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飲食・食品の業務

飲食店のメニューに、食材の産地を書く決まりはある?

店内で出す料理の肉や野菜に、産地を書く義務はありません。例外はごはんで、米トレーサビリティ法により米の産地を伝える必要があります。それ以外の食材も、書くなら事実どおりに書き、産地が変わったらすぐ直す。根拠は仕入伝票で残します。

この記事でわかること

  • 店内で食べる料理には食品表示基準が適用されず、肉・魚・野菜の産地をメニューに書く義務はありません。産地を書くかどうかは店が決められます。
  • ごはん(米飯類)は別です。米トレーサビリティ法で、外食店も米の産地をお客さんに伝える義務があります。メニュー、店内の掲示、ホームページやQRコード、店頭で聞けば答えられる体制のどれかで伝えます。
  • 任意で書く産地でも、事実と違う表示で実際より良いものだと思わせれば景品表示法の対象です。口頭の説明や看板、ホームページも表示に含まれます。
  • 業界団体のガイドラインは、国産は「国産」か都道府県名など、輸入品は国名で書くことを基本にしています。「地物」のように場所が分からない言葉や、一部の料理だけの産地を店全体の話に見せる書き方は避けます。
  • 産地が変わったらすぐ書き直すか消します。根拠は聞き取りのメモではなく、産地が書かれた仕入伝票や規格書で残します。

店内の料理に、産地を書く義務はない

食品の表示を細かく決めている食品表示基準は、店の中で食べてもらう料理には適用されません。メニューにアレルゲンを書く義務がないのと同じ理由で、牛肉や野菜の産地を書く義務もありません。適用の範囲はアレルギー表示の記事で詳しく説明しています。

外食・中食の業界団体が2019年3月にまとめた「外食・中食における原料原産地情報提供ガイドライン」のQ&A(Q2)は、義務にしなかった理由として、使う食材の種類が多く天候などで産地が頻繁に変わること、店の人がお客さんと対面して説明できることを挙げています。このガイドラインは農林水産省の外食・中食産業のページで公開されていて、強制力はなく、従わなくても罰せられることはないと同じQ&A(Q3)に書かれています。2005年に農林水産省が出した「外食の原産地表示ガイドライン」は廃止されています。

ごはんの産地だけは、伝える義務がある

例外は米です。米トレーサビリティ法(米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律)の第8条は、米や米の加工品を一般の消費者に売ったり出したりするとき、その産地を伝えるよう定めています。外食店で対象になるのは米飯類だけで、ガイドラインのQ&A(Q40)は、おにぎり、オムライス、カレーライス、赤飯、おこわなどを例に挙げています。もちやだんごを店内で出す場合は対象外です。

農林水産省の説明では、産地の書き方は、国産なら「国産」「国内産」、都道府県名や一般に知られた地名でもよく、外国産なら国名です。伝え方は、法律の細かい決まりを定めた「米穀等の産地情報の伝達に関する命令」の第3条と第4条で、次の方法が認められています(農林水産省 米トレーサビリティ法の概要)。

あわせて、米を仕入れたときの伝票などは記録として保存する義務があります。保存期間は原則3年です。産地が書かれた納品書を捨てずに取っておくことが、記録と産地の確認の両方を兼ねます。

メニューに書く

メニュー、冊子、チラシなど、お客さんの目につきやすいものに産地を書きます。「ごはんは北海道産米を使用しています」のように、料理ごとでなくまとめて書いても伝わります。

店内や入口に掲示する

店内や入口付近の見やすい場所に、産地を書いた紙やボードを貼ります。メニューを頻繁に作り直す店は、こちらのほうが書き換えやすくなります。

ホームページやQRコードで見せる

産地をホームページに載せ、そのアドレスやQRコードと「ここで産地が分かります」という案内を、メニューか店内の掲示で伝えます。

店頭で聞けば答えられるようにする

「産地は店員にお尋ねください」と掲示し、聞かれたら誰でも正しく答えられるようにします。命令は、従業員の研修やマニュアルの作成などで答えられる体制を整えることを条件にしています。アルバイトの人も答えられるか確かめておきます。

任意で書く産地も、事実どおりでなければ問題になる

産地を書く義務がなくても、書いた内容が事実と違い、実際より良いものだとお客さんに思わせれば、景品表示法が禁止する優良誤認表示にあたるおそれがあります。ガイドラインは、メニューだけでなく看板、ホームページ、口頭の説明なども表示にあたるとしています(Q&AのQ4も同じ趣旨です)。

ガイドラインとQ&Aは、うっかり誤解を招きやすい書き方として、次のような例を挙げています。悪意がなくても起きる書き方なので、メニューやのぼりを作るときに見直しておくと安心です。

場所が分からない言葉

「野菜は地物を使用しています」と書くと、どこで採れたものなのかお客さんには分かりません。店の地域で採れたものなら、その地域名を書くか口頭で伝えるよう求めています(Q33)。

一部の料理の産地を、店全体に見せる

「○○地鶏使用」ののぼりを出しながら輸入の鶏肉を使う料理もあると、全部が地鶏だと受け取られるおそれがあります。地鶏の料理を別のメニューにする、料理ごとに使う鶏肉を書くなどの対応が示されています(Q35)。

同じ食材で、生のものと加工品が混ざる

店で調理する「じゃがいものバター焼き」は北海道産、店の外で加工されて届くフライドポテトは米国産、という店で「旬のじゃがいもは北海道産」と書くと、フライドポテトも北海道産だと思われます。「バター焼きに使うじゃがいもは北海道産」と料理を特定して書く例が示されています(Q34)。

書くときの産地の名前と、複数の産地があるとき

ガイドラインは、国産なら「国産」、輸入品なら国名を基本にしています。そのうえで、国産の農産物なら都道府県名・市町村名・一般に知られた地名、畜産物なら主に育った場所の都道府県名など、水産物なら水域名や水揚げした港の名前でも書けるとしています。Q&A(Q18)の例には「北海道」も挙がっています。

1つの食材で産地が複数あるときは、使う量の多い順に国名を並べるのが原則です。順番が週ごとに入れ替わって追いつかない場合は、使う可能性のある産地を一覧にして「重量順ではありません」と添える方法も示されています。

季節や天候で変わることがある

「野菜は原則国産ですが、天候によって一部○○産を使う場合があります」と書けます。それでもメニューの表示と実際の産地が違う日は、注文のときに伝えるなど、お客さんが確かめられるようにする必要があります(Q19)。

仕入れ先から産地が分からない加工品

産地が特定できない食材は、原則として産地を書かない扱いです。聞かれたら「輸入品で、製造国は△△国です。これ以上の情報は得ていません」と答える方法が示されています。製造した国は原料の産地と同じとは限らないので、混同しないようにします。

産地が変わったら、すぐ直す

産地を切り替えたのにメニューが古いまま、という状態について、Q&A(Q28)は、ただちに産地名を直すか消す必要があると答えています。在庫を使い切ってから新しい産地に切り替わる場合は、切り替わった時点で書き換えます(Q22)。印刷したメニューは作り直しに時間がかかるので、産地が頻繁に変わる食材はボードやポップ、ホームページ、QRコードで伝えるほうが直しやすいとしています。

根拠の残し方について、Q&A(Q37)は、仕入れ先から口頭で聞いた産地を自分でメモするのでは足りず、産地が書かれた仕入伝票や規格書で確かめて整理しておくよう求めています。景品表示法は事業者に表示を管理する体制を整えることを求めており、ガイドラインは表示の担当者を決めておくことも挙げています。小さな店なら、仕入れを受ける人とメニューを直す人が同じでも構いませんが、誰が直すかを決めておくと書き換え漏れが減ります。

仕入れの記録と、メニューの産地をつなげておく

ここからは当社の考えです。産地を書いている店で表示が古くなるのは、仕入れ先や産地を変えたことと、メニューやホームページを直すことが別々の作業になっているときです。納品書は事務所の箱に、メニューは印刷所のデータに、ホームページは別の担当者に、と分かれていると、どこかが古いまま残ります。

料理ごとに使う食材と、その食材の今の仕入れ先・産地を1つの一覧で持ち、産地が変わったらそこを直すと、どの料理の表示を書き換えればよいかがすぐ分かります。表計算ソフトの一覧から始めて構いません。料理ごとの食材の一覧は原価の計算にも使えるので、原価計算アプリの開発プランや発注・納品を確認するアプリの開発プランのように、仕入れの記録とまとめて持つ形も考えられます。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

仕入れの記録とメニューの表示を、まとめて管理する仕組みも相談できます。

産地を書いているけれど、仕入れ先が変わるたびにメニューを直し忘れる。そんな段階でも相談できます。表示が法律に合っているかの最終的な判断は、景品表示法なら消費者庁、米トレーサビリティ法なら農林水産省(地方農政局)などの窓口にご確認ください。いまの仕入れと表示の流れを伺いながら、直す場所を減らす形を一緒に考えます。

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