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需要予測・AI

発注や仕込みの数量を出す仕組みは、既製のソフトを買うか、自社に合わせて作るか

先に既製のソフトで試し、合わない部分だけを作るほうが安く済みます。分かれ目は、必要な数量の単位と、発注の締切に間に合うかの2つです。発注量や仕込み量を手で決めている会社・店の経営者に向けた記事です。

この記事でわかること

  • 既製のソフトは、集計する単位と数字を出す形が先に決まっています。自社の発注単位と締切に合うかを、契約する前に確かめます。
  • 合わなかった場合も、全部を作る必要はありません。記録と集計は既製のソフトに任せ、数量を決める画面だけを作る形も選べます。
  • 費用の形が違います。買う場合は毎月の利用料が続き、作る場合は初期の開発費と年ごとの保守費です。5年分を並べて比べます。
  • デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠は、登録されたITツールのソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が対象です。補助率は1/2以内で、1プロセス以上のソフトなら補助額は5万円以上150万円未満です。

既製のソフトを先に試し、合わない部分だけを作る

発注量や仕込み量の計算を仕組みにしたいとき、最初から開発を考えると金額が大きくなります。順番を逆にしてください。既製のソフトで足りるかを先に確かめ、足りない部分だけを作るほうが、費用も導入までの時間も小さくなります。

足りるかどうかは、3つを見れば判断できます。1つ目は、必要な数量の単位です。品目ごとに見るのか、店舗の合計でよいのか。通常食・刻み食などの食事形態ごとに分けて数えている事業所もあります。2つ目は、判断の締切です。前日の17時までに数字が必要なのか、週に1回でよいのか。3つ目は、いまの記録の置き場所です。レジに残っているのか、Excelなのか、手書きの表なのか。

この3つが既製のソフトの想定と合っていれば、買うほうが早く済みます。1つでも合わなければ、その部分だけを作る相談になります。

数量の単位

ソフトが集計できる単位と、自社が発注に使う単位が同じかを確認します。キロで頼む品目を個数でしか管理できないソフトでは、毎回の換算が残ります。

判断の締切

数字が必要な時刻に間に合うかを確認します。締切が前日の夕方なら、月次の集計しか出ないソフトでは判断に使えません。

記録の置き場所

いまの記録をそのまま取り込めるかを確認します。CSVで書き出せるか、手入力が必要かで、毎日の手間が変わります。

既製のソフトは、何が決まっていて何が変えられないのか

インターネット経由で使うソフト(クラウドサービス)は、複数の会社が同じ仕組みを共有しています。中小企業基盤整備機構のビジネスQ&Aは、この形のソフトについて「複数の企業で共有される場合が多いため、クラウド・サービス事業者はシステムのカスタマイズを受け付けない場合が多い」と説明しています。画面の項目や計算の単位は、基本的に提供されたままで使うことになります。

同じQ&Aは、利点として、自社にサーバーを置く場合より導入と運用の費用を低く抑えられること、申し込み後すぐに使い始められるものがほとんどであることを挙げています。決まった作りをそのまま受け入れられるなら、既製のソフトは速くて安い選択です。

総務省の令和7年版情報通信白書によると、2024年時点で80.6%の企業がクラウドサービスを利用しています。発注や在庫の管理でも、まず既製のサービスを探すのが普通の順番になっています。

数量の見込みについては、レジのソフトに分析機能が付いていることがあります。中小企業基盤整備機構の別のQ&Aは、生鮮食品の廃棄を減らす手順として、POSの単品データに催しや気温といった外部のデータを合わせて「ある程度の販売数量を予測する必要がある」と説明し、曜日と時間帯ごとに品切れの時間帯や残った在庫数を調べることを挙げています。付属の分析機能でここまで見られるなら、その先の仕組みは要りません。

変えられないことが多い部分

集計の単位と、画面の項目や数字を出す形式です。自社の発注単位に合わせた計算式を足せる作りのソフトは少数です。

設定で変えられる部分

品目の登録、分類の名前、利用する人の権限、通知の宛先。ここは管理画面から自社に合わせられます。

契約前に確かめること

自社の記録をそのまま取り込めるか、必要な単位で数字が出るか。あわせて、やめるときに自社のデータをCSVで持ち出せるかも、試用の期間に確認します。

自社に合わせて作るほうが向くのは、どんなときか

作るほうが向くのは、次の4つのどれかに当てはまるときです。どれにも当てはまらないなら、既製のソフトで足ります。

当てはまる場合も、全部を作る必要はありません。売れた数の記録と集計は既製のソフトに任せ、書き出したCSVを材料に、数量を決める画面だけを作る形が選べます。当社の発注表アプリの開発プランは、閉店後に数える品目を絞り、品目ごとの発注点と発注量を1枚の表で出す想定です。予測から発注集計まで通す規模になると、来客予測・発注管理の開発プランのように画面数が増えます。

数量の単位が製品の想定と違う

うどんの玉数、肉の部位ごとのキロ数、食事形態ごとの食数。既製のソフトの分類に収まらない単位で頼んでいる場合です。

締切の時点で必要な数字が出ない

前日の夕方までに翌日の数量を確定したいのに、出てくるのが月次や週次の集計だけ、という場合です。

判断が複数の記録にまたがる

予約、在庫、天気、催しの予定を見比べて決めている場合です。記録が別々の場所にあるほど、1つの画面にまとめる価値が出ます。

いまの仕組みと自動でつなぐ必要がある

レジや仕入先の発注システムとデータを行き来させたい場合です。手で入れ直す作業が毎日あるなら、つなぐ部分だけでも作る対象になります。

買う場合と作る場合で、費用の形はどう違うか

買う場合の費用は、導入時の設定費と、使い続けるあいだ毎月かかる利用料に分かれます。やめれば支払いは止まりますが、その時点で自社のデータをどう持ち出すかは先に決めておく必要があります。作る場合は、初期の開発費と年ごとの保守費です。開発費は対象の品目数、つなぐシステムの範囲、作る画面の数で決まります。当社が公開している来客予測・発注管理の開発プランでは、要件整理から納品までを3か月で見込んでいます(実際の案件ではなく、想定として組んだ計画です)。

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の通常枠は、この費用の一部に使えます。補助率は1/2以内で、令和6年10月から令和7年9月までの間に3か月以上、地域別最低賃金を下回る賃金で雇用する従業員が全体の30%以上いる場合は2/3以内です。補助額は、1種類以上の業務プロセスを持つソフトウェアなら5万円以上150万円未満、4種類以上なら150万円以上450万円以下です。

対象になる経費は、ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)です。これに加えて、機能の拡張、データを連携するツール、セキュリティの費用、導入のコンサルティング、導入設定、導入研修、保守サポートも対象に含まれます。発注や在庫の仕組みは、通常枠が挙げる業務プロセスのうち「供給・在庫・物流」に当たります。会計や人事のような汎用のプロセスだけを持つソフトウェアは対象外です。

注意したいのは、補助の対象が登録されたITツールに限られる点です。同補助金のページには、登録されていないITツールは交付申請ができないと書かれています。AIを搭載したソフトウェアも登録できます。補助金を前提に進めるなら、同じサイトのITツール検索で、登録済みのツールと導入を支援する事業者を先に確認してください。オーダーメイドの開発をこの枠組みで進められるかは事業者ごとに違います。

クラウド利用料の補助は最大2年分です。3年目からは自社の費用に戻るので、金額を比べるときは1年ではなく5年で並べてください。AI開発そのものの費用の内訳は、AI開発の費用の記事で試作・開発・運用の3つに分けて説明しています。

DEMO

買う場合と作る場合の費用を、5年分並べて比べる

既製のソフトの導入設定費と月額利用料、自社に合わせて作る場合の開発費と年間保守費を入れると、5年分の累計と、既製のソフトの累計が作る場合に追いつく年が出ます。補助金を使う場合の自己負担も確認できます。

費用の試算|既製のソフトと自社開発を5年で比べる

金額を入れると、1年目から5年目までの支払いと累計が表に並びます。デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠の補助率と補助額の上限を選ぶと、既製のソフト側の自己負担が計算されます。補助の対象はソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)に限られるため、3年目以降の利用料は自己負担として計算しています。

触って動かせます
計算の中身
既製のソフトは「導入設定費+月額×12か月」を毎年、作る場合は1年目に開発費、2年目以降に年間保守費を置いています。補助額は、対象経費に補助率を掛けた額を、選んだ上限で切ります。
使っている前提
金額はすべて入力例です。値上げや途中の追加開発は入れていません。自社が受け取った見積もりの金額に置きかえてください。
確かめてほしいところ
月額を上げていくと、既製のソフトの累計が作る場合に追いつく年が早くなります。5年より短い期間で使うつもりなら、追いつく年が使う期間より後かどうかを見てください。

※ 補助率と補助額の上限は、デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠に公開されている数値を使っています。補助の対象になるのは登録されたITツールに限られ、申請の要件は募集ごとに変わります。申請を考える場合は、最新の要件を補助金の公式サイトで確認してください。この画面は費用だけを比べるもので、自社の業務に合うかどうかは金額では決まりません。

3か月ぶんの記録をためてから、どちらかを決める

決めかねているあいだにできることがあります。品目を1つ選び、日付と数量の2列を3か月ためてください。表計算ソフトでも手書きの表でもかまいません。いま使っているレジの分析機能が出す数字と、自分が決めた発注量を並べると、足りないのが記録なのか、それとも計算や画面なのかが分かります。表計算ソフトでどこまで計算できるかは、移動平均の記事にまとめています。

仕組み化を相談する目安は3つです。集計や転記に毎週まとまった時間がかかっている。品目が増えて、担当者以外には数量の根拠が分からない。数量を決める人が休むと、発注が止まる。このどれかが起きているなら、紙のままで続けるより、仕組みに移す相談をする時期です。

当社が支援できるのは、CSVファイルを1つお預かりして、需要予測に使える内容かを確認し、試験予測の結果を直近の実績と並べてお見せするところからです。手軽に使える需要予測AIはリリース前のため、この確認は無料で受け付けています。費用がかかる場合は、始める前に金額をお伝えします。既製のソフトで足りると判断できた場合も、そのようにお伝えします。

見積もりのために確認するのは4つです。対象にする品目数、数量を確定する締切、つなぐ相手(レジ、仕入先の発注システム、会計)、作る画面の数。これが決まれば金額の幅を出せます。発注のどこまでを計算に任せられるかは、発注の自動化の記事で説明しています。

今週やること

1品目を選び、日付と数量の2列を記録し始めます。3か月たまると、曜日ごとの差が見えます。

契約前にやること

既製のソフトの試用期間に、自社の単位で数字が出るか、CSVで持ち出せるかを確かめます。

相談するときに持ってくるもの

いまの発注表か、レジから書き出したCSVを1つ。整えていない状態でかまいません。

まとめ

既製のソフトで足りるかは、数量の単位、判断の締切、記録の置き場所の3つで判断します。合っていれば買うほうが速く、安く済みます。

合わない場合も、記録と集計は既製のソフトに任せ、数量を決める部分だけを作る形が選べます。費用は買う場合が利用料の継続、作る場合が初期費用と保守費です。5年で並べて比べてください。

次にやることは1つです。1品目の日付と数量を3か月ためて、いま使っているソフトが出す数字と、自分が決めた数量を並べること。どちらを選ぶかの材料は、それで足ります。

よくある質問

いま使っているレジに予測の機能が付いています。それで足りませんか?

足りることがあります。確かめるのは3つです。自社が発注に使う単位で数字が出るか、必要な時刻までに出るか、その数字をCSVで書き出せるか。3つとも満たせるなら、新しい仕組みは要りません。満たせない場合も、売れた数の集計はレジに任せ、足りない部分だけを別に用意できます。

補助金を使えば、自社に合わせて作るほうも安くなりますか?

対象になるかを先に確認してください。デジタル化・AI導入補助金2026では、登録されたITツールでなければ交付申請ができません。登録の要件は、業務プロセスまたは汎用プロセスのいずれか1つ以上に該当する機能を持つことです。オーダーメイドの開発をこの枠組みに乗せられるかは事業者ごとに違うので、補助金を前提にする場合は、相談の最初に確認しておくと計画が崩れません。

既製のソフトから自社の仕組みに移すとき、たまったデータは持ち出せますか?

契約前に確認してください。見るのは2点です。品目、日付、数量を含むCSVで書き出せるか、書き出せる期間に制限がないか。書き出せない場合、乗り換えの時点で過去の記録が使えなくなり、数量の見込みを立て直すまでに時間がかかります。

店が1つだけの規模でも、作る意味はありますか?

判断が1つに絞れているなら、表1枚ぶんの仕組みで足ります。当社が公開している発注表アプリの開発プランも、数える品目を絞って1枚の表で出す想定です。逆に、数量を決める人が1人しかおらず、その人が休むと発注が止まる状態なら、規模より先にそこが相談の理由になります。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

既製のソフトで足りるのか、作る必要があるのか分からないなら。

いま発注量や仕込み量をどう決めているか、記録がどこに残っているかだけ教えてください。そこから、既製のソフトで足りる部分と、作る必要がある部分を分けて整理します。CSVや製品の比較表は、用意できるときにお持ちいただければ十分です。

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