さんに「家でも食べたい」と言われる料理から考え始めてもかまいません。店の料理を店の外に届ける方法には、キッチンカーやふるさと納税の返礼品もあります。

よくある質問

店で作った料理を、冷蔵のまま宅配便で送ってもいいですか?

作った日のうちに食べてもらう前提かどうか、どのように届けるかで扱いが変わるため、一律には言えません。厚生労働省のQ&Aは、飲食店営業の調理を、その場で食べるか短期間のうちに食べられることを前提にしたものとしています。冷蔵で送る商品が飲食店営業の範囲に入るかは、商品と送り方を伝えて保健所で確かめてください。

SNSのメッセージで注文を受けるだけでも、表示の決まりはありますか?

消費者庁の申込み段階の表示についてのガイドラインは、チャットやSNSなどを使って申込みを受ける場合も対象に含めています。分量、価格と送料、支払いの時期と方法、届ける時期、キャンセルや返品の扱いなどを、注文が確定する前に相手が確認できるようにしておきます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

予約や通販の注文を、店に合う形でまとめます。

持ち帰りの予約と通販の注文を一緒に管理したい、発送する日と送り先の一覧を毎日手で作っている、注文ページを用意したいが何を載せればいいか分からない。商品がまだ決まっていない段階でもかまいません。いまの注文の受け方をうかがい、最初に整える部分から一緒に考えます。

飲食店の業務について相談する (新しいタブで開きます)

メールでのお問い合わせ:info@evoquest.jp 解説記事一覧へ戻る

EvoQuest

AI相談窓口

EvoQuestについて、
気になることを聞いてください。

サービスの内容や制作実績、
費用の目安などをご案内します。

AIが回答します。個人情報・機密情報は入力しないでください。入力内容は回答のためにAI提供元へ送信されます。利用について(新しいタブ)

直接お問い合わせ

会話はこのタブに一時保存されます。