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飲食・食品の業務

食べ残しの持ち帰り、飲食店は応じていい?

食べ残しの持ち帰りを禁じる法律はありません。消費者庁と厚生労働省のガイドラインは、店が持ち帰れる料理を決め、持ち帰った後の注意事項を伝えたうえで応じる形を示しています。生ものは断る、注意事項を紙で渡す。この2つから始められます。

この記事でわかること

  • 食品衛生法に食べ残しの持ち帰りを禁じる規定はなく、持ち帰る料理に食品表示の義務も生じません。ただし食中毒が起きれば、原因を調べるため店も保健所の調査の対象になります。
  • 持ち帰りは、お客さんが自由にできるものではなく、店とお客さんの新しい約束です。約束には、持ち帰れる料理を決めることと、食べるときの注意事項を説明することが含まれるとされています。
  • 持ち帰りに向くのは十分に加熱した料理や水分の少ない料理、向かないのは刺身などの生ものや半生の料理です。温め直しても消えない毒素を作る菌もあります。
  • 注意事項は口頭だけでなく、家に帰ってからも読める紙や容器への記載で渡すことが望ましいとされています。持ち帰った日時と料理を記録しておくことも勧められています。

法律で禁止されてはいない。食中毒が起きたときは調査の対象になる

消費者庁と厚生労働省は2024年12月25日に「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」を公表しました。店が持ち帰りに踏み出せない理由として、法律上の関係があいまいなことと、持ち帰りに伴う責任への不安を挙げ、それを整理するために作られたものです。

ガイドラインによると、食品衛生法には食べ残しの持ち帰りを禁じる規定がありません。店の料理の「販売」はお客さんに出した時点で終わっているので、持ち帰りの場面で店に新しい義務は生じないと整理されています。食品表示も、店内で食べる料理はもともと表示の義務がない食品なので、持ち帰ってもラベルを付ける義務は生じません。

一方で、お客さんが持ち帰った料理で食中毒が起きた場合、原因が料理を出す前からあったのか、持ち帰った後に生じたのかは、保健所の調査を経て初めて分かります。そのため店も調査の対象になります。持ち帰りに応じるかどうかは、この点を踏まえて決めることになります。

対象は、レストラン・居酒屋・定食屋・ホテルの宴会など、店の中で食べてもらう前提で料理を出す店です。最初から持ち帰り用に売る弁当やテイクアウト、デリバリー、学校や病院の給食は、このガイドラインの対象外です。

持ち帰りは、店とお客さんの新しい約束になる

ガイドラインは、店の料理はその場で食べる前提で出しているので、お客さんが食べ残しを自由に持ち帰れるわけではないとしています。お客さんが持ち帰りを申し出て店が応じた時点で、持ち帰りについて新しい約束をしている、という考え方です。

この約束には、次の2つが含まれると整理されています。店がこれを行わずにお客さんに被害が出た場合は、説明を怠ったとして損害賠償の責任が生じ得るとされています。

反対に、この2つをきちんと行っていれば、持ち帰った後に生じた原因について店が責任を問われる可能性は低くなるとしています。ただし、責任があるかどうかは最終的に裁判所が事案ごとに判断する、とも書かれています。

持ち帰れる料理を決めて渡す

生ものなど、食中毒の可能性が高い料理は、持ち帰りに応じないことも店の務めに含まれる場合があります。

食べるときの注意事項を説明する

料理の種類や持ち帰るときの状態に合わせて、安全に食べるための注意を伝えます。

持ち帰れる料理は、先に店で決めておく

ガイドラインは、持ち帰りに向く料理を店が判断し、お客さんはその指示に従うという分担にしています。その場で一皿ずつ判断すると店員によって答えが変わるので、先にメニューごとに決めておくと迷いません。

向く料理として挙げられているのは、衛生管理計画に沿って十分に加熱した料理、常温で保存できる料理、水分の少ない料理です。向かないのは、生ものや半生など加熱が足りない料理です。店の調理方法や食材、室温や外の気温も考えて決めるよう書かれています。

ガイドラインの別添には、菌ごとに過去に食中毒の原因になった料理が載っています。刺身・寿司・貝類(腸炎ビブリオ)は店内で食べるのが原則で持ち帰りは控える、鶏刺しなど加熱が足りない鶏肉料理(カンピロバクター)は持ち帰らない、とされています。

温め直せば大丈夫とも限りません。おにぎりや弁当で問題になる黄色ブドウ球菌、チャーハンやスパゲッティで問題になるセレウス菌は、増えるときに作る毒素が電子レンジなどの普通の加熱では消えません。持ち帰ってから早く食べることが前提になります。

衛生管理計画をまだ作っていない店は、持ち帰りの判断の前に計画を作るのが先です。小さな店のHACCPの始め方はこちらの記事にまとめています。

容器は店が用意し、注意事項は紙で渡す

容器は店が清潔に保管しておいたものを、箸などと一緒に渡します。料理を容器に移すのは、原則としてお客さん自身です。移すときは清潔な容器と箸を使うこと、熱や下痢などの体調不良がない大人が詰めることが挙げられています。

伝える注意事項について、ガイドラインの別添には記載例があります。主な内容は次のとおりです。口頭で伝えるだけでなく、家に帰ってからも読めるように、容器に書いておく、紙を一緒に渡すといった形が望ましいとされています。お客さんの年齢やお酒を飲んでいるかどうかを見て、口頭でも丁寧に伝えるよう勧めています。

気温の高い日や、家に着くまで時間がかかるお客さんには、持ち帰りをやめてもらうことも選択肢です。ガイドラインは、そうした場合にお客さんは店の指示に従うこととしています。保冷剤がなければ控えるという書き方もあります。

店員によって対応が変わらないように、持ち帰れる料理の一覧と、渡す紙、断る条件を一枚にまとめておくと、アルバイトの人も同じように応じられます。ガイドラインも、マニュアルの作成や従業員への教育を望ましいとしています。

寄り道せず、早めに食べる

時間がたつほど食中毒の可能性が高まります。すぐ食べないときは温かい場所に置かず、冷蔵庫で保管します。

中心まで温め直す

電子レンジを使うときはレンジ用の容器を使い、ときどき混ぜてむらなく温めます。

少しでもおかしいと思ったら食べない

見た目やにおいがいつもと違えば、口に入れずにやめます。

人に渡すときは注意事項も伝える

家族などに渡すときは、店から聞いた注意事項も一緒に伝えます。食物アレルギーのある人には渡しません。

利用規約と記録で、後から確かめられるようにする

ガイドラインは、持ち帰りのルールを利用規約として先に決めておくと、店とお客さんの約束の中身がはっきりするとしています。別添には条項の例があり、生ものなど一部の料理は持ち帰れないこと、容器への移し替えはお客さんが行うこと、持ち帰った後の管理はお客さんの責任であることなどが書かれています。規約は、卓上のPOPやメニューに注意書きとQRコードを載せ、読み取った先で読めるようにしておく方法も紹介されています。

「持ち帰った後のことは一切責任を負いません」と書けば済むわけではありません。ガイドラインは、店の責任をすべて免除する取り決めは消費者契約法で無効になると注意しています。規約は責任を逃れるためのものより、お客さんに守ってほしいことを伝えるためのものと考えたほうが実態に合います。

万一のトラブルに備えて、持ち帰った日時と料理を記録しておくことも望ましいとされています。予約台帳や伝票の余白に「持ち帰り・唐揚げ・20時10分」と書くくらいから始められます。

ここからは当社の考えです。この記録は、食べ残しが多い料理を知る材料にもなります。同じ料理の持ち帰りが続くなら、量が多すぎるか、注文の組み合わせで余りやすいのかもしれません。ガイドラインも、まずはその場で食べきれるよう、小盛りや小分けのメニューを用意する工夫を店に求めています。食べ残しを日ごとに記録して量の見直しにつなげる方法は、仕込み量が外れた日の記録の記事で説明しています。

よくある質問

夏場や遠くから来たお客さんの持ち帰りは、断ってもいいですか?

ガイドラインは、家に着くまでの時間が長い場合や気温の高い季節は、持ち帰りをあきらめるなど、お客さんは店の指示に従うこととしています。別添の記載例にも、外の気温が高いときは保冷剤がなければ控える、帰宅に時間がかかる日はやめる、と書かれています。断る条件を店の一覧に書いておけば、その場で説明しやすくなります。

最初から持ち帰り用に売る弁当や、出前の料理にも同じ考え方が当てはまりますか?

このガイドラインは、店内で食べる前提で出した料理の食べ残しが対象で、テイクアウトやデリバリーは対象外です。容器に入れて並べて売る弁当や惣菜には、食品表示の決まりが関わる場合があります。詳しくはメニューのアレルギー表示の記事で説明しています。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

食べ残しや持ち帰りの記録を、量の見直しに使える形で残せます。

持ち帰りや食べ残しを伝票の余白に書いているが見返せていない、料理ごとに集計して盛り付けの量を見直したい。そんな段階でも相談できます。いまの予約や注文の受け方を聞きながら、紙のままでよい部分と画面で記録する部分を一緒に整理します。

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