EvoQuest

飲食・食品の業務

店で余った食材を、フードバンクや子ども食堂に寄付できる?

飲食店も食品を寄付できます。渡す前に、受け取る側へ名称・数量・保存の方法・期限・アレルゲンを伝え、扱いの約束を合意書にしておくのが基本です。渡した後は、何をいつどこへ渡したかを1年以上残します。

この記事でわかること

  • 飲食店が関われる形は、余った食品を渡す、店で子どもなどに安く・無料で食事を出す、お客さんから寄付を募って食事の提供に充てる、の3つがガイドラインに書かれています。
  • 受け取る側が扱える食品は団体ごとに違います。常温か冷蔵・冷凍か、量、引き渡しの日時を先に伝えて、受け入れられるかを確かめてから渡します。
  • 消費期限を過ぎたもの、包装が破れたものは渡しません。無料で配る食品も、容器包装に入ったものは表示の決まりの対象です。
  • 法人なら、商品の廃棄の代わりとして合意書と受領書を整えて渡した食品は、帳簿価額を損金にできるとされています。

飲食店が関われる形は3つある

消費者庁や農林水産省も加わる「食品寄附等に関する官民協議会」が、令和6年12月に「食品寄附ガイドライン~食品寄附の信頼性向上に向けて~」をまとめました。寄付に関わる人を役割ごとに分け、それぞれが守ることを書いた資料です。

ガイドラインの定義を読むと、飲食店は次の3つの立場で関われます。どれか1つだけでもかまいませんし、組み合わせることもできます。

余った食品を渡す(食品寄附者)

仕入れや製造、小売、ケータリングなど、食品を扱う事業のどの段階で出た余剰の食品でも寄付できるとされています。フードバンクや子ども食堂、フードパントリー(食品を調理せずに配る活動)に渡します。

店で食事を出す(こども食堂等)

寄付された食品を調理して食事として出す人を、ガイドラインは「こども食堂等」と呼び、飲食店が安く、または無料で食事を出す場合もここに含めています。

お金を集めて支える(資源提供者)

食品以外の資金・場所・運送などを提供する人のことです。飲食店や小売店がお客さんから寄付を募り、食事の無料提供に充てる形もここに含まれると書かれています。

渡しやすいのは、包装されて期限と保存の方法が分かる食品

ガイドラインは寄付の対象として、規格に合わなかった製品、包装を変えたが安全性に影響のない製品、需要と供給の調整で出た余剰品、備蓄品などを挙げています。飲食店に当てはめると、仕入れすぎて未開封のまま残った乾物や調味料、メニューを変えて使わなくなった食材などが考えやすい例です。

これまでの寄付は常温の食品が中心でしたが、冷蔵・冷凍品や日持ちの短い食品にも、受け取る側の需要があるとされています。ただ、冷蔵庫の容量や運ぶ手段は団体ごとに違います。寄付先を選ぶときは、食品が常温・冷蔵冷凍・生鮮のどれに当たるかと量を伝え、扱える相手かを確かめるよう書かれています。

店で作った料理を渡したい場合は、受け取る側が当日中に出せるか、冷やしたまま運べるかを先に相談します。ガイドラインの子ども食堂向けの章は、前日の調理を避け、調理後おおむね2時間以内に食べ終える運営に努めるとしています。作り置きを後から届ける形は、受け取る側の運営と合わないことがあります。

渡す前に、伝えることと約束すること

寄付先が決まったら、食品の名称・数量・保存の方法や注意点・消費期限または賞味期限・アレルゲンを、先に受け取る側へ伝えます。受け取る側からは、受け入れられる量や開催日、冷蔵・冷凍庫を含む保管場所の広さなどを聞いておくと、当日の行き違いが減ります。

扱いの約束は、契約書か合意書にして双方で持つものとされています。続けて寄付するなら、最初に包括的な合意書を1通作っておく方法もあります。ガイドラインが挙げる記載事項は次のとおりです。

寄付する側の品質の確保

加工品なら、保存の方法、期限、アレルゲンに関すること

受け取る側の約束

転売などをしないこと、受け取った食品の品質管理、扱いの記録と保存、寄付した側への結果の報告

責任と事故の対応

品質についての責任の所在と、事故が起きたときの対応

範囲と期間

食品を最終的に届ける先の範囲と、合意書の有効期間

渡すまでの品質は、原則として寄付する店の責任

ガイドラインは、寄付するまでは原則として寄付する側が品質を保証し、寄付の前に原因がある品質や衛生の問題は、原則として寄付した側の責任になるとしています。渡す前に、保存の方法、期限、アレルゲン、包装の破れがないかを確かめます。

消費期限を過ぎたものや、汚れや破損で衛生上の問題が出たものは渡しません。賞味期限は、決められた方法で保存すれば品質が保たれる期限なので、期限が近いもの、過ぎたものでも、包装に破損がなく適切に保管していたものなら、受け取る側と合意したうえで寄付を検討できるとされています。

無料で配る食品でも表示の決まりはかかります。食品表示法は、不特定または多数の人への無償の譲渡も「販売」に含めているためです。容器包装に入った食品は必要な表示があるかを確かめ、表示できない場合は送り状や納品書で情報を伝えます。店で作って袋に詰めた物の期限の決め方は、消費期限の決め方の記事で説明しています。

何をいつどこへ渡したか、1年以上残す

寄付した食品は、問題が見つかったときにすぐ特定できるよう、記録を作って保存します。保存期間は原則1年以上で、期限もふまえて決めるとされています。食品の写真で記録の代わりにすることもできます。ガイドラインが挙げる項目は次のとおりです(生鮮食品は期限・アレルゲン・加熱の要否を除く)。

食品のこと

名称、数量、重量、保存の方法、消費期限または賞味期限、アレルゲン、加熱して食べる必要があるかどうか

渡したときのこと

出荷した日、直接渡した先の団体名、届けた場所、受け渡し時の温度(常温品を除く)

法人なら、廃棄の代わりの寄付は損金にできる

農林水産省が国税庁に確認した資料「フードバンクに係る税制について」によると、法人の寄付金は、ふつうは損金にできる額に限度があります。ただ、社内のルールにもとづく商品廃棄の一環として渡していて、フードバンクとの合意書に転売の禁止、扱いの記録と保存、結果の報告などが定められていれば、渡した食品の帳簿価額を、寄付金以外の費用として、渡した時点の損金にしてかまわないとされています。

店が配送費を負担した場合は、その額も含まれます。フードバンクから、渡した食品の内容や量が分かる受領書を受け取る必要があります。個人事業の場合の扱いや、自分の店が当てはまるかは、税理士か所轄の税務署に確かめてください。

寄付先は、自治体や社会福祉協議会への相談から探せる

初めて寄付するときは、地元の自治体や社会福祉協議会に相談するか、農林水産省が公開しているフードバンク活動団体の一覧を参考にする方法が、ガイドラインに挙がっています。農林水産省の食品寄附のページから、地方ごとの一覧に進めます。北海道は、北海道農政事務所の道内のフードバンク活動団体一覧(令和8年9月更新)があります。一覧は掲載を希望した団体の情報で、活動内容を国が保証するものではないと書かれています。

2026年4月からは、消費者庁と農林水産省が、ガイドラインの守るべき事項を満たすフードバンクを認証する制度を始めています。寄付先を選ぶときの参考の一つになります。

寄付の前に、余りを減らす

寄付は、出てしまった余りを生かす方法です。仕入れや仕込みの量を見直して余り自体を減らす工夫と並べて考えると、店の負担も減ります。仕込み量が外れた日の記録の付け方は、仕込み量が外れた日の記録の記事で紹介しています。

ここからは当社の提案です。寄付を続けるなら、在庫の記録と寄付の記録を同じ表で扱うと、期限が近い食材を見つけて寄付先へ連絡するまでの流れが短くなります。受け取る側の子ども食堂が寄付食材の在庫と当番をスマホで管理する開発プランも公開しています。

よくある質問

個人で経営している小さな店でも寄付できますか?

できます。ガイドラインの「食品寄附者」は、製造・小売・ケータリングなど、食品を扱う事業のどの段階の事業者も含むとされていて、店の規模の条件はありません。事業者ではない個人は含まれず、家庭の食品はフードドライブなど別の形で寄付します。受け入れの条件は団体ごとに違うので、先に相談してください。

寄付した食品で事故が起きたらどうなりますか?

寄付の前に原因がある品質や衛生の問題は、原則として寄付した側の責任とされています。ガイドラインは、事故に備えた保険への加入をフードバンクや子ども食堂の側に勧めています。合意書で責任の所在と事故の対応を決め、記録から対象の食品をすぐ特定できるようにしておくと、連絡や回収が早くなります。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

余った食材を減らす仕組みも、生かす仕組みも相談できます。

仕入れや仕込みが多すぎて食材が余る。期限の近い在庫を誰も把握していない。そうした状況のご相談を受けています。寄付先の紹介や税金の判断は当社では行っていませんが、在庫と期限の記録を整え、余りに早く気づける仕組みづくりをお手伝いします。

飲食店の業務について相談する (新しいタブで開きます)

メールでのお問い合わせ:info@evoquest.jp 解説記事一覧へ戻る

EvoQuest

AI相談窓口

EvoQuestについて、
気になることを聞いてください。

サービスの内容や制作実績、
費用の目安などをご案内します。

AIが回答します。個人情報・機密情報は入力しないでください。入力内容は回答のためにAI提供元へ送信されます。利用について(新しいタブ)

直接お問い合わせ

会話はこのタブに一時保存されます。