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飲食・食品の業務

外国のお客さん向けのメニュー、何から用意する?

外国のお客さん向けのメニューは、何か国語もそろえなくても始められます。まず英語を添えて、写真と番号を付ける。次に料理ごとの材料と、豚肉や酒を使っているかを書く。店が対応できる範囲をそのまま示せば、お客さんが自分で選べるようになります。

この記事でわかること

  • 国土交通省北海道運輸局の受入マニュアルは、飲食店の最低限のポイントとして「材料と調理方法を簡単に多言語化」「数字や写真で注文しやすく」「お通しやサービス料の説明」の3つを挙げています。
  • 料理名を訳すだけでは、肉や魚、卵、乳製品、酒を避けている人は選べません。だしや調味料に含まれるものまで書くと、アレルギーのある人も含めて判断しやすくなります。
  • 観光庁のガイドは、厳格に対応しているかどうかより、対応している内容を示すことが重要だとしています。ハラール認証の取得は必須ではありません。
  • 翻訳ツールで作った文は、英語の分かる人に一度読んでもらいます。メニューを変えるたびに直すのが負担になってきたら、画面で管理する方法を考える目安になります。

最初は英語を添えて、写真と番号を付ける

国土交通省北海道運輸局の「外国人観光客ひとり歩き受入マニュアル」(PDF)は、費用をあまりかけずに取り組める方法をまとめた資料です。飲食店のページでは、最低限のポイントとして次の3つを挙げています。

同じマニュアルは、多くの言語に翻訳するには手間も費用もかかるので、最低限の対応としてまず英語を併記するよう勧めています。パンフレットの例では、多言語にしすぎると文字ばかり増えて、かえってどの国の人にも分かりにくくなる、という注意もあります。日本語のメニューに英語を1行ずつ添える形なら、店の人も同じ1枚で注文を受けられます。

材料と調理方法を簡単に多言語化する

料理名だけでなく、何を使って、焼くのか煮るのか揚げるのかを短く添えます。マニュアルは、スープなのかご飯なのか、どんな料理なのかは、言葉より写真のほうが伝わる場合も多いとしています。

数字や写真で、注文しやすく・受けやすくする

メニューに番号を付けると、お客さんは番号で注文でき、店も聞き間違えにくくなります。数字は発音だけだと聞き間違えるので、指で示すなどしてお互いに確認します。

お通しやサービス料は説明しておく

次の節で詳しく書きます。会計のときに初めて知ると、もめる原因になります。

料理名の翻訳より、使っている食材を書く

外国のお客さんの中には、宗教や考え方、体質の理由で食べないものがある人がいます。北海道運輸局のマニュアルは、食材や調理方法の説明書きを加えると、食物アレルギーのある人や、宗教・食習慣の理由で食べられないものがある人も安心して選べるとしています。

観光庁の「ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド」(令和6年4月)によると、避けるものは人によって違います。肉や魚を使わなければよいわけではなく、卵や乳製品を避ける人もいて、ヴィーガンの人は蜂蜜やゼラチンも避けます。ムスリムの人は豚肉と豚由来のもの(ラード、ゼラチン、乳化剤、ショートニングなど)と、アルコールを避けます。

見落としやすいのは、だしと調味料です。ガイドは、かつおなど動物性の原料からとっただしは避けられることがあり、昆布など植物由来のだしを使うよう勧めています。調味料や加工食品も、見た目で判断せずラベルで原材料を確かめる必要があります。ガイドのメニュー例では、ムスリム向けにみりんをてんさい糖などに替え、醤油や味噌もアルコール無添加のものを使っています。

メニューに書く項目は、たとえば次の5つです。全部の料理を作り替える必要はありません。いま使っている食材を書き出すだけで、お客さんが選ぶ材料になります。

肉の種類

豚・牛・鶏のどれを使っているか。ベーコンやひき肉、ラードのように形が見えないものも含めます。

魚介とだし

具の魚介に加えて、かつおや煮干しのだしを使っているか。

卵・乳製品

衣やつなぎ、ソースに使っている場合も書きます。

アルコール

料理に使うみりんや料理酒も含めて、使っているかどうか。

アレルギーの原因になりやすい食材

食品表示で表示が義務になっている9品目(えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生)が目安です。店内で出す料理のアレルギー表示の決まりは、メニューのアレルギー表示の記事で説明しています。

どこまで対応できるかを、そのまま書く

観光庁のガイドは、ベジタリアン・ヴィーガンやムスリムの人は一人ひとり守っている決まりの程度が違うため、対応している内容を「ポリシー」として示すことが重要だとしています。厳格に対応しているかどうかより、内容を示すこと自体が大切だ、という書き方です。

ガイドが示す項目の例は、使っている・使っていない食材(豚肉の使用の有無など)、第三者機関の認証の有無、専用の調理場・調理器具の有無、対応メニューの有無、専用の食器の有無などです。店頭に掲示したり、SNSに載せたりして伝えるよう勧めています。

たとえば「豚肉と酒を使わない料理はこの3品です。ただし調理器具はほかの料理と共通です」と書いておけば、気にしない人は注文でき、気にする人は別の店を選べます。ガイドのムスリム向けQ&Aでも、ハラール認証の取得は必須とはしておらず、調理器具やキッチンもできる範囲で対応して、その内容を表示することが重要だとしています。

ガイドは、ベジタリアン・ヴィーガン対応の第一歩として、新しいメニューを考える前に、いまのメニューをそのまま、または一部の食材を変えたり抜いたりして出すことを挙げています。天丼やカレー、ペペロンチーノなどを例に、えびを抜く、だしを昆布やキノコに替える、肉やベーコンをキノコや厚揚げに替えるといった調整で、一般のお客さんと同じメニューにできる例が載っています。

お通し・席料・支払い方法は、メニューに書いておく

北海道運輸局のマニュアルは、海外にはお通しの習慣がないので、支払いのときに苦情になることがあると注意しています。お通しや席料がある店は、何が出てくるのか、いくらかかるのかを、税やサービス料と一緒にメニューに書いておきます。

海外ではテーブルで支払うことが多いので、レジで払ってほしい店は「お支払いはレジで」と書いておくよう勧めています。現金しか使えない、注文は食券で、といった店の決まりも、席に着く前に分かる場所に書いておくと、会計で困る場面が減ります。

翻訳ツールで作った文は、誰かに一度読んでもらう

英語の文は、無料の翻訳ツールで下書きできます。北海道運輸局のマニュアルも、費用をかけない方法として翻訳ツールの利用を挙げています。そのうえで、誤った翻訳で不快な印象を持たれることもあるので、留学生や地域に住む外国の人、専門家に確認してもらうことを勧めています。

日本語をそのまま訳すと伝わらない表現もあります。マニュアルは、「ご遠慮ください」のような遠回しな言い方は、できるのかできないのかがはっきり分かる書き方にするよう注意しています。「お持ち込みはご遠慮ください」なら、持ち込みはできない、と書きます。

会話には、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の音声翻訳アプリVoiceTraがあります。33言語に対応し、無料で使えます。ただし公式サイトでは、個人の旅行者が試すことを想定した研究用のアプリとされていて、試験的には使えるものの、この技術を使った民間のサービスの利用も検討するよう案内されています。

紙1枚から始めて、直すのが大変になったら画面にする

ここからは当社の考えです。最初の1枚は、いまのメニュー表に英語と番号、写真、使っている食材を書き足すだけで十分です。外国のお客さんがよく注文する料理から始めて、聞かれたことをメモしておくと、次に書き足す内容が決まります。

季節ごとにメニューが変わる、英語以外の言語も増やしたい、注文もスマホで受けたい、という段階になると、紙を作り直す手間が増えます。料理ごとの材料と翻訳を一か所にまとめておき、メニュー表や注文画面に同じ内容を出す仕組みにすると、直す場所が1つで済みます。スマホで注文を受ける方式の選び方は、モバイルオーダーの記事にまとめています。

店に来る前に見てもらう方法もあります。観光庁のガイドのQ&Aでは、ムスリムのお客さんに知ってもらうには、InstagramなどのSNSやGoogleマップなどの地図アプリで、写真や動画を使って英語で発信するのが有効だとしています。英語のメニューができたら、店のSNSや地図アプリの店舗情報にも載せておくと、来る前に選んでもらえます。

よくある質問

英語のほかに、中国語や韓国語も用意したほうがいいですか?

北海道運輸局のマニュアルは、まず英語を併記する考え方です。歓迎の言葉を多言語で掲げる例では、来ているお客さんの国や地域に合わせて言語を選び、中国語なら簡体字と繁体字のどちらか一方だけだと、もう一方を使う人に歓迎されていない印象を与えるので両方を書く、と注意しています。メニューも同じように考えられます。どの言語を足すかは、お店に来ているお客さんの様子から決めてください。

ハラール認証を取らないと、ムスリムのお客さんに料理を出せませんか?

観光庁のガイドのQ&Aでは、認証を取ったほうが安心してもらえるものの、認証まで求めるかどうかはお客さんによって異なるので、必須とはしていません。豚肉・豚由来のものやアルコールを使っていない料理を示す、調理器具が共通かどうかを書くなど、できる範囲の対応と、その内容を伝えることが大切だとしています。何を食べるかはお客さん本人の判断に任せる、というのがガイドの考え方です。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

英語のメニューや注文画面を、店の流れに合わせて作れます。

メニューが変わるたびに英語版を作り直すのが大変、料理ごとの材料をまとめて管理したい、スマホの注文画面も英語にしたい。そんな段階でも相談できます。何語にするか決まっていなくても、いまのメニューの作り方と注文の受け方を聞きながら、紙のままでよい部分と画面にする部分を一緒に整理します。

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