EvoQuest

飲食・食品の業務

飲食店のレジ横で、地元の野菜やジャムを売ってもいい?

売れます。常温で日持ちする袋や瓶入りの食品なら、保健所への届出は要りません。生の野菜や冷蔵が必要な品を売るなら、飲食店の許可とは別に届出が要ることがあります。野菜には名称と産地を書いた札を添えます。

この記事でわかること

  • 瓶詰めのジャム、袋入りの焼き菓子、缶や瓶の飲み物のように、容器に入っていて常温で保存しても傷まない食品の販売は、食品衛生法の営業届出の対象外です。
  • 生の野菜や果物、冷蔵が必要な包装食品を売る場合は、届出が必要な営業に当たります。飲食店の許可を持つ店で併せて売る場合も届出を求める自治体があるので、始める前に管轄の保健所に確認します。
  • 店が仕入れて売る野菜には、名称と産地(都道府県名か市町村名)を、品物の近くの札などに表示します。袋や瓶に入った加工品は、作った人が付けた表示がそろっているかを受け取るときに確かめます。
  • 仕入れて売るか、預かって売れた分だけ精算するかで、売れ残りと期限切れを誰が引き受けるかが変わります。始める前に生産者と決めておきます。

店に来る人に、地元のものを手に取ってもらえる

店で使っている野菜の農家さんのじゃがいもを、レジ横で袋に詰めて売る。近所のパン屋のラスクや、知り合いが作るジャムを置く。料理を食べたお客さんが「この野菜、どこの?」と聞いてくれたときに、そのまま買って帰ってもらえる形です。

生産者にとっては売り場が1つ増え、店にとっては料理以外にお客さんと話すきっかけが増えます。以下は当社が考えた使い方の例で、実際の店の実績ではありません。始める前に確かめることは、保健所への届出、表示、生産者との取り決めの3つです。

保健所への届出が要らない品と、要る品

2021年6月の食品衛生法の改正で、許可が要る営業とは別に、保健所への「営業届出」の制度ができました。許可が要る営業と、国が「公衆衛生に与える影響が少ない」と決めた営業を除き、食品を扱う営業は、始める前に届け出ることになっています(食品衛生法第57条)。

届出が要らないのは、常温で傷まない包装食品

容器や袋に入っていて、冷蔵や冷凍をしなくても傷んで食品衛生上の危害が出るおそれがない食品の販売は、届出の対象外です(食品衛生法施行令第35条の2第3号)。厚生労働省の営業許可制度の見直しに関するQ&A(問19)は、常温で保存でき賞味期限が付いた菓子、カップ麺、清涼飲料水、酒類、お茶などを例に挙げ、生鮮食品は含まないとしています。瓶詰めのジャムや袋入りの焼き菓子は、多くがここに当たります。

生の野菜・果物や、冷蔵の包装食品は届出の対象

野菜や果物の販売は、上の対象外には入らないため、届出が必要な営業になります。新潟県上越地域振興局の営業届出制度のページは、届出対象の業種に「野菜果物販売業」を挙げ、許可を受けた施設で届出営業を併せて営む場合も届出が必要と案内しています。冷蔵が要る漬物やチーズのような包装食品も、常温で傷まない食品ではないので同じ扱いです。

包装されていない肉や魚は、許可が要る

包装されていない肉や鮮魚を仕入れて売るのは、食肉販売業や魚介類販売業の許可が要る営業です。包装された状態で仕入れて、そのまま売るものは許可の対象から外れます(同施行令第35条第3号・第4号)。レジ横で扱う品としては、まず避けておくのが無難です。

店で作ったものは、届出の扱いが別になる

ほかの人が作った物を売る場合と、店が自分で作った物を売る場合は、扱いが違います。飲食店の許可を持つ店が、自分で調理した食品を売るときは、別に届出をする必要はないとされています(上記Q&A問20)。

ただし、店で作ったドレッシングや焼き菓子を瓶や袋に入れて日持ちさせて並べると、飲食店の許可の範囲を超えて別の製造業の許可が要ることがあります。容器に入れて売るときの期限の決め方は店で作った惣菜の消費期限の記事で、遠くへ送る場合の許可の考え方はふるさと納税の返礼品の記事で触れています。お酒を瓶のまま売るなら、食品衛生法とは別に酒類の販売業免許が要ります。

届出が要るかどうか、どの業種で届けるかは、自治体ごとに案内の仕方が少しずつ違います。売る品の一覧を持って、管轄の保健所に「この品を店内で売りたい」と相談するのが確実です。

野菜には名称と産地、加工品は作った人の表示を確かめる

店が仕入れた野菜をお客さんに売るときは、食品表示基準で名称と産地の表示が必要です。国産の農産物の産地は都道府県名で書き、市町村名などの一般に知られている地名でもかまいません(食品表示基準第18条)。袋に詰めずに並べるなら、品物の近くの札に「じゃがいも 北海道」のように書けば足ります(同第22条)。

瓶や袋に入ったジャムやお菓子のような加工食品は、名称・原材料名・期限・保存方法・作った人の名前と住所などの表示が要ります(同第3条)。表示を作るのは基本的に作った人ですが、売るのは店なので、受け取るときに表示がそろっているか、期限が切れていないかを確かめます。表示のない手作り品を預かって並べることは避けます。

店で出した料理と同じ食材を売るなら、メニューの産地の書き方とそろえておくと、お客さんが迷いません。メニュー側の決まりはメニューの産地表示の記事で説明しています。

仕入れて売るか、預かって売るかで、決めることが変わる

生産者との取り決めには、大きく2つの形があります。どちらが合うかは、品物の日持ちと、店がどれだけ売れ残りを引き受けられるかで決まります。以下は当社が考える決め方の例です。

仕入れて売る

店が生産者から買い取り、自分で値段を付けて売る形です。売れた分の利益は店のものですが、売れ残りや期限切れは店が引き受けます。日持ちするジャムや焼き菓子のように、少しずつ仕入れられる品に向いています。

預かって売る(委託販売)

生産者の品を預かって並べ、売れた分から決めた割合を店が受け取る形です。店の負担は小さくなりますが、売れ残りを誰がいつ引き取るか、期限が近い品をどうするか、値段は誰が決めるか、精算は月に何回か、を先に決めておく必要があります。決めたことは紙に書いて、お互いに1部ずつ持っておきます。

預かった品の数と売れた数は、生産者ごとに分けて残す

委託で始めると、月末の精算で「何をいくつ預かり、いくつ売れて、いくつ返したか」を生産者ごとに出す必要があります。最初は、品名・預かった日・数・売れた数・引き取った数を1行に書くノートで十分です。レジで物販の売上を料理と分けて打てるようにしておくと、月末の集計が楽になります。

店内で食べる料理と持ち帰る食品では、消費税の税率が違います。物販の値札の書き方はメニューの税込表示の記事を参考にしてください。

生産者が増えてノートの集計が追いつかなくなったら、預かった数と売れた数を入れると精算額が出る簡単な画面を作る、という考え方もあります。農産物の直売所向けには、出品者に補充を頼む仕組みを農産物直売所の販売予測・補充依頼システムの開発プランで公開しています。飲食店の物販で使うなら、まず数の記録と精算だけに絞る想定です。

この記事を書いた人

立石伊吹代表取締役 / DX・AIアドバイザー

北海道札幌市を拠点に、業務アプリやAIの開発を行っています。北海道内は直接うかがい、道外はオンラインで対応しています。専門用語を使わず、相手の言葉で話すことを大事にしています。

店の物販の記録と精算を、続けやすい形に整えます。

生産者から預かった品の数を数えるのが大変、料理と物販の売上を分けて見たい。まだ何を売るか決まっていなくてもかまいません。いまの店の売り方をうかがい、記録の項目から一緒に考えます。

飲食店の業務について相談する (新しいタブで開きます)

メールでのお問い合わせ:info@evoquest.jp 解説記事一覧へ戻る

EvoQuest

AI相談窓口

EvoQuestについて、
気になることを聞いてください。

サービスの内容や制作実績、
費用の目安などをご案内します。

AIが回答します。個人情報・機密情報は入力しないでください。入力内容は回答のためにAI提供元へ送信されます。利用について(新しいタブ)

直接お問い合わせ

会話はこのタブに一時保存されます。